安倍政権と一体の極右団体・日本会議が安保法制を推進した目的とは? 自衛隊員の靖国合祀で“戦前・戦中体制”に…

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「具体的にいいますと、ひとつ目は、自衛隊が海外へ出て実戦に参加することになると『平和憲法』という日本国憲法の核心的部分が無意味なものになりますよね。すると『この憲法はすでに守る価値はない』というふうに宣伝することが可能になる。そして、仮に戦闘や襲撃で自衛隊員が命を落とした場合に『なぜ彼らは死んだのか? いまの憲法がこんなに不完全だからではないか』という論理展開が可能になってくる。
 ふたつ目についてですが、国家神道勢力には敗戦によってGHQに実質的な軍隊を奪い取られたという被害者意識がかなり強い。『本来、独立国には軍隊があるものだ』というような考えに立つと、それを外国によって手足を縛られ、主体的に軍事作戦を行う権限も取り上げられたかたちになったわけですから。彼らにとって今回の安保法制は、この“積年の恨み”を晴らせるチャンスだったという図式があります」

 そしてこの2点とリンクするのが「靖国神社の機能活性化」だ。すでに安倍政権は、アフリカ・南スーダンPKOでの駆け付け警護追加について、武器使用基準を緩和する方針。早ければ来春にも、海外での戦闘行為が発生し、自衛隊員が死亡する可能性がある。そのとき、国内で必ず湧き上がると予想されるのが『殉職者を靖国に祀らなくてよいのか』という声だ。

「自衛隊員は政府の命令で海外に派兵されるわけですから、戦闘で死んだということになれば、靖国神社に祀る条件を満たしていることになる。そして『殉職者』が祀られるとなると、今度は『政府は正式に彼らに感謝しなくてもいいのか』という風潮になります。そのなかでスピーカーとして大きな役割を果たすのが、国家神道勢力による全国での講演会や、地方議会への働きかけです」

 『戦前回帰』によれば、2015年7月時点で、日本会議国会議員懇談会に所属する国会議員の数は衆参合わせて約280名。また、日本会議と神道政治連盟は地方議員懇談会もあわせもっており、それぞれ1000人以上の議員が会員となっている。同時に日本会議は、「草の根活動」と称してその実、高度に組織的な活動を行っていることが知られており、地方議会へ積極的に働きかけている。こうしたネットワークのもとで湧き上がるであろう“自衛隊員殉職者の靖国合祀待望論”について、山崎氏が続ける。

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