日本会議支部が小池百合子に「在特会・桜井誠の副知事抜擢」を要請!?「パーフェクトヒューマンは反日ソング」発言も

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日本会議公式ウェブサイトより


 日本最大の右派団体「日本会議」がメディアでブームだ。傘下の議連に安倍首相をはじめ、多くの政治家が所属している日本会議は、全国で組織的な署名活動を展開するなど、安倍政権による改憲の大きな推進力となっている。実際にその規模とネットワークは強力で、現在、約3万8千人の会員を有し、全国都道府県に220以上の本部と支部を設置している。

 そんななか、ある日本会議の支部のブログが、ヘイトスピーチと一体化しているということをご存知だろうか。

〈まさに今、
 東京の危機です!
 東京五輪の危機です!
 日本の危機です!
 ここ一番、神風よ吹け!
 小ブログでは、桜井誠氏を応援しています。〉

 これは、つい数日前(後述する)まで「日本会議千葉八千代支部のページ」を名乗っていたブログからの引用である。いうまでもなく、桜井誠氏というのは都知事選に立候補していたヘイト市民団体・在特会(在日特権を許さない市民の会)の元会長。在特会といえば在日コリアンのジェノサイドを扇動する極右団体だが、なんとこの日本会議の支部を称するブログは、その桜井氏をこれでもかと応援していたのだ。

 実際に、「【緊急拡散】さあ、桜井誠の出番だ!」と題した7月11日付の投稿では、桜井氏に選挙戦術まで指南。〈あくまでソフト路線を貫き、ハード路線はネット上のサポーターに任せること!〉〈桜井氏の著作「大嫌韓日記」をネットで一斉に購入して、知名度アップに貢献すること!〉などと書く。さらに、7月15日の投稿では、桜井氏に寄付までしたと明言している。

〈さて、昨日都知事選が告示され、池袋で第一声をあげる桜井誠氏の勇姿をネットで拝見しました。
 同日、小生も「大嫌韓日記」をアマゾンで購入するとともに、わずかですが桜井氏の資金管理団体に寄付をさせていただきました。
 自分に出来ることは、確実に実行していくだけです。〉

 しかし、現実に桜井氏が当選する可能性は0ということもあり、〈本当は、桜井誠氏に当選していただきたいのは山々ですが、背に腹は変えられ〉ないので、“戦略的に”小池百合子氏支持に切り替えたという。それでも小池百合子氏に対して〈あなたが都知事になったら、猪瀬直樹氏、櫻井よし子氏、桜井誠氏を副知事に迎えてはいかがでしょうか!?〉などと提案する諦めの悪さ。相当な桜井誠シンパの差別主義者だということがよく分かる。

 繰り返すが、このブログは「日本会議千葉八千代支部のページ」だ。最初の投稿にも、〈本日から、日本会議千葉八千代支部の公式HPを公開させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。日本会議千葉八千代支部では、現在会員を募集しております〉(15年7月5日付)と記されているし、他にも日本会議のフロント団体である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲署名の告知などを盛んに行なっている。実際、日本会議の公式ホームページを見てみると、たしかに千葉県に八千代支部は存在していた。

 ようするに、安倍政権を支える日本会議の支部の責任者に、人種差別に明け暮れて日本の世界的評判を貶めるネット右翼が就いているということらしい。

 だが、驚くのはヘイトだけではない。本サイトが注目したのは、この「日本会議千葉八千代支部のページ」が繰り広げる主張のトンデモぶり。かなりヤバイ“電波”を発信しまくっているのだ。

 たとえば今年3月11日の投稿では、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾、ダンサーらからなるユニットRADIO FISHの楽曲「PERFECT HUMAN」について、妄想全開で歌詞の解釈をしている。こんな感じだ。

〈結論から言いますと、「PERFECT HUMAN」は“敗戦国”であり“災害国”でもある我が国を揶揄(やゆ)する「反日ソング」ではないか、という疑いがどうしてもぬぐいきれないのです。〉
〈“彼”とは、マッカーサーその人を指すのではないかと考えます。〉
〈そして、彼にひざまずく敗者とは“日本”であり、“天皇陛下”を指しているとしたら、とんでもない差別です。〉
〈(引用者註:歌詞の一部を指して)この儀式的な言葉の裏には、“天皇陛下”を殺して、その血と魂をささげろと、扇動しているように聞こえます。〉
〈“nakata(ナカタ)”は、“チヨダ(=皇居のある場所)”の言い換えと考えることができます。〉
〈“大地”と“海”がパッカーンという表現は、“東日本大震災(3.11)”後の様子や、東京大空襲で焼け野原になった様子(3.10)を小馬鹿にした表現ではないかと考えます。〉
〈「キングなら歴史をくつがえす」として、“彼”(=マッカーサー)に日本を転覆させよとけしかけている。
 これは、まるで勝手に戦勝国だと主張した朝鮮人のマインドと同じです。〉(原文ママ)

 もういいだろう。ところどころマンガ『MMR マガジンミステリー調査班』(講談社)を彷彿とさせるものがあるが(愛読者の皆さんスンマセン!)、これはそういうレベルをはるかに超えた電波系だ。しかもその電波は結局、コリアンヘイトにいきついているのだから、かなり有害である。

 さらにブログを遡っていくと、5月7日付の投稿で、本サイトについての電波な「考察」までしてあった。曰く、リテラの記事のほとんどは〈AI(人工知能)が創作したものではないかと思うのです〉とのこと。

〈「リテラ」を運営するのは、株式会社サイゾー(CYZO Inc.)であることがわかっています。
 そして、株式会社サイゾーの代表は、揖斐憲氏、オーナーは苫米地英人(とまべちひでと)氏です。〉
〈サイゾーのオーナーである苫米地氏は、認知科学者として計算言語学、人工知能、離散数理科学、分析哲学、認知心理学、機能脳科学などを研究しています。
 彼ならば、専門分野であるAI(人口知能)を駆使し、それをビジネスに生かすことも可能だと思います。〉
〈つまり、AI(人口知能)を使って、次々と記事を創作させ、いつの間にか日本中が動揺させられるという事態がすでに起きていると考えられるのです。〉

 反論するのもバカバカしいが、とにもかくにも、もはやこの「日本会議千葉八千代支部のページ」の管理人は“妄想世界の住人”となってしまっているのは間違いない。いやはや、日々、ネトウヨの妄想に辟易としている本サイトではあるが、これほどのタマには久しぶりにお目にかかった次第である(正直、この“リテラAI説”は編集部で大ウケだった)。

 ちなみに先に少し触れたが、じつはこのブログ、去る7月30日の投稿で、〈「日本会議八千代支部のページ」としての役割は、ここでひとつの区切りをつけさせていただきたい〉として、ブログ名を変更している。

 実はここ最近、このブログがネットでちょっとした話題になっており、日本会議本部が表向き、その存在を隠そうとしたのかもしれない。しかし、8月2日現在でも、そのサブタイトルには〈旧日本会議千葉八千代支部のページです。「憲法改正」・「愛国教育」・「国体護持」・「日本第一」を軸に、様々な言論活動や情報発信を行うブログです〉とある。

 いずれにせよ、「安倍政権を支える巨大極右組織」とも「草の根保守の全国ネットワーク」「地道な保守運動」とも称される日本会議だが、その末端にはかなりヤバい電波なネトウヨが入り込んでいるということだろう。

 いっておくが、これは笑い話ですませられることではない。なぜなら、この国の政権の中枢にいる政治家たちの多くは、こんな連中からの支援を受け、こんな連中と一体化して改憲運動を展開しようとしているのだ。

 いや、この「日本会議千葉八千代支部のページ」が「愛国」の名のもとに展開するトンデモ発言を注意深く読むと、安倍首相をはじめとする自民党の極右政治家たちも根っこのところでは同じ匂いを漂わせていることがよくわかる。あらゆるものを反日に結びつける陰謀論に前時代的な差別主義……。

 そういう意味では、これら電波ネトウヨの姿はこの国を支配する政治の本質を表しているともいえるのだ。この現実をわたしたちはよくよく認識すべきだろう。
(宮島みつや)

最終更新:2016.08.02 12:17

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