『牡蠣工場』公開直前インタビュー

想田和弘監督が安倍政権を斬る!「安倍さんは民主主義をやめようとしている」「アベノミクスはただの筋肉増強剤」

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■民主主義は瀕死だが、その旗を最後まで下ろしてはいけない

──消費者が労働者であることを忘れるというマインドは、政治に関してもあるように思えます。強そうに見える権力者に投票することで、実は有権者が自分の首を絞めているという構図。しかし、これを批判すると「左翼はいつもそうだよ」と呆れられるか、「反日だ!」攻撃されますよね。

想田 ははは、僕は左翼じゃないよ(笑)。だって僕は革命が良いなんて思ってないし、世の中をひっくり返そうとも思ってないもの。支持政党もないし。僕が政治的な運動や声明に参加するのは、個別の主張に賛同できるかどうかが基準。それに、社会の変化はゆっくりのほうがいいと思う。TPP反対もむしろ国内産業を守れという保守的な思想ですから。だから、むしろ僕は保守ですよ。だって、地域社会が大事とか、自然を守れとか、商店街大好き、とかね。ほら、保守じゃん(笑)。安倍晋三のほうがよっぽど革命家ですよ。

──あの安倍首相が、ですか。

想田 そう。安保法制ひとつみても、もうあれは革命と言っていいでしょう。戦後の法秩序をひっくり返しちゃったんだから。東大の憲法学者である石川健治氏に言わせれば「クーデター」です。しかも、第二次安倍政権誕生からまだたったの3年。その間にどれだけ安倍さんが変えましたか。秘密保護法、TPP、安保、あとはNHKの人事もそう。NHKの体制も、メディアの萎縮の仕方も、3年前とは全然ちがう。あの人はたった3年間でこの国をものすごく変えた。急進改革派ですよ。いや、はっきり言って急進的過激派です。僕は過激主義にはくみしない。

──しかも、安倍首相は反対意見にまったく耳を貸さない。レッテル貼りだとかなんとか言って。

想田 それはもう、なんていうか、最低ですよ。民主主義を守るつもりなんてまったくない、安倍さんには。それは改めて言うまでもないんです。自民党の憲法改定案を見ればわかるじゃないですか。僕は12年の4月からずっと申し上げている。彼らの憲法改定案を見れば、いまの自民党が民主主義をやめようとしていることは明らかなんですよ。だから、いまごろになって、それは民主的な進め方じゃないじゃないですか?って彼らに問うのは、すごく間抜けな話。

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