松本人志の「安保法制反対は平和ボケ」「対案出せ」に尾木ママが反論! “対案厨”が陥っている勘違いとは?

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 実際、安倍首相は安保法案を批判する民主党に対し「対案を出せ」と盛んに挑発しているが、しかし細野豪政調会長は「政府は憲法違反の法律を出している。その部分で対案を出せというのはお門違いも甚だしい」と切って捨てている。

 松本は「平和ボケ」「対案を出せ」などと言うことで、「俺はちゃんと現実を見ている頭のいい人間だ」とアピールしているつもりなのかもしれないが、なんのことはない。安倍政権や、その親衛隊の保守メディアによる煽動と詭弁にまんまと乗せられているにすぎないのだ。松本は『ワイドナショー』で反対派について「ニュースに誘導されている」などとエラソーに語っていたが、誘導されているのはまさに松本のほうなのである。

 しかも、松本が「対案を出せ」と言った相手は野党ではない。安保法案に反対する一般国民のデモに対して言っているのだ。

 国家の政策に対して、国民が反対の声を上げることは、民主主義国家における、また憲法の「集会・結社の自由」「表現の自由」で保障された当然の権利でもある。

それを無視し、一般市民にまで、対案を要求してくるというのは、つまり、対案を出す知識や権限、能力のないものは、黙って国の言うことに従え、という典型的なエリート主義だろう。松本は民主主義の意味をまったく理解していないのではないか。

 だが、松本に限らず、この国では、こういう強者の論理をふりかざすメディア、識者がなぜか大きな顔をしている。田原総一郎なども、政府を批判する野党だけでなくジャーナリストやマスコミ、言論人に対してさかんに「対案を出せ。そうでなければ説得性がない」などとよく口にする。

 しかしそれは大きな間違いだ。国民、メディアがなすべきことは権力の暴走をチェックすることだ。反対意見や批判を表明するだけで十分であり、対案などは必要ない。それは今回の安保法案でなく、増税だろうが経済政策だろうが、TPPだろうが、社会保障政策だろうが、同じだ。むしろ、「対案を出せ」などと圧力をかけることは、それこそ思考停止であり、民主主義を無視する暴挙でしかない。

 ところが、松本人志のような大物カリスマ芸人がそれを口にすると、あたかもそれが「頭のいい大人の発言」のように流通していく。そういう意味では、議論のスリカエを指摘した尾木ママの批判には拍手を送りたいし、松本のような人間にニュースを扱わせるのがいかに危険か、ということを改めて指摘しておきたい。
(伊勢崎馨)

最終更新:2015.08.21 08:33

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