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SMAP報道の舞台裏を改めて検証!芸能記者匿名座談会(中)
スポーツ紙はSMAP報道でいかにジャニーズの大本営発表を垂れ流し続けたか! その嘘と情報操作を検証する
芸能記者たちの“いまだから言える”SMAP問題
■検証「SMAP騒動」芸能記者匿名座談会シリーズ→(前編)(中編)(後編)
A/スポーツ紙芸能デスク B/芸能ライター C/スポーツ紙J担記者 D/週刊誌記者
●日刊スポーツがジャニーズの公式見解だった
──前回は、SMAP独立の裏にケイダッシュがいたことや、追放されたSMAPマネージャー・飯島三智氏とジャニー喜多川氏の関係、キムタク・静香夫妻の裏切りなど、SMAP独立の動きが始まってから、第一報が出るまで、いったい何が起きていたかを語ってもらったんですが、今回はその第一報後の報道ラッシュ、そして例の『SMAP×SMAP』(フジテレビ)での“生謝罪”までの舞台裏にいきましょうか。
A 1月13日の日刊スポーツ、スポーツニッポンの第一報から始まって、今回は良くも悪くもスポーツ紙が報道をリードするかたちになった。テレビのワイドショーが一切沈黙し、スポーツ紙の1面を紹介することに終始したから、なおさらその存在が際立った面もあるが。
B たしかに、今回のワイドショーの凍りつきぶりはひどかったからね。経緯や背景にはまったく触れず「SMAPが分裂してしまうのが残念」「なんとか存続してほしい」と、当たり障りのないことをひたすら繰り返すだけ。
C 各局のワイドショーでは、コメンテーターに「今日、どういうコメントをいう予定か」という事前チェックをしたり、「ジャニーズを刺激する発言は避けてほしい」というお願いをしていたらしいね。政治的な大事件が起きた時でもこういうことはやらない。関係者の間では「テレビ局は官邸よりジャニースが怖いみたいだ」なんて冗談もとびかっていたくらいだった。
D 笑ったのは、1月14日に草なぎ剛がドラマ『スペシャリスト』の番宣でテレビ朝日のワイドショーに出演した時。『グッドモーニング』も『羽鳥慎一モーニングショー』も草なぎが登場した途端に、SMAP解散の話題は封印。一切ふれなかった。羽鳥なんていうことがなくて「いいパーカーですね!」なんて質問してたもんね(笑)。
B でも、スポーツ紙だって同じ穴のムジナだけどね。見出しはセンセーショナルだったけど、中身は結局、ジャニーズ事務所の大本営発表。ニッカンとスポニチはジャニーズ事務所からスクープにお墨付きをもらった関係で、最初から飯島氏と4人の独立の動きを「クーデター」「造反」と決めつけていた。「事務所側が「恩をあだで返した」とみても仕方ない」(ニッカン)、「女性マネの独立画策は芸能界にとってルール違反で、その結果女性マネと中居ら4人が行き場を失った」(スポニチ)とかさ。
C そのあとも批判のトーンはどんどんエスカレート。「渦中女性マネ雲隠れ」「SMAP放置」(ニッカン)、スポニチなんて〈年末年始の仕事現場で、中居らが木村を無視していた〉〈28年苦楽をともにしてきた盟友への冷酷な仕打ち〉と、中居批判にまで踏み込んでいた。
B 一方で、ジャニーズに残ったキムタクを「筋を通した」と大絶賛していたしね。とくにニッカンはキムタクが「4人を説得した」とか「メリー副社長に戻してやってと頼んだ」とかヒーロー扱いしていた。
A でも、ニッカンとスポニチは最初、微妙に報道のトーンが違っていたよ。第一報でも、ニッカンは「SMAP解散」の見出しで「木村残留、他の4人は出て行く」「もう結論は出ている」と言い切っていたが、スポニチは「分裂危機」が見出しで「今後は話し合い次第で全員が残る可能性もわずかにある」とした。その後も一貫して、ニッカンは復帰はありえない、スポニチは復帰の可能性あり、の姿勢だった。
C そんなところから、ニッカンはジャニーズが情報源で、スポニチがバーニングとケイダッシュがネタ元だったんじゃないか、などという観測も流れていたけど。
A ニッカンがジャニーズの情報で記事を書いていたのは間違いない。広報を仕切る白波瀬傑氏はむしろ、関係の深いニッカンに情報を集約させ、全体をコントロールしようとしていた気配がある。関係する芸能記者やレポーターにも「何かあったら『日刊スポーツ』を使え」という通達まであったというし、全国紙の記者が知り合いのジャニーズ幹部に取材を申し込んだところ、「日刊スポーツがうちの公式見解ですから、それを読んで下さい」と言われた、なんて話も聞いた。
B その後のキムタク、ジュリー会談なども、ニッカンが抜いたものだったし、完全に、広報紙だったよね。
●スポニチはメリー氏がネタ元? 報知は誤報連発
A でも、一方のスポニチがバーニングやケイダッシュをネタ元にしていたというのはありえないだろう。第一報はそうだったかもしれないが、その後もケイダッシュの情報に乗っていたら、飯島マネや中居にあんなに厳しいことを書くはずがない。さっきも言ったけど、スポニチは、ニッカンよりも飯島、中居に厳しかったからね。
C 途中からスポニチには広報とは別ルートでジャニーズの情報源が現れたんじゃないかと言われているね。他でもない“女帝”メリー喜多川副社長なんだが。ベテラン記者のところに突然、電話をかけてきて、飯島氏と中居の悪口を言いまくっていたと聞いたけど。
A たしかに、今回に限らず、メリーさんの“恐怖の電話”話はよく聞くよね。気に入らない報道があったり、書かせたいことがあると、知り合いの記者に突然、電話をかけてきて、一方的にしゃべりまくる。スポーツ紙だけじゃなくて、週刊誌記者や芸能レポーター、あと、編集部に菓子折りを持って現れることもあったらしい。残念ながら、うちの社には、その電話を取った人間はいないが。
C いずれにしても、スポニチがメリー氏とつながっていたのは間違いないだろう。スポニチは1月18日、「謝罪なし」という見出しで、芸能界の重鎮が仲裁し、4人に対してメリー氏に謝罪するよう言ったが、4人は謝罪していないと報道した。でもこれ、その後に出た「週刊新潮」(新潮社/1月28日号)のインタビューで、メリー氏が話していたこととまったく同じ話だからね。
B ようするに、ニッカンとスポニチは同じジャニーズでも温度差が大きく違うネタ元を持っていたため、それが記事に反映された、ということか。事務所経由の“正式ルート”だったニッカンは抑制が効いていたが、一方の“メリールート”のスポニチは怒りが紙面に表れていた、と(笑)。
──他のスポーツ報知やサンケイスポーツの名前はあまり出てきませんが、どうだったんですか。
A はっきり言って、完全に出遅れていたよね。ニッカンとスポニチを追いかけたくても、ジャニーズがまともに取材に応じてくれないので、頭を抱えていた。方向性も定まっていなくて、スポーツ報知なんて、14日の段階では、飯島マネージャーのことを評価する記事を書いて、ジャニーズ側にクレームを入れられたらしい。
C 報知はその後、メリー氏の娘である藤島ジュリー景子副社長に近い情報源を確保したみたいで、翌日以降一転、事務所の態度が硬化していることを報じるなど、ジュリー寄りの記事を連発していたね。
D でも、そのわりには誤報も多かった。SMAPの収録予定日を間違えたり、“歌”の収録を“コント”と間違えたり、連日のように細かなミスを重ねていた。
B 報知でひどかったのが、1月22日の「SMAP歌った ジュリー副社長新企画」という記事。その前日、騒動後初の『SMAP×SMAP』収録が行われ、SMAPがメドレー形式で歌ったんだが、報知では「育ての親の女性チーフマネジャーではなく、ジャニーズ事務所の後継者とされる藤島ジュリー景子副社長の陣頭指揮のもと準備された新企画」「新・SMAPを印象づける再スタートとなった」とジュリー氏を持ち上げた記事を掲載した。でもこれって、以前から用意されていたもので、飯島氏の最後の企画でもあった。現場を知らないジュリー派からの間違えた情報で、提灯記事を作っちゃうんだから。
D サンケイスポーツは、前回の記事でも触れた、14日の「キムタクに静香「残って」」「2人の子供のために…妻の懇願」という記事くらい。でも、これはジャニーズじゃなくて、静香の所属するプロダクション尾木周辺から出たものらしい。美談仕立てになっていて、話は全然違うしね。
●ジャニーズ事務所と芸能マスコミの計算を狂わせた世論の反発
──こうしてみると、やはりスポーツ紙の報道はほとんどがジャニーズの「大本営発表」だったということになると思うんですが、ただ、そのわりに、その後の展開は報道とは違うものとなりましたよね。各紙の報道は微妙な温度差はあっても、「芸能界のルールを破った中居たちを事務所は許さない」「独立しても仕事を干されることになるだろう」という見込みは共通していた。ところが、事態はまったく逆、4人のジャニーズ復帰に向かって動き始めた。
A 正直、そこは我々が読み違えた最大のポイントだね。ニッカンもスポニチも「4人が戻るのは難しい」と断定していたし、報知なんて、4人がジャニーズに戻っても「1年は謹慎することになる」なんて書いていた。でも、これまでの常識だとそうだったんだよ。ジャニーズ事務所が造反したタレントの仕事を徹底的に干し上げ、力で押し潰してきたのを見ていた記者たちは、今回も同じことになるんだろう、と思い込んでいた。ところが、SMAPというグループには我々が想像している以上の影響力と存在感があって、ファンというか世論がそんな事務所の横暴を許さなかった、ということだろう。
D あと、やっぱりネットの存在は大きいよね。芸能マスコミがいくらジャニーズ側の情報に乗っかって、飯島マネージャーと4人のせいだと書いても、ネットでは、ジャニーズ事務所、メリー副社長が元凶で、キムタクが裏切り者だという情報がどんどん拡散。ジャニーズ事務所は回線がパンクするくらいの抗議電話が殺到していた。
B 実はジャニーズの幹部連中は相当、危機感を募らせていたみたいだね。スポンサー筋やSMAPを起用しているパラリンピック委員会からもクレームが入っていたらしいし、この騒動で他のタレントにもマイナスイメージがつきかねない。ジャニーズ事務所内でも、中居たちを潰すようなことをしたら、ものすごい反発を招くというのがわかったみたいで、途中から完全に方針転換していた。
C ジャニーズから流れてくる情報も、1月15、16日頃を境に変わっていったよね。力で抑え込むような強気の内容から、かなり防御的なスタンスものに変化していった。「中居たちが謝罪に来れば許すつもりだったのに、謝罪に来なかったから」ということをやたら強調し始めて、マイナスイメージを払拭しようと躍起になっていたしね。
D 1月初めにはメリー氏が「週刊新潮」、顧問の小杉理宇造氏が「週刊文春」(文藝春秋)のインタビューに応じたのも、その表れだろう。実際、メリー氏のインタビューも、いつもの暴言は影をひそめていて、まるで文書回答したようなよどみのなさ。このインタビューはかなりゲラチェックが入ったらしいよ。
C あと、ジャニーズの幹部たちは裏で、中居たちの復帰に向けて地ならしを始めていた。中居たちが後悔しているという情報を流していたのも、実は中居サイドじゃなくて、ジャニーズ事務所サイドだったし。
A これは、キムタクも同じだった。前も話したように、キムタクはたぶん、ある時期まではSMAPが解散になってもいいと思っていたはず。だが、世論の反発が起きて、このまま解散になったら自分が戦犯にされる、と思ったんだろう。ジュリー氏と相談して、4人の復帰に向けて動き始めた。
B ただ、最大の障害はメリー氏だった。実は、ジャニーズの広報は第一報の直後、中居に謝罪会見をさせて、事態の収拾をはかろうとしたことがあるんだが、その時も、メリー氏が「何が会見だ」と激怒。それを阻止してしまった。ジャニーズサイドは中居たちがメリー氏に謝罪していないという情報をしきりに流していたが、これも逆で、メリー氏が中居たちのアプローチに頑として首を縦に振らなかったのだという。最後まで、周囲の説得に耳を傾けようとせずに、「絶対許さない」と言い続けていたらしい。
C たぶん、事務所が途中から、和解や復帰の情報を流し始めたのは、外堀を埋めていく作戦だったんだろうね。ニッカンを中心に、キムタクが仲裁に動くという情報をどんどんあげて、マスコミ辞令でそういう流れにしていく作戦というか。さらに小杉氏らが動いて、もう一度、田邊氏にメリー氏を説得してもらったらしい。
D そういえば、完全シャットアウトされたはずの『SMAP×SMAP』の生謝罪現場に、田辺エージェンシーの社員が2人も立ち会っていたらしいね。
A そして、17日の夜に中居ら4人がまず、ジャニー喜多川氏に会って謝罪。その後、中居が個別にメリー氏に会って謝罪、『SMAP×SMAP』での“生謝罪”で復帰という運びになるわけだが……。
B いや、中居らは17日の段階ではメリー氏に会っていなかったという見方もある。メリー氏が最後まで拒否したという話もあるし、メリー氏が中居らと会うにあたって“キムタクへの謝罪”という条件をつけたところ、中居がそれを拒否したという話もある。ただ、ジャニー氏がGOサインを出して、なんとか“生謝罪”にこぎつけた、というんだが……。
C たしかに、この“生謝罪”も裏でいろいろごたごたがあったね。
──次回、後編では、その“生謝罪”の裏側と、スポーツ紙をはじめとする芸能マスコミがなぜジャニーズに弱いのか、という根本的な問題を検証したいと思っています。引き続き読んでください。
(構成/編集部)
■検証「SMAP騒動」芸能記者匿名座談会シリーズ→(前編)(中編)(後編)
最終更新:2016.08.14 02:24
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