「障害児の出産を減らす方向に」発言の茨城県だけじゃない、日本中に蔓延する排除の空気と出生前診断に山崎ナオコーラが…

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山崎ナオコーラ『ネンレイズム/開かれた食器棚』(河出書房新社)

「(障がい児の出産を)茨城県はそういうことを減らしていける方向になったらいいなと」

 今月18日、茨城県総合教育会議の席上でこのように発言した長谷川智恵子教育委員。長谷川教育委員は「妊娠初期にもっと(障がいの有無が)わかるようにできないんでしょうか。4カ月以降になると堕ろせないですから」「(特別支援学級は)ものすごい人数の方が従事している。県としてもあれは大変な予算だろうと思った」「意識改革しないと。生まれてきてからでは本当に大変です」とも発言。しかも、この発言に非難が集まるなか、今度は橋本昌・茨城県知事までもが「産むかどうかを判断する機会を得られるのは悪いことではない」などと述べ、騒動はさらに拡大した。

 結果、長谷川氏は24日付けで退職、橋本知事も陳謝に至ったが、教育や政治にかかわる人物たちが公然と「金のかかる障がい児は産むべきではない」という見識を露わにしたり、擁護を行う現実には、思わず背筋が凍る。

 ただ、残念ながら今回のような意見は、現在の社会に広がっているものでもある。

 実際、本サイトでも既報の通り、今年6月にはNPO法人薬害研究センターの理事長である“自称・キチガイ医”の内海聡医師が〈障害の子どもさんが生まれるというのは、いかに産む前妊娠前に両親が食と生活が乱れているかの証、それは一生かけて反省しなければなりません〉などとFacebookに投稿し炎上。しかし一方でSNS上では「障害があるとわかって産むのもおかしい」「一生国に迷惑かけるんだからね わかっていて生む奴は批判されて当然」と内海医師に同意する意見も散見された。

 こうした声が増えはじめた背景には、2013年4月から導入された「新型出生前診断」の影響がある。これは妊婦の血液を採取して胎児の染色体や遺伝子を調べるものだが、出生前診断の後、羊水検査によって胎児に“異常”が確定した人のうち、そのほとんどが人口妊娠中絶を選択している。

 出生前診断が落とす影と、社会に広がる排除の意識──。そんななか、この問題を考えるうえで重要な視点を与えてくれる小説が登場した。それは、山崎ナオコーラ氏の『ネンレイズム/開かれた食器棚』(河出書房新社)所収の「開かれた食器」だ。

 山崎氏は『人のセックスを笑うな』(同)で文藝賞を受賞し、同作や『ニキの屈辱』(同)、『手』(文藝春秋)で3回にわたって芥川賞候補に挙がったことのある実力派作家だが、最新小説の「開かれた食器棚」は、出生前診断の問題に踏み込んだ作品となっている。

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