GoTo受託団体から二階幹事長らにわたったのは4200万円献金だけではなかった! 二階派のパーティ券を巨額購入

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公式HPより


 国民からの批判も押しのけて本日から開始された「Go Toトラベル」だが、ここにきて利益誘導疑惑が浮上した。自民党の二階俊博幹事長を筆頭とする“観光族議員”が、「Go Toトラベル」の運営を担う事務局を約1895億円で委託された「ツーリズム産業共同提案体」に名を連ねる観光関連14団体から、なんと約4200万円もの献金を受けていたことを本日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が伝えたのだ。

「ツーリズム産業共同提案体」は、二階幹事長が会長を務めている全国旅行業協会(ANTA)をはじめ、日本旅行業協会、日本観光振興協会、JTB、日本旅行、東武トップツアーズ、KNT-CTホールディングスが「共同提案体」として参加し、さらに全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会や日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、リクルートライフスタイル、楽天、ヤフーが「協力団体」として参加。一方、「週刊文春」は二階幹事長が最高顧問を務める自民党の観光立国調査会の役職者37名の政治資金収支報告書(2011〜2018年分)を精査したところ、「ツーリズム産業共同提案体」参加団体および加盟業者から合計約4200万円もの献金が確認された、という。

 とりわけ献金額が大きかったのは、無論、二階幹事長だ。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の政治団体である「全国旅館政治連盟」から2014年、16年、17年に計330万円の献金を受け取っていたことをはじめ、確認できた献金額は合計470万円にのぼるという。

 さらに、この数字を上回る調査結果も出てきた。「しんぶん赤旗 日曜版」7月26日号では、ANTAの事務受託会社として設立された「全旅」が、二階幹事長が率いる派閥・志帥会(二階派)の政治資金パーティのパーティ券を計224万円購入(2013〜17年)していたと報道。そのほかの団体からの献金と合わせ、「ツーリズム産業共同提案体」参加団体から二階幹事長側に〈少なくとも約650万円の資金提供があった〉と伝えている。

 しかし、この数字も氷山の一角らしい。というのも「週刊文春」では、ANTAによる二階派のパーティ券購入について、「傘下の業者の名義にして小口で購入しているので、報告書には載りません」と自民党秘書が証言しているからだ。

 二階幹事長をめぐっては、今年3月、読売新聞が“安倍政権が進める追加経済対策で一律現金給付を見送る代わりに観光や外食を対象とした「商品券」の配布する方向で調整に入った”と報じた際から「二階幹事長がANTAの会長だからか」と訝しむ声がネット上であがりつづけてきたが、さもありなん。安倍政権ではカジノをはじめとして自民党の政治家と業界団体との癒着が何度も繰り返し取り沙汰されてきたが、この「Go To」も、二階幹事長をはじめとした自民党の観光族議員たちが多額の献金を受けてきた業界団体に便宜を図るべく後押ししたということなのだろう。

 実際、「週刊文春」によれば、今年3月2日にはANTAをはじめとする業界団体が需要喚起策などを観光立国調査会に要望をおこない、二階幹事長は「政府に対して、ほとんど命令に近い形で要望したい」と呼応。東京都で新規感染者数が100人を超えた7月2日におこなわれた同会でも「GoToは前倒しするべき」という声があがったという。

 また、自民党観光立国調査会の事務局次長を務める武井俊輔衆院議員は、17日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演すると、「withコロナ」と繰り返しながら「Go To」の必要性を必死になって訴えていた。これには玉川徹氏が「国民の代表なんだから、観光業の代表じゃないんだから、そこをもう1回考えた上で発言してほしいし行動してほしい」と食い下がっていたが、武井議員は「では、何がどうなったら実際に進めていけるってことになるんですか?」などと言い出す始末だった。

最初に「Go To」を利権化すべく動いていたのは今井尚哉首相秘書官と菊池桃子の夫だった

 国民の安全よりも利益誘導を優先する──。まさしく腐敗しきっているとしか言いようがない話だが、しかし、「Go To」は何も二階幹事長や観光族議員たちだけの思惑だけで動いているものではけっしてなく、本サイトでも言及してきたように、主導したのは安倍官邸だ。

 そもそも、今回の「Go Toトラベル」を含む「Go Toキャンペーン」は、「影の総理」と呼ばれる安倍首相の最側近・今井尚哉首相補佐官兼秘書官と、その子飼いである新原浩朗・経産省経済産業政策局長の肝いりの経済対策だ。

 新原氏といえば昨年11月、タレントの菊池桃子と入籍した経産省のエリート官僚で、「将来の事務次官」と囁かれる人物。そして、今井首相補佐官と一緒になり、これまでも消費税率10%への引き上げに合わせた実施されたポイント還元制度や、安倍首相がゴリ押しして法案を強行採決させた働き方改革など、数々のとんでもない政策を推進。現在も、安倍首相が推し進めようとしている「全世代型社会保障制度改革」において検討会議の事実上の事務方トップに就任するなど、安倍首相からの信任が厚いことでも知られている。

 そして、この今井−新原ラインが結託し「新型コロナ対策」として取り仕切ったのが、この「Go Toキャンペーン」だった。実際、6日付の朝日新聞では、いかにこの2人の暗躍によって1兆7000億円もの予算が経産省に一括計上されたのか、その裏側が報じられている。

 まず、補正予算案が発表される前の3月ごろから、官邸や財務省周辺では国交省や農水省を揶揄する文書が出回った、という。これは経産省が流したと見られ、実際にその後、「Go Toキャンペーン」事業のとりまとめを経産省がおこなうことが決定したのだという。しかも、問題はその予算化の過程だ。ここで暗躍したのが、今井−新原ラインだった。

〈政府の事業は通常、所管省庁の中で練られ、予算を査定する財務省主計局との協議を経て予算化される。その過程で不備や課題が洗い出され、費用対効果も点検される。だが今回は、他省庁と同様、主計局もごく一部の幹部を除きほとんど蚊帳の外だった。〉
〈今井―新原ラインによるスピード重視の意思決定で、巨額補正の中身が次々と決まっていった。主計局内からはこんな不満が漏れる。「ほとんど詳細を知らされないまま、予算が決まっていった」〉
〈ある官邸幹部は「今井氏の意を受けて新原氏が動いた。各省庁に相談なく決めたから、各省庁からしたら『なんで』となるだろう」と述べる。〉

 さらに、同紙にはこんな記述もあった。

〈財務省側で新原氏に応じたのは、予算編成を担う主計局のトップ、太田充主計局長だった。〉

 太田充氏といえば、森友問題で必死になって安倍政権を守ったことで知られ、その論功行賞として、20日付で財務省事務次官に昇格したばかりだ。

官邸官僚と政権幹部の「GoTo」巨額予算利権化を是認してきた安倍首相の罪

 いずれにしても、今井首相補佐官と新原氏、太田氏という安倍政権の側近官僚の動きによって、1兆7000億円もの巨額予算が協議や費用対効果の検証もなく計上されたのである。言っておくが、今井−新原ラインが「Go Toキャンペーン」の実施に暗躍していたこの時期は、新型コロナ対策が後手後手だと批判されていた3〜4月のことだ。本来ならば医療・検査体制の整備・拡充に力を注ぐべき最中に、安倍首相の最側近とその子飼いは「収束後の需要喚起」のための経済政策の巨額予算を経産省に取り付けようと必死になっていたのである。

 しかも、当初は「持続化給付金」と同様、この「Go To」も経産省が取り仕切って電通が約3000億円で事務局業務を請け負うことが決まっていたという見方が根強い。

 しかし、「持続化給付金」の電通への丸投げが問題になったせいで、経産省の私物化が批判され、「Go To」は経産省が取り仕切って事務局選定などを一括するのではなく各省庁で分担することになり、「Go Toトラベル」は国交省が事業者の公募や選定をすることになった。その結果、二階幹事長と菅義偉官房長官が復活し、前のめりに介入し始めたのである。

 いずれにしても、「Go To」は官邸官僚や政権幹部がその巨額予算を自分たちの権勢拡大のために利用しようという利権にすぎず、その構造をすべてひっくるめて是認しているのが安倍首相なのだ。

「Go To」がはじまった本日、大阪府で過去最多の新規感染者が確認されたのをはじめ、全国で748人と過去最多の新規感染者が確認された。積極的な検査もおこなわれていないこの国では今後、さらに感染が拡大してゆくことになるだろう。そんな真っ只中に巨額の税金を使って人の移動を促すキャンペーンを政府がおこなうなどもはや狂気というほかないが、もっとも恐ろしいのは、国民の安全を鼻にもかけていない人物が総理大臣を務めているという、その事実のほうなのだ。

最終更新:2020.07.22 10:49

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