“男系男子の皇位継承”は明治期の創作! 旧皇室典範策定時に「男を尊び女を卑むの慣習、人民の脳髄」とトンデモ論で女性天皇を否定

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「男系男子は2600年以上続く皇統」の嘘 6世紀までは力による継承も、初期は「双系」

 まず、指摘しておかなければならないのは、日本の天皇がそもそも6世紀くらいまで、男系男子どころか血縁による継承ですらなかったということだ。

 たとえば、国立歴史民俗博物館の仁藤敦史名誉教授は毎日新聞(7月1日)のインタビューで、こう語っている。

〈「天皇」という称号の前の「大王(おおきみ)」の時代は、血縁ではなく実力によって即位してきた。たとえば中国大陸や朝鮮半島の勢力と緊張関係にあった5世紀には外交や軍事の能力が最優先された。武烈天皇の没後、出自が明らかでなく、都から遠く離れた近江・越前に拠点があった継体天皇が即位したのもこうした経緯からだ。その後は内政の能力が重視された。〉

 継体天皇というのは歴史学で実在が確実視されている26代の天皇で、先代の応神天皇と関係が薄いことから、王朝交代が起きたとする見方と遠縁の子孫が迎えられたとする見方があるが、いずれにしても「皇統」が確立されたのは継体天皇の子・欽明天皇からという説が有力だ。継体天皇は天皇の娘と結婚することでその正当生を担保し権力基盤を固めたと考えられており、その意味で皇統はごく初期の時点で女系だったとみることもできる。

 しかも仁藤教授によると、男系主義が強まるのはそのさらに後の7世紀後半から。〈中国的な戸籍制度や儒教の影響などのためだ〉という。

 古代女性史を専門とする義江明子・帝京大名誉教授も、やはり男系主義が導入されたのは7世紀末で、やはり中国の影響を指摘する。デジタルメディア「nippon.com(ニッポンドットコム)」(2022年5月26日)のインタビューでこう語っている。

「7世紀末、中国にならった律令国家樹立の際に初めて公式に父系原則が打ち立てられました。8世紀あたりまでは、支配層も含め、実質的にはまだ双系性の原理で動いていたと私は考えます」

 双系というのは、父系(男系)か母系(女系)どちらか片方の血筋のみを重視するのでなく、男系・女系の血統両方を重視する考え方や制度のことで、古代日本は「双系的社会」であったという認識が、現在は歴史学者の間では広く共有されている。
 
 周知のように6~7世紀の王族は双系的親族関係の中での近親婚が盛んで、男系・女系のいずれを遡ってもすぐ天皇にたどり着く。王族や豪族のなかでの序列やポジションの決定には、男系だけでなく女系の血統も重視された。たとえば、同じ天皇を父親とする子でも、母親が天皇の娘か地方豪族の娘かによって、その子の身分や序列が変わっていた。

義江教授は聖徳太子や天智天皇、天武天皇を挙げ、当時の「双系性」について解説している。

「例えば『書紀』によれば、聖徳太子は用命天皇の息子ですが、母も欽明天皇の娘です。『天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)』に記された太子の系譜を見れば、双方の系統を重視していることは明らかです」
「7世紀後半の天智天皇・天武天皇の父である舒明天皇は、2人が少年の頃に亡くなっています。母が跡を継いで皇極天皇として即位。いったんは退位しますが実力で再度、斉明天皇として皇位に就きました。後に天皇となる兄弟が成長する過程で、国家統治者としての手本を見せたはずです。とすれば、天智・天武はむしろ女系の天皇だとも言えるでしょう。また、両親(舒明・皇極)はそれぞれ、父方・母方双方で欽明天皇につながります」

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