『教団X』で話題の芥川賞作家・中村文則の安倍政権批判、改憲阻止の決意に震えた! この危機感を共有せよ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kyodanx_160119.jpg
『教団X』(集英社)

 昨年の安保法制の成立につづき、ついに安倍首相が憲法改正へ向けた動きを加速化しはじめた。この国は戦前のように、一度走り出したら最後、後戻りのできない道をあきらかに辿ろうとしているが、こうした禍々しい現実を冷静に評した文章がいま、静かな話題を集めている。

〈この格差や息苦しさ、ブレーキのなさの果てに何があるだろうか。僕は憲法改正と戦争と思っている〉
〈僕達は今、世界史の中で、一つの国が格差などの果てに平和の理想を着々と放棄し、いずれ有無を言わせない形で戦争に巻き込まれ暴発する過程を目の当たりにしている。政府への批判は弱いが他国との対立だけは喜々として煽る危険なメディア、格差を生む今の経済、この巨大な流れの中で、僕達は個々として本来の自分を保つことができるだろうか〉

 それは1月8日の朝日新聞に掲載された「不惑を前に僕たちは」という寄稿文。筆者は芥川賞作家の中村文則だ。昨年発売された『教団X』(集英社)は又吉直樹の大絶賛もありヒット。また、安保法制の議論が活発化した時期には「僕は今の日本の流れに対して危機感を持っていて。全体主義的傾向がもっとはっきり出てきた時にはもう遅い」(新潮社「新潮」2015年5月号)と語るなど、現状に危惧を表明していた。

 だが、今回の寄稿文ではより踏み込み、いま〈憲法改正と戦争〉にまで至ってしまった、その流れを、自身の経験や置かれた世代から読み解こうとしている。出だしは、このようなものだ。

〈僕の大学入学は一九九六年。既にバブルは崩壊していた。
 それまで、僕達の世代は社会・文化などが発する「夢を持って生きよう」とのメッセージに囲まれ育ってきたように思う。「普通に」就職するのでなく、ちょっと変わった道に進むのが格好いい。そんな空気がずっとあった〉

 1977年生まれの中村は、俗に言う“ロスジェネ”、バブル崩壊後の「失われた10年」に就職活動期がぶつかった世代だ。同世代の中田英寿が象徴的なように、彼らは“自分探し世代”とも呼ばれたが、社会に出る前に大不況に陥り、〈「普通」の就職はそれほど格好いいと思われてなかったのに、正社員・公務員は「憧れの職業」となった〉のだった。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

『教団X』で話題の芥川賞作家・中村文則の安倍政権批判、改憲阻止の決意に震えた! この危機感を共有せよ!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍晋三憲法水井多賀子芥川賞の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄