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大阪ダブル選挙で橋下市長の暴言とデマがヒドい! 演説で「おまえらチンコついてんのか」、共産党市議の発言捏造
橋下徹オフィシャルウェブサイトより
11月22日の投開票まで、あと4日となった大阪府知事・市長ダブル選挙。政界引退を表明している橋下徹・大阪市長は、例によって公務そっちのけで大阪維新の会の街頭演説に走り回り、ツイッターを更新し続けているが、その内容はといえば、これまた例によって、対立する自民党陣営への醜悪な罵詈雑言、デマやごまかしを多々含むプロパガンダに満ちている。大阪市長退任まであと約1カ月。自分が勝つためなら平気で詭弁を弄し、どんな理不尽なこともやってきた自らの政治家人生の集大成の様相を呈している。それでも大阪の有権者は維新を選ぶのか──。
府知事選が告示された今月5日(市長選は8日告示)以降、橋下が市役所へ登庁したのは2日間のみ。両日合わせてたった約4時間半の執務で打ち合わせをいくつかこなしただけで、あとはすべて「公務日程なし」が続いている。
普通なら、これだけでも「いかがなものか」となるが、橋下にとっては通例の選挙モード。登庁日数の少なさを過去にメディアやツイッターで指摘された際には「職員から報告を受けて判断するのが市長の仕事。家でもできる」と言い放った橋下のこと、周りは慣れっこで、「それは言わない約束」状態になっている。詭弁・すり替え・責任転嫁、それに批判者や反対意見に対する徹底した嫌がらせと弾圧を繰り返すうち、「何を言っても無駄」と、サジを投げられているのである。こうなれば嘘もデマも流し放題である。
たとえば、今回ダブル選挙の告示1カ月前には、堺市内を走る泉北高速鉄道を買収した南海電鉄がダイヤ改正と新サービスを発表したが、橋下はこのニュースに便乗し、〈大変時間がかかりましたが民営化は大成功。維新政治の成功例の一つです〉とツイッターに書き込んだ。しかし、これは“偽装”も甚だしい。実際は、府が出資する第3セクターの経営だった同鉄道を、橋下の盟友である松井一郎府知事と維新会派がアメリカの投資ファンド「ローンスター」に売り飛ばそうとしたのを、地元の反対を受けた堺選出の維新府議4人が離反して阻止。結果的に南海への売却が決まった、という経緯がある。つまり、「維新政治の成功例」などではまったくなく、逆に、維新政治を阻止して得られた成果なのである。
選挙戦中盤の14日には、大阪・ミナミのアメリカ村に立ち、「若い人たちがもっと(5月の)住民投票に行ってくれたら都構想がスタートし、東の東京都、西の大阪都になっていた」と若い世代の政治参加を訴えた。しかし、これまで何度も指摘されているとおり、5月の住民投票は、単に大阪市の廃止・解体の賛否を問うものであり、仮に可決されていても、「大阪都」などにはならず、大阪府は大阪府のままだ。「都」になれば、なんとなくよさそうというイメージだけでごまかす詐術である。
そもそも、住民投票前には「最初で最後のチャンス」「何度もやるものではない。一回限り」と繰り返し明言してきた「都構想」を再び維新が公約に掲げていること自体、嘘をついたと批判されて然るべきものだが、前述のような状況にあるメディアは問題視することなく、「争点は都構想」などと報じている。
今回の選挙で橋下がとりわけ攻撃ポイントとしているのが、自民党と共産党が「維新政治を終わらせる」の一点で手を組んだこと(共産が自民候補を自主支援)。橋下は街頭でこんな発言を繰り返している。
「(自分という)一人の男を倒すためだけに自民党、民主党、共産党と3つの政党が組まなきゃできないのか。 おまえらチンコついてんのか」(11月7日)
「(自民の府知事候補が自身のシンボルカラーの)赤い服ばっかり着て、どこまで共産党が好きなんだ。自民と共産が手を組むなんて大阪だけですよ」(11月8日)
そして、ツイッターではとうとう明白なデマを拡散し始めた。14日の書き込みだ。
〈大阪共産党幹事長山中氏「この選挙が終われば自民党は共産党の言いなりになる!」 youtu.be/D7cKaiw2Ls4 自民・共産連合の相手方候補が市長・知事になれば、大阪は暗黒だ。共産党の応援を受ければこう言われるの当然なのに。大阪自民も終わった。〉
橋下が貼り付けた動画のどこを見ても、そんな発言はないのだが、いかにも真実らしくカギカッコでセリフを捏造。これを見た人たちから「そんなこと言ってないが」と突っ込みが入っても完全無視して、同内容のツイートを3回にわたって流したのである。共産党憎しのあまり平静を失っているのか、それとも、「嘘も100回言えば真実になる」というプロパガンダの基本を忠実に踏襲しているのか。敵を倒し、自分の言い分を通すためには平然とデマを流す橋下の無茶苦茶ぶりに、「さすが、デモクラシーならぬ“デマクラシー”の政治家」という声も上がっている。
ところが、これだけ橋下がデマや悪口雑言を垂れ流しても、維新有利で選挙情勢が進んでいくのが大阪の悲しさ。報道各社の世論調査をもとに、大阪政界関係者はこう分析する。
「市長選では、橋下後継の吉村洋文(維新)が柳本顕(自民)を15ポイント前後リード。府知事選では、現職の松井一郎(維新)が栗原貴子(自民)にダブルスコア、下手すればトリプルスコアもあり得る大差をつけている。もともと選挙に強く、橋下とのコンビで知名度も高い松井の圧勝は予想されたことにしても、議員歴も浅く、故・やしきたかじんとの関係で、ある意味スネに傷を持つ吉村がこれほど支持されるとは予想外やね。彼はルックスこそいいけど、知名度はほとんどなく、演説も下手。だから橋下が付きっきりで演説に回って、本人以上にしゃべってるんやろうけどね。自民の市長候補の柳本は5月の都構想住民投票で反対派のシンボル的存在になった元市議。41歳と若く、穏やかな性格で、演説も落ち着いて聴かせるから、候補者としては悪くない。だけど、周りについてる自民党の連中がいかにも“守旧派”を印象づけてしまうんやね。維新が連呼する『過去に戻すか、前に進めるか』のキャッチフレーズがうまく効いてしまっている」
しかし、それ以上に効いているのが橋下の共産党猛攻撃らしい。もともと橋下の共産党嫌いは筋金入りで、過去に何度も槍玉に上げたことがある。
「僕は酢豚のパイナップルと共産党だけは大っ嫌いなんですよ」と、手垢の付いた小学生レベルの“あるある話”で支持者を笑わせたのは2013年9月、今はなき「日本維新の会」発足を控えたパーティー。「だから、どう考えても共産党とは一緒にできませんよ。でも、石原(慎太郎)代表(当時・太陽の党)とは考え方は違うけど、まあなんとかなるかなという範囲」と、要するに石原との合流への野合批判をかわすための材料に使っている。
いわゆる「大阪都構想」が行き詰まっていた14年5月の市議会では、議場最前列に座る30代の共産党議員が「ガキじゃないのににらんできたり、エヘラエヘラ人を小馬鹿にしたり、ブツブツ言ったり」してくるから腹が立つという理由で、共産党議員からの質問にはまともに取り合わなかった。
しかし、今回の共産党攻撃はもっと戦略的なものらしい。前出の大阪政界関係者が続ける。
「いくら橋下や維新の横暴が許せないと思っても、自民党支持層の中ではなんだかんだ言って共産党アレルギーは相当強いからね。橋下が嘘でもデマでも構わず、自民と共産の共闘を繰り返し攻撃するのは、そのへんの効果を狙ってるんやと思いますよ」
嘘やデマを垂れ流すのは、イデオロギー以前の人間性の問題、いわば社会悪と考えるべきだと思うが、約8年間にわたって橋下に言いたい放題・やりたい放題をメディアが許してきた大阪では、そうならないらしい。
橋下は市長を退いた後も、大阪政界に関わり続けるのは確実とみられている。大阪はこれからの4年間も、彼がまき散らす「デマクラシー」に汚染され続けるのだろうか。
(大黒仙介)
最終更新:2015.11.20 11:56
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