マスゴミ(マスコミ)に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
フジ産経が「天皇の生前退位のために改憲が必要」のデマにもとづく詐欺的世論調査を実施! 安倍政権もグルか
フジサンケイグループ公式サイトより
「天皇陛下の生前退位『制度改正急ぐべき』70・7% 『必要なら憲法改正してもよい』84・7%」(産経ニュース8日付)
「『生前退位』可能となるよう改憲『よいと思う』8割超 FNN世論調査」(FNNウェブサイト8日付)
天皇がビデオメッセージで「お気持ち」を表明したその日、こんな驚愕の見出しをぶったのは、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)だ。内容はいずれも、今月6、7日に産経とFNNが合同で実施した世論調査の結果を伝えるもの。これによれば、“天皇の「生前退位」のために憲法を改正すべき”という世論が8割を超し、圧倒的に改憲を支持しているように見える。
だが、騙されてはいけない。これは、世論調査におけるトリックであり、フジサンケイグループが仕掛けた露骨なミスリードだ。
それは、設問を見れば明らかだ。まず産経は13番目の設問としてこう記す。
〈Q13. 現在の皇室制度では、天皇が生前に退位し、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」の規定がありません。生前退位について、あなたは、政府がどのように対応すべきだと思いますか。次の中から、あなたのお考えに近いものを1つ選び、お知らせください。〉
その回答として「『生前退位』が可能になるように制度改正を急ぐべきだ」が70.7%、「慎重に対応すべきだ」が27.0%、「わからない・言えない」が2.3%だったという。
まあ、これについては、今月の他社世論調査の類似する設問でも同じく制度改正に高いポイントがでている(朝日新聞「(『生前退位』をできるようにすることに)賛成」が84%、読売新聞「(生前退位ができるように)制度を改正すべき」84%、など)。だが、問題はここからだ。産経の場合、続けてこんな14番目の設問を置いた。文章を注視してほしい。
〈Q14. 今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか。〉
この設問に対して「思う」が84.7%で圧倒的多数を占めたというわけだが……って、ちょっと待て。設問をどう読んでも“天皇の「生前退位」には憲法改正が必須だ”ということが前提になっているが、それ自体が嘘八百なのだ。
たしかに、天皇の地位やあり方は憲法で規定されている。たとえば皇位継承については、第2条で《皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する》とされ、また第5条においては《皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う》と定められている。
だがこれは、つまるところ“皇位継承等については皇室典範という法律に則れ”としているだけで、第2条や5条が直接「生前退位」そのものを禁止しているわけではない。条文を読めば自明だ。
そして、現行の皇室典範第4条では「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」と定められており、今上天皇の「生前退位」は想定されていない。逆に言えば、皇室典範を国会審議などの手続きを経て法改正すれば、施行日をもってただちに「生前退位」が可能となるのである。
にもかかわらず、産経FNN合同調査の設問は、〈今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか〉と、「生前退位」には改憲が必要であるというふうにミスリードしているのだ。しかも、直前の設問は〈現在の皇室制度では、天皇が生前に退位し、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」の規定がありません〉というもの。皇室典範という言葉を一切出さずに規定の不備だけを訴え、次の設問で一気に憲法の問題にすり替えたのである。
これはミスリードなんてものじゃない。世論を改憲に誘導するための完全な詐欺的行為だ。本サイトでは以前からフジサンケイグループによる恣意的世論調査の数々を指摘してきたが、今回のやり方はいくらなんでも酷すぎる。公共性の高い全国紙やテレビ局がこんなことをやって許されるのか。それこそ法律違反のレベルだろう。
このトンデモ世論調査の裏にはもちろん、「生前退位」を逆に改憲に利用しようという保守勢力の意図がある。
本サイトで何度も指摘してきたように、天皇を「国家元首」に戻し、その神性を国民支配のイデオロギーとして復活させたい保守勢力にとって、天皇は「終身制」が必須であり、「生前退位」は認められるものではない。
しかし、各社世論調査が示すとおり国民は天皇の「生前退位」を肯定しており、その世論を無視することはできない。であれば、日本国憲法が「生前退位」発言を認めていないことにして、改憲に対する世論誘導に利用しよう。おそらくそう考えたのだろう。
実際、フジサンケイグループと一部の保守勢力は「生前退位」を改憲にリンクさせようと必死だ。産経新聞は9日付紙面で、「『生前退位』私はこう思う」と題し、安倍政権の改憲イデオローグである櫻井よしこ氏のこんな談話を掲載している。
〈今回の事柄を、現行の皇室典範の枠の中で改定することを否定されていることも感じた。国民の側としては、よくよく考えなくてはいけない。〉
〈陛下がおっしゃった結果、皇室典範などを変えるという結論になるのは、よほど慎重でなければならないだろう。政治的利用の余地が生まれる可能性があるためだ。〉
連中はいったいどんな読解力をしているのだろう。何度でも繰り返すが、天皇の「生前退位」それ自体は、憲法改正とはまったく関係なく、皇室典範改正で対応できるのだ。ところが、彼らは皇室典範改正を「政治的利用」だと言い、だからこそ憲法改正をすべきだというのである。そっちのほうがはるかに「政治的利用」だろう。ここまでくると、あなたたちの頭の中は大丈夫か、と心配になってくる。
しかし、こうしたインチキな謀略世論調査、支離滅裂な改憲論を「トンデモ右翼がまたバカなことを」と笑って済ませるわけにはいかない。なぜなら、この国を支配し、現実に改憲に向けて邁進している安倍政権がそのトンデモ右翼と完全に一体化しているからだ。
実際、この世論調査の結果に気をよくした安倍政権がそれこそ、悲願の改憲の最初に、天皇条項第1〜8条の改正を言い出す可能性もゼロではないだろう。現実にはそれは無理だとしても、改憲への抵抗感を取り除くためにこうした議論を煽ることはおおいにある。
いや、そもそも今回のトンデモ世論調査は、そうした狙いをもった安倍官邸が自分たちと一体関係にあるフジサンケイグループを使って仕掛けたものなのかもしれない。
そして、安倍政権と保守勢力はこれから、こうした詐欺的な世論操作を次から次へと打ち出してくるだろう。多くの国民、メディア関係者は「まさか改憲まではいかないだろう」とたかをくくっているようだが、今回の「生前退位のための改憲に賛成84.7%」という数字が示すように、情報操作のやり方次第では、一気に改憲賛成論が圧倒的多数を占めるように誘導することは可能なのだ。私たちはゆめゆめそのことへの注意を怠ってはならない。
(小杉みすず)
最終更新:2017.01.24 12:23
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
公選法違反疑惑浮上の斎藤知事「SNS戦略の企画立案は依頼していない」の言い訳は通用するか? 削除されたPR会社社長の投稿を検証
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
公選法違反疑惑浮上の斎藤知事「SNS戦略の企画立案は依頼していない」の言い訳は通用するか? 削除されたPR会社社長の投稿を検証
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード