長渕剛が「an・an」インタビューを改ざん!? 聞き手の吉田豪に直撃

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画像は長渕剛 OFFICIAL WEB SITE 「LIVE ON」より


 今や芸能界一のコワモテといってもいい長渕剛だが、最近、「an・an」(マガジンハウス)に掲載されたインタビューをめぐって何やらトラブルがあったらしい。インタビューは同誌の7月2日発売号に掲載されたもので、聞き手は有名人の意外な発言を引き出すことで知られる出版界一のインタビュアー・吉田豪。ところが、その吉田がインタビュー後、こんなツイートをしたのだ。

「某大物のインタビュー記事が、原稿チェックによって大幅修正が入り、ほぼ書き下ろしと言っていいレベルになったため、クレジットが「取材・文/吉田豪」から「取材/吉田豪」に変更される模様」

 この超大物というのが長渕剛のことらしい。もしかして、吉田がインタビュー現場で失礼な質問をして長渕にぶち切れられ、その結果、記事が全面書き直しになったのか。まずは掲載されたインタビュー記事を読んでみた。

「撮影当日のスタジオは、朝からただならぬ緊迫感に包まれた。というのも、長渕さんが自宅から持ち込んだ本格的なトレーニングセットによって、そこは瞬く間に“ジム”へと変貌を遂げたからだ」

 自宅からトレーニングセット持ち込み? 冒頭から何やら凄い事が起きそうな気配がヒシヒシと伝わってくるが、やはりというべきか。インタビューに入ると、いきなり長渕節が炸裂する。長渕はインタビュアーの吉田にこう“喝”を入れるのだ。

「君なんかも、本気でやんなくっちゃダメだよ。明日死んでもいいっていう本気だよ、わかる? つまり、みんな本気、本気って言うんだけど、死ぬ気でいかないと本質なんて見えてこないだろ? インタビューも本気でかかってこないとね(笑)」

 以後は長渕の独壇場だ。作品について聞けば、
「自分の心の中から歌いたいこと、いま言いたくてたまらないこと、そういったことが作品にならなくてはダメだ。時代の流れに乗っかって消えていく歌の組に入るのか、それとも自分の名前はいずれ風化されようとも、歌だけは残りたい組に入るのか、その勝負をしなきゃ!! 生まれてきた意味がないだろ!」

 肉体を鍛えていることについて聞くと、
「ミュージシャンの友達はなかなか…軟弱者が多いからな。やっぱり何事も教えを“乞う”気持ちが大切だと思う。本物と出逢い、本物から学ぶってことだな。でも、最近は若いミュージシャンたちも俳優さんたちもすごく肉体を作り始めたんで、いいんじゃないかな! と思いますね。いまは、韓国に負けてるから」。

 何を聞いても、長渕節の説教が延々と展開される。それでも、さすがは吉田。「最近は少し肩の力が抜けたように見えます」「バラエティ番組に出ても、前よりはちゃんとその場に対応しているというか」と長渕の変化にツッコミをいれる。

 すると、長渕は「バラエティ? そのことか?(笑)」と、“オマエ、オレにそれを聞くのか”的威圧感を与えつつ、「出演するなら楽しまなきゃ…って思ってるだけだ。ただ迎合だけはいまだにできないね。しかし譲歩はするよ」と一言。しかし、吉田が「違和感はちゃんと出てます」とさらにツッコむと、長渕は再び吠える。

「その違和感がおもしろいんじゃないか?(笑)バラエティを死ぬ気でやってる創り手も、主役も、バリバリに負けねえオーラが出ているよな?(笑)『クソ野郎! 絶対に負かしてやるぞ!』というオーラが。吉本の芸人さん気質は、下積みの悔しさみたいなものが根底にあるから、みんな必死だよな! その必死さが伝わってくるから、『おもしれえ、勝負だ!!』ってなる。『てめえ、殺すぞ!』って気持ちで俺も食らいつかなきゃ、番組がつまらないだろ!」
 
 とまあ、全編こういう調子で、「殺す!」「死ぬ気」など物騒な言葉が飛び交う熱いトークが繰り広げられているのだ。しかも文章の末尾になせか「(笑)」が頻繁に挿入されているのもかえって不気味である。

 あれが書き直されたものだとしたら、いったい現場では何が起こっていたのか。ここはインタビューした当人に話を聞くのが早いだろうと、吉田を直撃してみた。

――どんな修正が?
「う〜ん。修正というか、長渕さんの発言部分は全面的に書き直してきた。インタビュー自体が意味がないくらいに(笑)。おそらく僕の書いた内容は彼が求めるテイストと違ったんでしょう。長渕イズムと僕の書いたものにズレがあったのかと思います」

――記事もかなりピリピリしていた感じでしたが、実際の現場はもっとハードだった?
「いや、逆です。掲載されたインタビューはピリピリしているように読めますが、実際の現場は和やかだった。和やかなインタビューをピリピリした感じに直してきたという。編集的には長渕さんの“お茶目”で“かわいい部分”を出したかったのですが、それは長渕的でなかったんでしょうね」

――じゃあ、吉田さんが長渕に説教されていたりするのも……。
「『君なんかも、本気でやんなくっちゃダメだよ』『インタビューも本気でかかってこないとね(笑)』というクダリも、実際のインタビューでは話されていないですね」

――原稿を直されて、吉田さんは不満じゃなかったんですか。
「全然。僕的には原稿の直しも含め、満足しています。すごい面白かったしね。撮影スタジオに自宅からトレーニングマシーンを持ち込んで、僕も大ファンだった妻の志穂美悦子さんと娘さんまで同席していて、大きな犬もいて。しかも撮影アドバイザーとしてなぜかモデルの冨永愛さんが来ている。そんな中でトレーニングをしながら、『今日の腹筋はハリがないから撮影できるレベルじゃない!』と話す長渕さんを、関係者が30分も見守る。そんな光景はなかなか見れるものじゃない。テンションあがりましたよ」

――でも、後だしじゃんけん的な感じもしますが。
「長渕さんは『さんまのまんま』に出演した時に、ここをカットしてここを使えというために、編集室にまで乗り込んだことがあったらしいですから、インタビューを直すのも当然ということなんでしょう。何でも『死ぬ気』で『本気』なんです。しかも僕の発言部分は一切手をいれてこなかった。そのへんのルールもきちんと守っていた。原稿の直しにしても彼は『死ぬ気』でやったんでしょう。そういう意味でもすべて満足です」

 和やかなインタビューを逆に怖くしていたというのはびっくりだが、たしかに、吉田が語っているように、その取材の経緯はまさに長渕らしい。たかだか見開き2ページのインタビューにここまでこだわる本気ぶりは、ある意味「殺す!」「死ぬ気」などの言葉が踊っている「an・an」の原稿以上にコワいといってもいいかもしれない。

 しかも、吉田からは意外なエピソードも聞いた。先に「an・an」の記事に「(笑)」がやたら出てくると書いたが、実はこれもすべて長渕が書き込んできたものらしいのだ。長渕は“カッコ笑い”が大好きだった。これまた、なんかコワい。
(伊勢崎馨)

最終更新:2014.08.03 11:19

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