なぜ韓国が嫌いなのか、韓国は本当に「反日」なのか。自分の目で確かめるために韓国を自転車で走る異色ルポが

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kankokuhannichikaidou_160427.jpg
『韓国「反日街道」をゆく』(小学館)

 ここ数年、韓国を嫌悪する人々が国内で増えた。筆者の身の回りも例外ではない。理由をたずねると「戦時中のことを、いつまで日本は韓国に謝り続けなければいけないのか」と返ってくる。「反日左翼」「反日朝鮮人」…少しでも日本を批判すると、ネット上で脊髄反射のように返ってくる「反日」という決まり文句は、今やすっかりおなじみになってしまった。

 こう書き出せば、『そういうお前も反日か』という言葉がすぐさま飛んで来そうで、早くも筆が止まる。しかし、続けよう。韓国への嫌悪を露骨に表明する人々と遭遇するたび、内心で思う。いったいどれだけ生身の韓国人と会話を交わしたことがあるのか、と。生身で出会い、ケンカをし、結果距離ができてしまうならまだいい。けれど、多くの場合は嫌韓・嫌中を生業とする一部のメディアや、ネットで作られたヘイト・ストーリーを受け入れ、「だから韓国人は反日」「だから朝鮮人は犯罪者」と結論を先行させているように思う。14日に熊本で起きた大地震では、「熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだぞ」「朝鮮人の暴動に気をつけてください」とデマが飛び交った。これもまた、民族の中身を先に定義して、暴動を起こす自分好みの朝鮮人を「捏造」するものでなくて何なのか。

 人は「反日か親日か」のいずれかに収まってしまうほど、単純な存在なのだろうか。ステロタイプな枠組みの狭間にこぼれ落ちる隣国の風景や、人々の微細な感情に目を向ける余地は、今の社会ではもう、残されていないのだろうか。そんな言葉が喉元にこみ上げるが、思いは日常のなかに埋没してゆく。

 前川仁之氏の『韓国「反日街道」をゆく』(小学館)は、そんな一市民のモヤモヤとした感情を背負い、朝鮮半島を文字通り「走り抜ける」ノンフィクションだ。タイトルだけを見れば、その辺に転がる「嫌韓本」と区別がつかず、棚にうっかり本を差し戻してしまいそうになる。しかし、ページをめくると書名は「釣り」だったことに気づく。

 出発前、著者は「嫌韓」ブームに母親が影響されていたことなどから、「一つの国を嫌うという感情が含む曖昧さに、疑問は持たれていない」と居心地の悪さを感じていたという。そこから、韓国を自転車で一周する覚悟を固めたことが宣言される。

〈そんなに嫌われる韓国とはいったいどんな国か、この目で見て知りたいと思って旅に出たのだった。旅をして、その結果僕自身も韓国を嫌いになれたら、それはそれで結構だ。〉

 すごい身軽さである。自分が好き、ないし心惹かれる国を選んで旅行に出る人は多い。しかし、「嫌い」という感情が差し向けられる国を、わざわざ自らの足で検証しようとする奇特な存在には、なかなかお目にかかれない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

韓国「反日街道」をゆく 自転車紀行1500キロ

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

なぜ韓国が嫌いなのか、韓国は本当に「反日」なのか。自分の目で確かめるために韓国を自転車で走る異色ルポがのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ルポ反日松岡瑛理の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 共産党議員の不可解書類送検の裏に安倍の元秘書官の埼玉県警本部長就任
2 いとう、アジカン後藤の”音楽と政治”論
3 “男系男子皇位継承”は日本の伝統じゃない!旧皇室典範制定時に「男を尊び女を卑む」と
4 「国家情報局」の母体「内調」が行なってきた政治謀略総まくり!
5 葵つかさが「松潤とは終わった」と
6 山里亮太が国会前デモを捻じ曲げ解説し批判殺到
7 かこさとしが安倍を「大本営の戦後版」と痛罵
8 三笠宮家に夫妻、母娘の断絶が!
9 田崎史郎が『モーニングショー』から消えた! 原因は玉川徹?
10 自衛隊が小学生まで「自衛官勧誘」目的のパンフレット作成
11 駐豪大使が「旭日旗が見られて喜ばしい」とツイート、豪でも批判が殺到!
12 田宮二郎自殺の真相を夫人が告白!
13 市川沙耶と熱愛・野島アナに二股の過去
14 吉高由里子が元カレに言った一言
15 フジロックに政治を持ち込むなというバカ
16 枝野が怒りのフィリバスター「安倍首相はクソ」
17 「自衛隊は経済的に厳しい子が」は事実 貧困層を標的にした隊員募集
18 車庫飛ばしで公安に誤認逮捕された男性が語った取り調べの酷い中身
19 高市首相ミュージックアワード登壇に「音楽を政治利用するな」
20 アジカン後藤が本気の安倍政権批判!
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄