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防衛省のイージス・アショア失態、玉川徹が原因を喝破! 米国のために買わされた、防衛省も「いらねえ」と思ってる
『羽鳥慎一モーニングショー』でイージス・アショア失態を看破した玉川氏
「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」という安倍首相の主張は一体なんだったのか。安倍政権が秋田県秋田市と山口県萩市を配備候補地として導入を進めている地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐる、杜撰極まりないデータ問題と、防衛省職員の居眠り問題の件だ。
防衛省は5月27日に配備候補地である秋田市の陸上自衛隊新屋練習場が「適地」であることを示した「適地調査」の報告書を公表。そのなかで他の国有地19カ所が適地かどうかを検討していたが、そのうち9カ所で山を見上げたときの角度を示す「仰角」を過大に記載していることを地元紙・秋田魁新報がスクープ。この報道を受けて防衛省は、報告書の作成者がGoogle Earthを使って断面図をつくったとし、〈起伏を強調するために図が縦方向に拡大されていることに気づかないまま、代替地から山までの距離と山の高さを定規で測り、三角関数を使って仰角を割り出した〉(朝日新聞デジタル8日付)と認めたのだ。
この報告書では秋田市の新屋練習場が東日本で「唯一の適地」としたものだが、いい加減な手抜き調査で配備地を秋田市に押し付けようとしていたのだ。その上、この重大問題が発覚したあとの住民説明会で防衛省職員が居眠りしたとなれば、住民の怒りは如何ばかりのものか。
いや、そもそもこんな杜撰な調査で配備地を決めようとしていたことは、安倍政権が声高に叫ぶ「国防」とやらはこの程度の意識でしかなかったということを証明している。前述したように、安倍首相はこのイージス・アショア導入の必要性について「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」と繰り返し強調し、勇ましく吠えてきたが、その実態がこの適当さである。
だが、それもある意味、当然だろう。このイージス・アショア配備の理由は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に備えるため、ということになっているが、それは後付け。日本政府はアショアと同性能のイージス艦8隻体制を進めており、イージス・アショアの配備は不要なのではないかと指摘されてきた。つまり、トランプ大統領のご機嫌取りのためにホイホイ購入したにすぎない。
事実、トランプ大統領をはじめとして関係国が北朝鮮との対話路線に転換し、「北朝鮮の脅威」を叫べなくなった安倍首相は、今年2月の衆院予算委員会において、イージス・アショアの必要性についてこんな主張をはじめた。
「まさに陸上においての勤務となる。これは(イージス艦とは)大きな差なんですよ! 全然ご存じないかも知れませんがね。あの、いわば、ずっと外に出ている、1カ月間とか出ているということとですね、いわば、これは自分の自宅から通えるわけですから。勤務状況としては全然違うんですよ」
「実際にみなさん、勤務したことないから、そういうことおっしゃっているんだろうと」
そう言う安倍首相はいつイージス艦に勤務したのかよと言いたくなるが、ようするに安倍首相は、「自宅から通えるようになる」ためにイージス・アショアを購入すると言っているのである。トンチキにも程があるだろう。
国民に2000万円貯めろと言いながら、米国守るだけのアショアに8000億円を
しかも、問題はその値段だ。当初、イージス・アショアは1基あたり約800億円とされていたが、今年になって関連費用含め2基で2350億円と発表。しかし、発表された「2350億円」は発射装置や施設整備の費用を除いた金額であって、実際には〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」2018年11月9日号/朝日新聞出版)とも言われている。
国民には「長生きしたければ2000万円貯めておけ」と要求しながら、トランプには8000億円も貢ぐ──。その上、重要なのは、このイージス・アショアはじつのところ、「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」ではなく、アメリカを守るためのものだと言われていることだ。
たとえば、防衛省報告書の杜撰データ問題をスクープした秋田魁新報による「イージス・アショアを問う」というシリーズ企画によれば、米国の代表的シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は、昨年5月に発表したレポートのなかで「(アショアは)米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たしうる」としている。
実際、秋田市は北朝鮮とハワイを結ぶ直線上に、萩市はグアムを結ぶ直線上にそれぞれ位置している。2017年8月10日の国会閉会中審査では、当時の小野寺五典防衛相が、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、「米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとも言えない」として集団的自衛権を行使できると答弁。安倍政権はあきらかに、米国の防衛を重視して超高額なイージス・アショアを買い、それを秋田市と萩市に押し付けようとしているわけである。
8000億円とも言われるイージス・アショアの導入は、日本国民の命を守るためではなく、トランプ様に貢ぎ、アメリカ様を守るため……。あまりにバカバカしすぎて言葉を失うが、そうした背景が今回の杜撰データ問題と居眠り問題を引き起こしたのではないかと批判する声もある。
玉川徹「合理性なくても米国が『買え』と」「F35も欠陥指摘されてるのに」
10日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が秋田市と萩市が配備候補地になっていることについて、やはりハワイとグアムを守るためではと指摘した上で、「北朝鮮(からの攻撃)を想定すれば、(地上型のアショアより)イージス艦のほうがいい」とし、「防衛省としても別にこんなもんいらねえのに、政治が決めたからやらないといけないけど、でも住民説明会はやらなくちゃいけなくて『しょうがねえなあ』と思った感じが、あの居眠りかなと」と、防衛省の“本音”を推測。こうつづけた。
「『買え』ってことですよ、アメリカから。日本で合理性がなくても買えと。(世界で最初にイージス・アショアを導入した)ルーマニアは、アメリカが(金を)出している」
「日本が『買う』と言うところが重要なんです。戦闘機も100機、日本は『買う』。F35が落ちちゃっているわけです。いろいろな欠陥が指摘されていて、アメリカはF35より古いF15をいっぱい買うことを決めている」
しかも、こんな状況になっても、岩屋毅防衛相は11日、「秋田市の新屋演習場が配備候補地として「適地」であるとの考えに変わりはない」と強調している。
安倍首相によるトランプに気に入られたいという尻尾振りによって武器を大量購入し、地域住民の不安や自衛官の身の安全は一顧だにせず、結論ありきで配備が決まってゆく──。「強固な日米同盟」を演出したい安倍首相がトップであるかぎり、国民を見捨てたアメリカからの爆買いはなくならない。今回の防衛省のような問題も、そうした根本を変えなければ、ずっとつづいていくのである。
(編集部)
最終更新:2019.06.12 06:59
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