室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第6回ゲスト 小林節(前編)

室井佑月と小林節が安倍首相の改憲案と詐術を徹底批判! 安倍政治は法治国家を“殿様の私物”にする

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世襲議員の特権意識がつくり出した王政の再現が安倍政治だ

小林 私は自民党と30年以上の付き合いがありますが、「自民党は本当に劣化したな」と思うに至ったのが、世襲議員が過半数になったときです。それまでは憲法は国家や権力が暴走しないための規範だ、と言うと、「そうか」と納得してくれたんです。しかし世襲議員は違う。彼らは、封建時代の貴族のような意識と生活で、国民と乖離している。また世襲議員にありがちですが、意見が合うときは、「さすがは大学教授! 先生は違いますよね」なんておべんちゃらを言ってくる。でも、意見が合わないと「小林さん、あんたねえ」と、まるでヤクザなんです。多様な意見を認めないし、都合が悪くなると態度が豹変する。何だ、このヤクザちっくな連中は、と思うほどです。彼らは結局、自分たちが特権階級だという自負があるんです。考えてみてください。生まれたときから大きな屋敷に住んでいて、書生や地方議員がヘコヘコと挨拶に来ていて。道を歩いているとおまわりさんが、「ぼっちゃん、こんにちは!」と敬礼する。子どもに敬礼するおまわりさんなんて、普通はいないですよ。安倍さんも政治家一族の3代目のぼんぼんです。でもひとつだけ思い通りにいかなかったのは、学校の教室のなかでは教師に敵わなかった、ということです。だからいまになって、学校教育や教師を罵倒することを覚えた。ある種の復讐です。しかも総理が安倍さんで副総理が麻生太郎さんで、どちらも父親や祖父の世代からの付き合いで来ているわけです。

室井 わたしの周りにも金持ちの息子はいます。でも、低姿勢で礼儀正しい人が多いですよ。

小林 それは経済権力者だから、経済論理、法制度のなかで動くしかない。ところが、政治的権力者というのは、究極の権力をもっている。それは加計学園問題が象徴的です。法治国家とは、国民の代表たる国会でつくった法律に則り、どこの誰にでも同じ条件で適用されるのが原則です。学校をつくろうと思ったら、その学校は、それだけの力があるのか、地域に需要があるか、などきちんと詰めていく。これが法治国家の正しいやり方です。しかし竹中平蔵という政商が提案した「国家戦略特区」は、総理大臣を議長として、御用商人的な学者と一部側近の官僚を集めた会議で、トップダウンで決まってしまう。巧みに、法治国家を“お殿様”の私物にする制度なんです。

室井 お殿様が、お殿様とお友だちのためにつくったルールってことですよね。だから色々な問題が表面化してきた。でもそれに対して“お殿様一派”のやり口はひどいですね。自分に歯向かう人間には、犯罪でもないのに御用新聞にデカデカと報じさせる。安倍さんをかばっていた“御用ジャーナリスト”の山口敬之さんなんて、準強姦疑惑で逮捕状まで出たのに、それをもみ消したり。これって法律やルール無視じゃないですか。

小林 言ってみれば、かつての王族支配、貴族の世界の再現です。「庶民がやれば強姦だけど、俺が手篭めにしてやったんだ、ありがたいと思え」と。本来は、日本も「すべての国民は対等であり、基本的人権をもつ」民主主義国家だし、誰に対しても公平に法律が適用される法治国家のはずだった。ところが、現在の安倍政権の意識は、旧世代の王様と貴族の状態です。しかも彼らは、究極の国家権力をもち、警察も自衛隊も税務署ももち、それを使ってマスコミを支配している。つまるところ、現在の安倍政権下にある日本は安倍さんを戴く王制なんです。

室井 だから、ああいう国会運営や答弁をやっても平気だし、逆に国民に対しては、共謀罪とか権利や自由を制限したがるのか。だったら、こんな王政は絶対に倒さなきゃいけませんね。フランス革命みたいに。

後編に続く)

小林 節 憲法学者、慶應義塾大学名誉教授、弁護士、1949年生まれ。元ハーバード大学研究員、元北京大学招聘教授であり、テレビ論客としても知られる。2016年には安倍政権の安全保障関連法廃止や言論の自由確保、憲法改正阻止などを掲げ「国民怒りの声」から出馬するも落選。その後も「小林節が斬る!」(日刊ゲンダイ)連載などで安倍首相を批判し続ける。『小林節の憲法改正試案』(宝島新書)、『白熱講義! 集団的自衛権』(ベスト新書)、『憲法改正の覚悟はあるか――主権者のための「日本国憲法」改正特別講座』(ベストセラーズ)など著書多数。

室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビューし、その後テレビコメンテーターとしても活躍。現在『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『あさイチ』(NHK)などに出演中。

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