室井佑月の「8.30反安保デモ」参加宣言にネトウヨタレント・フィフィが噛み付いた!

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文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』公式サイトより


〈8・30、あたしは行く。もういても立っても……。〉

「週刊朝日」(朝日新聞出版)8月28日号の連載エッセイで作家の室井佑月がこう宣言し、いま、大きな話題を呼んでいる。8月30日には国会議事堂周辺をはじめ、全国で100万人参加を目指す大型デモが行われるが、室井はこのデモに参加する、というのだ。

 この宣言に、さっそく噛みついた人物が現れた。エジプト出身で、ネトウヨから圧倒的支持を受けているタレントのフィフィだ。

 フィフィはツイッターで、【安保法案/室井佑月さんが干される覚悟でデモに参加する】というタイトルをつけて室井の記事を紹介し、このように綴った。

〈干される覚悟で…って反対派は干される心配ないと思うよ。マスコミのスタンスに疎いなぁって思った。〉

 ちなみに、室井の記事は週刊朝日のウェブサイト「dot.」でも配信されているが、そのタイトルにも本文にも「干される覚悟で」などという文言は入っていない。拡散させるときに誰かが勝手に付け足したものでしかないのだが、フィフィは室井が「干される覚悟」と発言していると勘違いしたまま、「反対派は干される心配ない」「マスコミのスタンスに疎い」と批判しているようだ。

 だが、たとえ室井の発言でないにしても、フィフィは「反対派は干されない」と考えているのだろう。というのも、彼女は2013年4月に大阪の番組から〈オファーがパタリと無くな〉ったとツイッターに投稿。その原因を〈在日外国人への生保への批判〉としていた。さらに〈実は“韓国に意見をしてもセーフ、在日外国人へ意見するとアウト”なんですよ。いわゆるこれがタブーなんですよ。私以外のタレントでかつて在日外国人の政策に意見した人いました?〉と述べている。

 いやいや、そのヘイトスピーチ同然の妄想捏造話は竹田恒泰も『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)で語っていたし、その竹田は今も同番組をおろされずに出演してますけど?とつっこみたくなるが、しかしフィフィは、タブーに触れたから干されたという陰謀論に凝り固まっているようだ。

 まあ、この思考回路ならば、「テレビは安保賛成がタブー化している!」「安保反対派の意見ばっかりだから干されるはずがない」と考えていてもおかしくない気はする。

 だが、はっきり言って「マスコミのスタンスに疎い」のはフィフィのほうだ。たしかに笑福亭鶴瓶や吉永小百合、大竹しのぶなどの芸能人たちが安保法案に反対を表明したり、ミュージシャンのあいだにもその動きは広まっている。しかし、室井のようなテレビ番組でコメンテーターをつとめるタレントや文化人のなかに、安保法案に反対する姿勢を明確にし、発言する人物がどれほどいるというのか。せいぜい『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、松本人志が賛成派的意見、中居正広が反対派的意見を口にしたくらいで、賛成か反対か、その態度さえはっきりと打ち出すタレントが見当たらないような状態だ。そういう意味では「マスコミのスタンス」は、“賛成か反対か意見を口にする”ことをタブー化しているといったほうがいい。

 そう考えると、室井の発言は堂々としたものだ。というのも、今回のデモ参加表明に限らず、室井は一貫して安倍政権の独断的な政治を批判しつづけているからだ。

 たとえば、ISによる邦人人質事件が発生した際は、室井は『ひるおび』(TBS系)で政府がきちんと交渉できていないのではと疑問視し、カイロでの安倍首相のスピーチがISを刺激したのではと指摘。これは当然の疑問であり指摘だが、こうした意見さえ、当時のワイドショーではコメンテーターから発せられることはほぼなかった。

 さらに、今回の安保法案についても、「週刊朝日」の連載でその欺瞞を繰り返し批判。国会での審議も〈この国の安全のための安全保障関連法じゃない、かの国のため。与党はそうはっきりはいえないから、野党に突っ込まれ苦しい答弁になる〉と批評し、〈自公の議員は、この国の国民も、アメリカに依頼されればすぐに差し出せる、弾薬のような消耗品と思っていないか? 人殺し兵器を他国に運ぶのも、現地で危ない目に遭うのも、いいだしっぺの彼らじゃない〉と、市民目線で論評している。

 くわえて、テレビに出演する内部の人間としても〈テレビで安保法案を少しでも扱うなら、今揉めているのは他国を武力で守る条件についてなどであって、愛国心云々をただ熱く語るだけの人をコメンテーターに呼ぶのはやめてほしい。誤解が広がるから〉と意見を表明。また、「(自民党の圧力に)報道機関がほんとうに萎縮しているというなら、報道機関にとって恥ずかしいことなのではないか」と発言した安倍首相に〈あたし、安倍さんのその意見には大きく賛同するわ〉といい、〈業界の末端、トカゲの尻尾からのお願いです。恥ずかしい人たちと思われながら、呼び出され、ホイホイ飯を食いにいくのやめれ〉と、安倍首相と仲良く会食に繰り出すテレビ局の幹部や新聞記者たちを批判した。

 干されても上等、でも批判すべきものは批判する──室井の姿勢には、そうしたはっきりとした態度が見える。フィフィが言うような「干される覚悟で」なんてチマチマしたことはハナから考えていない。そんなふうにも思えるのだ。

 実際、室井は今年5月15日、金曜レギュラーの『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送)で、このように話している。

「すごい戦争法案進めた人たちの声が大きんだもん。だけど、いま黙ってると、もう取り返しがつかないじゃない」

「デモに行く時間があるなら作品書けよ」とネット上では批判されている室井だが、「黙っていると取り返しがつかなくなる」「もういても立ってもいられない」という室井の危機感は、言論人として真っ当な感覚だ。現に、全国で広がる反対デモは確実に政権にダメージを与えている。

 100万人のひとりになるためデモに参加すると決めた室井だけでなく、多くの人が声をあげることを祈らずにいられない。
(水井多賀子)

最終更新:2015.08.25 10:06

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