フリーランスの休業補償4100円問題で田崎史郎氏が「フリーター」と混同し政権を擁護! 安倍首相もフリーランス差別の答弁連発

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TBS『ひるおび!』3月11日放送より


 安倍政権が新型コロナ緊急対応策第二弾を発表し、ようやく企業や労働者支援策を打ち出した。なかには評価できるものもあるが、相変わらず場当たり的で内実が伴っていないものも多い。

 その典型が、休校要請にともなう親の所得補償だ。企業務めの場合は休業中の給与の手当は1日最大8330円が助成されるが、フリーランス・自営業者の休業補償は1日一律4100円、つまり半分だというのだ。

 しかも、その根拠というのがふざけている。日本共産党の小池晃書記長がツイッターで、厚労省の唖然とする説明を明かした。

〈何で4100円?って厚労省に聞いたら、東京の最低賃金1013円×4時間ですって。なぜ4時間って聞いたら、明確な答えなし。根拠なき腰だめの数字ですね。
全国のフリーランスの皆さん、ごいっしょに立ちあがりましょう!ふ・ざ・け・ん・な!と。〉

 最低賃金の4時間分? この金額や算出方法に、ネットでは「フリーランスをバカにしている」「ふざけるな」といった声が噴出している。当然だ。なぜ、雇用形態が違うというだけで、半額にされなければならないのか。会社勤めをしている人間に正規・非正規問わず最大8330円を助成するのであれば、当然、同額を補償すべきだろう。

 しかも、フリーランスへの補償というのは一般的にイメージにされるような自宅でもできるデザイナーとかイラストレーターだけの話ではないのだ。それこそ職人から宅配便の配達人、セールスマン、水商売まで、フリーランスというかたちで仕事をしている多数の就業者がおり、そういう人たちが全員、子どもの休校で、仕事を会社で勤めている人の半分しか補償をもらえないということである。それこそ死活問題であり、ふざけるな、という話だろう。

 だが、テレビではまったく逆に失笑しかないような擁護論がまかりとおっていた。昨日11日放送の『ひるおび!』(TBS)でのこと。司会の恵俊彰が「まあ、きめ細やかな対策、対応策ということだと思うんですけども」と政権に気を使いながらも、「あの、いわゆるサラリーマンの方と個人事業主の方で8300円と4100円程度、この差もちょっと気になるところではありますけども」と話を振ると、政権の代弁者である田崎史郎氏はこう答えたのだ。

「働いている方でも、フリーターの方に対する補助というのは、おそらく過去してなかったと思うんですね。しかし今回は、あのー、学校を休んだ、一斉休校にともなって会社を休まざるを得なくなった人、フリーターの人でも休まざるを得なくなった人に対して、国が補助しましょうということで。なぜ半分なのかという根拠は、最低賃金というシステムがありまして、それは東京都の場合、1000円ちょっとなんですね。で、鹿児島とか九州がいちばん最低賃金が安いんですけども、それが700円台なんですよ。でも、高いほうの東京で1000円ちょっと、それを4時間働いたと仮定すると、4100円ぐらいになるだろうと」

 そう、田崎氏はフリーランスの補償の話題で「フリーター」と連発したのだ。最初はたんなる言い間違いかと思ったが、田崎氏の口調や後段で東京都の最低賃金である時給が根拠になっていることを当然視しているのを聞いていたら、田崎氏は本気で「フリーランス」と「フリーター」の区別がついていないような気がしてきた。そして、田崎氏は自分がフリーランスであることも気がついていないのではないか、とも……。

 いまさらだが、フリーランスというのは、会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約する専門職のことで、フリーターというのはアルバイトで生計を立てている人の呼称。両者はまったく違う。「正規・非正規にかかわらず上限8330円を支給する」という安倍政権の言葉を信じれば、フリーターは勤務先から最大8330円をもらえるはずなのだ。

 それとも、実際には、パートや登録制のバイトなどにも4100円しか払わないという安倍政権の暗黙の了解があり、それを聞かされた田崎氏が先走って口にしてしまったのだろうか。

安倍首相も「フリーランス」の意味わからず、アルバイトと同列に並べて解説

 しかし、いずれにしてもひどいのは、田崎氏が会社勤めの人への半分、たった4100円の助成を「過去なかった補助」だと胸を張り、「高いほう」の東京の最低賃金を根拠にしてるんだからありがたく思え、とばかりに正当化したことだろう。田崎氏は本気でこんな金額で補償になると思っているのか。

 その生活者としての視点のなさには呆れるしかないが、しかし、田崎氏のこの姿勢は安倍政権のフリーランスへの姿勢に共通しているものでもある。

 そもそも、政府は世間の声に押されて休校措置にともなう助成金制度を打ち出したあとも、フリーランスについて補償するつもりはなかった。菅義偉官房長官も3日の会見で、雇用関係がないフリーランスや個人事業主は「対象とならない」と述べ、代わりに貸付制度があると説明。「なぜフリーランスは貸付なのか」と強い批判を浴びていた。

 さらに、安倍首相にいたっては、田崎氏とまったく同じようなトンデモ答弁をしていた。同じく3日の参院予算委員会で、共産党の小池議員から「サラリーマンの親には給与助成をする。フリーランスや自営業者は貸付をする。おかしくないですか?」として質問され、安倍首相は口ごもりながらこう答えたのだ。

「事業主等についてはですね、まさに、経営者として経営が成り立つように継続できるような支援をおこなっていくことについては、これは、資金繰り等において、支援をしていくということであります。被用者については、まさに、企業等にですね、有給休暇等を取ることを可能とするよう促すとともに、また、中小規模事業者のみなさんについてもですね、この、その、そこの被用者のみなさんの給与の減少、あるいはまた、アルバイトやパート労働者のみなさまにおける収入の減少に対しても、給付というかたち等も含めて対応していきたいと考えております」

 そう、安倍首相は田崎氏と同じように、フリーランスとアルバイトやパート労働者の区別がついていなかったのである。この答弁には小池議員も思わず「フリーランスっていうの、よくわかってらっしゃらないように思うんですけど」とつっこんだほどだった。

 ところが、こうした批判に安倍政権が慌て出す。6日になって菅官房長官が突然、厚労省と財務省に「フリーランスの対応はどうにかならないのか」と、緊急対応策第二弾に盛り込むことを要求(朝日新聞デジタル11日付)。たった4日間の突貫工事で決めたのが、今回の給付だったのである。

 しかし、その4100円という安さを考えても、安倍政権がフリーランスを差別し、会社勤めより一段低い存在と見ていることは明らかだ。安倍首相はその理由について、昨日11日の参院本会議で「働き方や報酬は多種多様で、迅速に支援を行う必要がある中で、非正規雇用の方への給付とのバランスを考慮した」などと、非正規雇用の半分くらいが妥当なんだとでもいわんばかりの答弁をしていた。

「雇用によらない新しい働き方」を煽る安倍政権の本音はフリーランス使い捨て

 しかも、気になるのは金額に安さだけではない。政府はこの支給対象を「個人で仕事をしており、発注者との業務委託契約などに基づいて報酬が払われている労働者」としており、契約書や契約先からの証明書がないフリーランスは、仕事を休んでももらえない可能性がある。しかし、フリーランスで弱い立場の労働者が契約先に証明書を求めることができるのか。そう考えると、この「4100円」すら、安倍政権の“やってる感”演出にすぎないのではないか。
 
 いずれにしても、規制緩和や働き方改革などで、さんざん「雇用によらない新しい働き方」を煽ってきた安倍政権だが、このフリーランスへのぞんざいな扱い、セーフティネットの欠如をみていると、結局、なんの補償をする必要もないフリーランスや個人事業主を最低賃金で使える社会をつくろうとしているだけ、ということだろう。

 だが、諦めてはいけない。新型コロナでわたしたちが学んだことは、国民が政権に対して声を上げることによって、支援策や改善策を引き出せるということだ。休校措置における補償でも当初、安倍首相は「有給をとれ」と言っていたが、国民の批判を浴びて「正規・非正規の被用者への助成金」「個人事業主とフリーランスへの補償」と、少しずつではあるが、支援を広げている。こんなひどい政権だからこそ、これからも、怯まず諦めず声を上げていく必要がある。

最終更新:2020.03.12 12:49

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