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「一番の功績は出産」発言を萩生田幹事長代行が女性差別丸出し擁護…参院選は「女性の権利を認めない安倍自民党の是非」も争点だ!
はぎうだ光一オフィシャルwebsite
やはり、安倍自民党は何も反省していなかった。7月12日、参院選三重選挙区から立候補している自民現職・吉川有美氏の応援演説で、同党の三ツ矢憲生衆院議員が「一番大きな功績は子どもをつくったこと」と発言し問題となっているが、安倍首相の側近である萩生田光一・自民党幹事長代行が昨日、三ツ矢議員の発言を擁護したのだ。
まず、三ツ矢議員はどんなことを話したのか。以下に紹介しよう。
「この6年間で吉川有美は何をしてきたのか。一番大きな功績はですねぇ、子どもをつくったこと。もちろん、人口が増えるってのもありますが、本人はやっぱり子どもを持って、母親になって、自分の子どもの寝顔を見ながら、自分の子ども、自分の娘、この子のために、この地域を、この国を、いい国にしていきたい、いい地域にしていきたい。そういう思いが芽生えてまいりました。私は、そういう思いが政治の原点ではないかなと思っております。そういう意味で、どうかこの一皮剥けた吉川をぜひご支援賜りたいと思います」
女性候補者に対し、政治家としての仕事ではなく、プライベートで子を出産したことを「一番大きな功績」として挙げる──。親にならずとも国や地域をよくしたいという思いをもつことはできるし、第一、子を持たない政治家は「政治の原点」には立てないとでも言うのだろうか。しかも、子をなしたことを「一皮剥けた」と表現すること自体、子を持てない・持たない人を低く見た発言であることは疑いようもない。これが一般企業で上司が部下に対しておこなった発言ならば、部下が女性であろうと男性であろうと完全にセクハラ案件だろう。
だが、この発言について、当日街頭演説に同席していた萩生田幹事長代行は「演説全体を聞いた人には理解していただける」「聴衆からは一番拍手があった」と主張。上記のとおり、とても理解できるものではないのだが、萩生田幹事長代行はこのように擁護したのだ。
「母親になって一つ大きくなった候補を応援してほしいという趣旨だ」
母親になればひとつ大きくなる──。つまり、女性は出産によって大きくなる、逆に言えば子を産まない女性は“大きくなれない”ということになる。これは「一皮剥けた」発言と同じ趣旨で、ようするに萩生田幹事長代行は三ツ矢議員の発言の何が問題かが、根本的にわかっていないのだ。
そもそも、この日本社会には「女性は子どもを産んで当然」という圧力が蔓延り、多くの人たちがそのことに苦しんでいるという現実がある。だが、すべての人には、子どもを産むことも、いつ産むのか、何人産むのか、そして産まないという選択をするリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)がある。「子どもを持って一人前」だとするような主張は明白な人権侵害行為なのだ。無論、これは男性に対しても同様だ。
だが、安倍自民党からは、同じような暴言が何度も繰り返し飛び出しつづけている。
ご存じのとおり、今年5月末には、桜田義孝・前五輪担当相が「お子さん、お孫さんには子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と発言し問題になったばかりだが、同様の発言は枚挙に暇がない。
「いかにも年寄りが悪いという変な野郎がいっぱいいるけど、間違っていますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」(麻生太郎財務相/2019年2月)
「子どもを産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」「皆が幸せになるためには子どもをたくさん産んで、国も栄えていく」(二階俊博・自民党幹事長/2018年6月)
「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたいとお願いする」「結婚しなければ子どもが生まれないから、ひとさまの子どもの税金で老人ホームに行くことになる」(加藤寛治衆院議員/2018年5月)
「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」(山東昭子参院議員/2017年11月)
女を「子どもを産む機械」扱いする議員になんの処分もしない自民党
はっきり言って、こんな暴言を吐く輩に政治家としての資格などない。政権与党の政治家として少子化を食い止めたいと本気で考えているのならば、まずは待機児童問題の解消をはじめ、女性が仕事と育児を両立しやすい環境づくり、男女ともに不安定雇用や長時間労働の見直し、男性の育児参加、選択的夫婦別姓制度の導入、さらに未婚でも産みやすい社会──男女の賃金格差の是正、同棲や事実婚に法律婚と同様の保護を与える──などを押し進めるのが筋だ。
だが、そうした政治家としてやるべきことに取り組むこともなく、「女は子どもを産め」と合唱するのみ。リプロダクティブ・ヘルス/ライツという当然の人権をもこの自民党議員らは踏みにじり、加藤議員の「ひとさまの子どもの税金で老人ホームに行くことになる」発言にいたっては、産まない選択をした女性への社会保障を否定するかのような、信じがたい暴論だ。
それどころか、菅義偉官房長官にいたっては、2015年9月の福山雅治と吹石一恵の結婚に際して「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういうかたちで国家に貢献してくれればいい」「たくさん産んでください」とコメント。子どもを産むことを「国に貢献」することなのだと堂々と明言したのである。
少子化を食い止められない自分たちの無能さは棚に上げて、女を「産む機械」(柳澤伯夫・元厚労相)であるかのように扱い、「国に貢献しろ」と国民に押し付ける──。あまりにグロテスクで反吐が出るが、こうした暴言政治家たちが多すぎて、社会は何も変わらないのだ。
しかも、参院選の選挙中であるにもかかわらず、今回、萩生田幹事長代行が三ツ矢議員の発言を擁護してみせたことにも顕著なように、このような暴言に安倍自民党は何の反省もない。
現に、「女は子どもを産め」「産まない女は身勝手」などという暴言を吐いた議員たちに対し、自民党は何の処分もおこなっていない。そればかりか、「3人産め」と言った加藤議員は発言を撤回したあと、自身が会長を務める自民党長崎県連の会合で「全国から賛同、激励が多数寄せられた」と述べ、「理想として3人は確か」「日本の将来を考えた発言」などとわざわざ賛同意見を紹介までしてみせた。
その上、この加藤議員の発言に、「女性の人権を全く無視した暴言」として共産党の議員らとともに抗議した自民党の江真奈美・長崎県議に対して、自民党長崎県連執行部は広報副委員長などの役職を再任しないと決定。その理由を長崎県連の中島広義幹事長は「共産党と会見したことは自民党として容認できない」としたが、一方で「(加藤議員に)抗議した内容は賛否両論あるため触れない」などと逃げた。
安倍首相こそが女性差別主義者!「夫婦別姓は共産主義のドグマ」と
あり得ない暴言を撤回したあとも開き直る議員には何のお咎めもなく、当然の抗議をおこなった女性議員には人事で報復する。こんな政党が与党として居座りつづけるかぎり、少子化問題が解消する政策を打ち出すことは、まずもって無理だ。
しかし、これこそが安倍首相のスタンスなのだ。今回の参院選にともなっておこなわれたネット党首討論会では、安倍首相は選択的夫婦別姓について「経済成長とはかかわりがない」と暴言を吐き、日本記者クラブでの党首討論会(自民、公明、立憲民主、国民民主、共産、日本維新の会、社民の7党)では「選択的夫婦別姓を認めるという方は挙手してください」という質問に、安倍首相を除くすべての党代表者が挙手。安倍首相だけが「選択的夫婦別姓を認めない」としたのだ。
その上、最後には「政策的なね、政策的な議論をちゃんとしないと、イエスかノーかということでは政治はない」だの「印象操作するのはやめたほうがいい」「何か意図を感じるんだけど」だのとわめき立てるという醜態まで晒した。
安倍氏は下野時代、「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(「WiLL」ワック2010年7月号)と発言するなど夫婦別姓反対の急先鋒だった人物だが、同時にジェンダーフリー・バッシングを先導。日本会議ら極右支持者の考えと同様、安倍政権は「伝統的家族観」を重視している。これはどういうことかといえば、憲法に保障された「個人の尊重」よりも「夫がいて妻がいて子どもがいる家族」こそを尊重し、異性愛以外の性的指向を排除し、女性差別を温存させ、国が担うべき社会福祉を「自己責任」のお題目のもとで家族に押し付けようとすることだ。
つまり、自民党から性懲りもなく「女は子を産んで当然」「子を持って一人前」という価値観に基づく発言や、性的マイノリティへの差別発言が噴出することも、出産・子育てしやすい環境づくりが一向に進まないことも、安倍政権であるかぎりは必然のこと。女性の価値を出産の有無ではかったり、女性に出産圧力をかける政党を、これからも政権にのさばらせるのか──。これもまた、今回の参院選の大きな争点であることは間違いないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.07.15 06:24
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