派遣労働法「骨抜き改正」で日本も…ドイツで起きた「一生派遣」の奴隷地獄が始まる!

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『労働者派遣法の研究』(高橋賢司/中央経済社)

 賃金は半分になったが、住居費や病気にかかるコストなどの支出は高い。心が引き裂かれ、憔悴ばかりして、故郷へ帰らざるをえない。帰る故郷がない、労働契約を解約されたある女性は、住居を失い、お金も底を尽き、通りでホームレスになった。彼女は「私は奴隷同然だと感じた」と語る……。

 ある改正案が施行されたとたんに、あなたも奴隷同然の扱いを受けるかもしれない――。この5月、労働者派遣法の改正案が衆議院本会議で審議入りしたのだ。労働者派遣法の改正案は、条文のミスと衆議院の解散で2回廃案となっており、政府は3回目の提出となった今国会で確実に成立させたいとしている。

 これまで派遣労働の派遣期間は、一部の専門業務(26業務)は「期間制限なし」で、それ以外は最長で「3年」までとなっていたが、労働者派遣法の改正案では、業務を問わず1人の派遣労働者が企業の同一の組織単位(同じ部署)で働ける期間を「3年」に制限する。さらに、派遣元企業(派遣会社)は「3年」の上限に達する派遣労働者に雇用安定措置(派遣先企業への直接雇用の依頼等)を講ずることとする。このため、政府は、正社員への道を開き、派遣社員の待遇を改善する改正だとする。

 しかし、派遣先企業への直接雇用の依頼等といった雇用安定措置を、注文を受ける弱い立場の派遣元企業(派遣会社)がはたしてできるのか。また、多くの派遣社員にとっては「3年」後の労働環境が派遣先企業次第で、不安定という事実は変わらないのだ。

 さらに、同じ派遣社員の同じ部署への派遣は3年を上限とされているが、同じ部署でなければ、いつまでも派遣社員としての雇用が可能になる(過半数組合等への意見聴取という条件付き)。

 派遣先企業にとってみれば、1つの部署を派遣社員で3年ごとに回転させることが可能となり(派遣労働の固定化)、さらなるコスト削減が可能になるのだ。企業にやさしい経済政策ばかりの安倍政権ならではの改正案と言っていいだろう。

 この派遣法改正に関しては、1月末、厚労省の担当課長が派遣業界団体の会合で「派遣労働というのが、期間が来たら使い捨てというモノ扱いだったが、(派遣労働法改正によって)ようやく人間扱いするような法律になってきた」と述べ、問題になったが、今回の改正では、「派遣労働者がモノ扱いされる」状況は変わらず、さらに「一生派遣」の奴隷地獄が始まるのだ。

 実際に最長派遣期間の上限規制を撤廃したドイツの例を見れば明らかだろう。『労働者派遣法の研究』(高橋賢司/中央経済社)によれば、ドイツは2002年に最長派遣期間の上限規制を撤廃している。こうしたドイツの労働市場の規制緩和の動きを日本は見習っているとされるが、その先に広がった光景は派遣社員が急増し、「賃金ダンピング」が横行する奴隷地獄だったという。冒頭に紹介した「私は奴隷同然だと感じた」というホームレスになった女性の証言はドイツの労働者の声だ。

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