手塚治虫も性表現への圧力に激怒していた! マンガの神様が逆ギレしてやけっぱちで描いた“エロマンガ”とは?

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手塚治虫公式WEBサイトより


 大阪府堺市と一部コンビニが共同で始めた成人向け雑誌をめぐる施策が波紋を呼んでいる。3月16日から始まったこの取り組みにより、コンビニ内に陳列されている、いわゆるエロ本やエロマンガ誌などには、高さ12センチの緑色のビニールカバーが腹巻のように巻かれるようになり、店内では立ち読みはもとより表紙すらほとんど見ることができなくなってしまった。これに対し、日本雑誌協会と日本書籍出版協会は「図書を選択する自由を奪い『表現の自由』を侵害する行為。大阪府の青少年健全育成条例も逸脱している」として、この新たな規制に抗議の声を上げている。

 昨年施行された、児童ポルノの単純所持禁止を盛り込んだ改正児童買春・ポルノ禁止法をはじめ、ここ最近「性表現」をめぐる規制やバッシングの波がまた日増しに大きくなっているが、なにが「わいせつ」であり、なにが「有害」なのかは、その時代によって大きく変わっていくものである。

 それを現代の人々に分かりやすく示してくれるのが、手塚治虫だ。いまでは「マンガの神様」として清廉潔白な作品を残したイメージの強い彼だが、実はマンガ家としての手塚治虫のキャリアは、作品中の表現を批判する世間との戦いの歴史でもあった。いまでは考えられないが、手塚治虫の作品が「エロマンガ」と呼ばれていた時代もあったのである。

 赤田祐一氏とばるぼら氏による共著『定本 消されたマンガ』(彩図社)では、その代表的なものとしてまず、1949年に発表された『拳銃天使』が紹介されている。手塚治虫初の西部劇となったこの作品で問題となったのは、登場人物によるキスシーンだった。GHQの勧告により、日本映画でもキスシーンが解禁になったことを受けて描いたと思われるそのシーンが「子どもの敵」との批判を受け、京都のPTA幹部からも激しい抗議を受けたという。

 それから少し時が経った57年には、不買運動にまでつながってしまう騒動も起きる。今度標的とされたのは「脚」の表現だ。『複眼魔人』のなかで、男装したスパイの女性がストッキングを脱ぐシーンを描いたところ、この生足が問題視され、販売を止めた書店が相次いだ。いまの感覚で考えれば、まったく問題となるような描写ではないのだが、当時はそれでも大問題であった。

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