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ももクロ川上マネージャーとヒャダイン確執の真相 ももクロの本当の仕掛人は誰?
ももクロのメジャーデビューシングル「行くぜっ!怪盗少女」(ユニバーサル)
今年2月に公開された映画につづいて、今月5月1日からはメンバー全員で初舞台『幕が上がる』に挑戦中のももいろクローバーZ。アイドル活動だけでなく女優方向にも舵を取りはじめたこのタイミングで、じつは、気になる発言をももクロの名物マネージャーであり“育ての親”と呼ばれる川上アキラ氏が行った。
「ねえ、もう会社的に言っちゃいけないヒャダインのことも叫んだしね、みんな満足だろ?」
「あいつが一時期、ももクロ……あの、音盤とか干されてたときねえ、声掛けたのオレだからね」
「基本、ももクロにとってトクになんないことはしないね」
このように川上氏が話したのは、現在、ももクロ8周年を記念してスタッフによって行われている企画「東海道中桃栗げ」のUstream生中継でのこと。ヒャダインとは、ご存じ“ももクロの音楽プロデューサー”として一躍脚光を浴びた前山田健一氏。ももクロのファンならばよく知っているかと思うが、じつはここ数年、ももクロサイドとヒャダインの関係が悪化しているとひそかに噂されてきたのだが、これを今回、川上氏は公に認めたかたちだ。
そもそも、関係悪化の噂が流れはじめたのは、2013年1月、ももクロがアルバム発売を発表した際にヒャダインがこんなツイートを投稿したからだ。
〈ももクロ、アルバム出るんですね。参加させてもらえるのかしらん。最近連絡無いからなあ〉
〈最近頻繁に「ももクロに新曲を書いて」ていうリプ来ますが、曲の発注はレコード会社の権限ですから、俺に直訴されてもどうしようもないです〉
さらに、4月にそのアルバム『5TH DIMENSION』が発売される数日前には、〈「進化」てことでサウンドもただ小難しくしただけで、大切な芯を失ったアルバムだと思いました。面白味がない、というか・・。まあ、売れるんでしょうけど・・。〉と投稿。このツイートはすぐに削除されたが、ファンのあいだでは「ももクロ批判では?」と見られてきた。
しかし、ずっと謎だったのは、なぜヒャダインはももクロから切られてしまったのか、ということ。ヒャダインはももクロと同じスターダストプロモーションに籍を置き、しかも、ももクロが所属する部署「芸能3部」に在籍する他のアイドルグループの楽曲はその後も提供していたからだ。そのため、ファンたちは「実際は数曲しか手がけていないヒャダインがプロデューサー扱いされることに嫉妬した川上マネが前山田を外したのでは」と憶測。今回の川上氏の発言は、こうした噂を払拭する狙いがあったのだろう。
だが、“ヒャダイン外し”の噂を払拭するどころか、「ももクロにとってトクになんないことはしない」発言によって、“ヒャダインはももクロには必要なし”と考えていることが露呈する結果に。少なくとも、ももクロブレイクの功労者に対する物言いとしては、あまりに不躾な印象だ。
しかも今回の生中継で、川上氏はもうひとつ、気になる発言を行っている。
「オレはね、オレはマネージャーにこだわりもってんだけど肩書き上はね、プロデューサーってなったんだ」
これまで川上氏は“自分はプロデューサーではなくマネージャー”と繰り返し主張しては、裏方の一員であることを強調してきた。だが、『オールナイトニッポンR』(ニッポン放送)でパーソナリティを担当したり、昨年には著書『ももクロ流 5人へ伝えたこと5人から教わったこと』(日経BP社)を発売するなど、マネージャーの枠を超えた活動を展開。その態度はまるでつんく♂や秋元康と並ぶアイドルプロデューサーであるかのようで、そのことが「ヒャダインに嫉妬説」も流れる要因となっていた。今回は、いまごろになって正式に“プロデューサー”になったことを表明したわけだが、発表後は「アハハハハ、アーッハハハ」と声を上げながら満面の笑みを浮かべるなど、まんざらでもない様子だった。
ももクロのプロデューサーは自分だ──そうした川上氏の“自負”は、最近、とみに目立つようになっていた。例をひとつ挙げれば、熱狂的なももクロファンとして知られる内閣参与・飯島勲氏が先月発売した著書『ひみつの教養 誰も教えてくれない仕事の基本』(プレジデント社)におさめられた飯島×川上×百田夏菜子の鼎談。そのなかで、川上氏はこんなことを言っている。
「芸能マネージャーとしてタレントの見せ方のお手本としていたのは小泉元総理のやり方なんです。裏方の人間として、どうやって表舞台に立つ人間を光らせるかという点で、飯島秘書官の仕事にはずっと憧れていました」
飯島氏は小泉内閣で秘書官を務め、“小泉純一郎の黒幕”“小泉劇場の立役者”と呼ばれた人物。川上氏はそんな飯島氏のプロデュース能力に感服し、ももクロにその手法を応用したと言っているわけだ。この言葉からは、川上氏自身がいかにも“ももクロの仕掛け人はオレだ”と自信をもっていることが如実に伝わってくる。
もちろん、川上氏とメンバーの信頼関係が厚いことは疑いようもない事実ではある。川上氏がいなければ、今日までももクロは長続きしなかったかもしれない。だが、かといって“仕掛け人”と呼べるほどの実力が川上氏にあるのかは、大いに疑問だ。
たとえば、ももクロの魅力のひとつとしてよく語られることに、川上氏によるメンバーへのむちゃぶりや唐突なサプライズ演出がある。これは川上氏のプロレス的発想がもとにあるといわれ、本人も「(むちゃぶりを行うのは)対応力の高いタレントになってほしいからなんです」(前出『ももクロ流』)と述べている。が、そもそもこうした演出は、『ASAYAN』(テレビ東京系)でモーニング娘。がすでに実践していた手法。ももクロよりデビューの早いAKB48もこの方法を取り入れ、カフェでバイトしていた篠田麻里子をメンバーに抜擢するといったサプライズを初期から行っている。ももクロが最初にはじめたことでもなければ、物珍しい話でもない。
また、結成当初に使われていた「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズも、川上氏本人も認めているようにAKBの「会いに行けるアイドル」からの影響。ライブ前に「OVERTURE」を流すのも同様だ。
では、ももクロの革新性とは何だったのかといえば、ももクロのいちばんの魅力として挙げられる“全力性”だろう。豪快に全力で踊り、下手でも必死に歌う。そうした、これまでのアイドルらしからぬ姿があったから、女性ファンの獲得や箱押し率の高さを誇ることができたはずだ。しかし、これもまた川上氏の手腕によるものではない。ももクロの全力性は、ヒャダインが作詞・曲・編曲を手がけた「行くぜっ!怪盗少女」が引き出したものだからだ。
グループやメンバーの個性を打ち出した歌詞と、キャッチーでお祭り感にあふれたメロディ。この歌があがってきたからこそ、振り付けも衣装も突飛で豪快なものとなり、メンバー自身も振り切ることができた。実際、メンバーも「『怪盗少女』から曲もガラって変わったし、その曲があったからこそ、いまのももクロのダンスっていうものも付いた」(百田)、「いまのももクロがあるのは前山田さんのおかげなんじゃないかって、初めてのことに気付かせてくれた存在」(高城れに)とテレビ番組のインタビューで語っている。──モー娘。が国民的アイドルへと駆け上がった「LOVEマシーン」のように、ももクロにとっては「行くぜっ!怪盗少女」の存在はそれほどに大きかったのだ。
だが、当然ながらヒャダインの力だけで、ももクロが国立競技場を満員にするほどのアイドルグループになったわけでもない。彼女たちが本来もっていたアイドル性──しかも処女性や性的魅力を売りにするような女性性から解放された自由で新しい形の──と“全力感”がうまく融合したために人気を獲得できたのだ。
川上氏の“プロデュース”は結局つんく♂や秋元の二番煎じでしかなく、ここまでのグループに成長したのはメンバーの資質と出会いによるものに過ぎない──。じつはこの図式、川上氏が手本にした飯島氏にもあてはまる。飯島氏は架空の抵抗勢力をつくり上げて小泉をヒーローに祭り上げたことや、刺激的な短い言葉で観衆の思考を停止させる「サウンドバイト」を小泉に取り入れさせたことなどが革新的な政治手法だともてはやされたが、これらは飯島氏による発案などではなく、小泉自身の戦略、あるいは天然さから生まれたもの。飯島氏が行ったことといえば、自分がいかに策士であるかというイメージをマスコミに流布させただけだ。
自分が有名になったのはあくまで本人たちの才能や資質であるにもかかわらず、あたかも自らの功績かのように語る。……坊主頭や恰幅のよさという表面上の共通点も多い川上氏と飯島氏だが、パーソナリティのほうもどうやら似ているらしい。
それにしても、小泉の政治手法を無批判に称賛し、模倣してました!と嬉々として尻尾を振る川上氏には、呆れるほかない。
しかし、この態度こそ、川上マネ改め川上“プロデューサー”の戦略というものなのだろう。事実、飯島氏は鼎談の最後に「東京オリンピックの開会式、ももクロでできたら面白いんだけどなぁ」と語っているからだ。
権力にすり寄って国家プロジェクトに参加しようとする……こういう秋元康みたいな作戦って、ももクロファンがもっとも嫌悪することであるような気もするのだが。
(大方 草)
最終更新:2015.05.15 04:12
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