金慶珠に異常な罵倒 東国原英夫の言い訳「ディベートのマナー違反」は嘘だ! 背景に「韓国人叩きはウケる」の計算とミソジニー

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金慶珠に異常な罵倒 東国原英夫の言い訳「ディベートのマナー違反」は嘘だ! 背景に「韓国人叩きはウケる」の計算とミソジニーの画像1
東国原氏の金慶珠氏攻撃の本当の理由は…


先週8月27日放送のTBS系ワイドショー『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(CBCテレビ)において飛び出した、武田邦彦・中部大学教授による「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなけりゃいかんからね」というヘイトクライム煽動発言。当初、『ゴゴスマ』は発言の訂正をおこなわない方針を示していたが、30日の放送冒頭で司会の石井亮次アナウンサーが謝罪、武田氏は火曜日レギュラーだったが今週3日の放送には登場しなかった。

だが、『ゴゴスマ』で問題なのは武田教授の発言だけではない。武田教授のヘイトスピーチが出た翌々日の29日放送で、ゲストである韓国人女性の金慶珠・東海大学教授を韓国ヘイト丸出しで面罵した東国原英夫の問題はどうなのか。

30日の『ゴゴスマ』では、27日の武田教授の発言を名前を出さずに謝罪しただけで、東国原の件はまったく触れなかった。また、4日付のBuzzFeedNewsによると、CBCテレビは武田氏について「いまのところ、出演の予定はないです」と答える一方、東国原の発言については「ご本人の説明では、お相手の方に発言タイミングの注意をしたものであるということです。けれど、番組として少し感情的になって発言されたことで視聴者の方に不快な思いをさせてしまったということかと思います」と回答。そして、きょうの『ゴゴスマ』に東国原は出演するとみられているのだ。

 しかし、東国原の発言はこんな「少し感情的になった」というようなコメントで済ませていい話ではない。謝罪、番組降板はもちろん、テレビ出演自粛さえ必要なレベルだ。

 東国原の発言がいかにひどいものであったか。あらためて振り返っておこう。問題が起きたその日の放送では、東国原が「日本は法を遵守、あの方たちは正義があったら法律変えたらいいと思ってますからね」などと文政権批判や韓国ヘイトをまくし立てていた。東国原の発言が途切れたところで、金教授が「あの……」と意見を述べようとしたところ、突然、敵意をむき出しにして、乱暴な口調でこう怒鳴りつけたのだ。

「黙って、お前は! 黙っとけ!この野郎。喋りすぎだよ、お前!」

 さらに、金教授について東国原は「韓国では、親日家の右派なんですよ。でも日本に来ると、左派・反日系を装うじゃないですか。これ『ビジネス反日』と僕は言ってるんですけど」などと言い、対して金教授がいたって冷静に「私、親日保守なんだけど、そういう意味で私は東さんのことも大好きなんだけど、それと……」と述べるも、「嫌いだよ、俺は!」と吐き捨て、コーナーの最後にもこう発言した。

「大人の対応しているだけ、僕が! 日本ですよ、僕は! 大人の対応してるんですよ。(金教授のほうを指差しながら)でも、もうブチギレそうなんですよ!」

言っておくが、東国原が突如キレはじめるまで、金教授が東国原の発言に割って入るなどの場面は一度もなかった。なのに、共演者に対する最低限の敬意など微塵もなく、「お前」「この野郎」呼ばわりで発言を封殺したのである。

 しかも、東国原は「反日系を装っている」「ビジネス反日」とも発言したが、「反日」などという言葉でもって“攻撃すべき相手”なのだと開き直る態度は、ヘイト煽動にほかならないものだ。

マナー違反だらけの「朝生」では沈黙、マナー違反をしていない金教授を罵倒した東国原

 無論、この東国原の言動にネット上では激しい批判が集まったのだが、しかし、東国原はTwitterで、こんな唖然とするような言い訳を述べた。

〈生放送のディベートは出来る限り発言時間や発言機会が平等・公平であるべきだと思います。例えば、相手が1分くらい発言したら、自分もそれくらいに抑えようとか、常識的に判断すべきだと思います。金慶珠氏はその常識的感覚が決定的に欠落しています。〉
〈僕は金慶珠氏の発言内容に怒ったのでは無く、公平な発言時間(発言機会)を守らないので怒ったのです。議論は自由です。しかしそこには一定の常識的ルールやマナーが必要だと思います。過去にも注意した事があるのですが、全く聞き入れられていません。〉

 もっともらしく「ディベートのマナー」などと言っているが、金教授はこの日、東国原のような番組曜日レギュラーではなく、日韓問題の専門家として解説するために出演しており、ディベートはしていない。実際、金教授は司会者のフリに対して見解を述べていただけで、前述したようにほかのコメンテーターの発言を遮ることもなかった。だいたい、東国原がキレるまで、二人が喋っていた時間は多少、金教授が長いくらいで、ほとんど大差はなかった。

 金教授自身、『サンデー・ジャポン』(TBS)で「いまだに(東国原が)なんであれだけ切れたのわからない」と首をひねっていたが、この日の金教授には怒鳴られる理由なんてまったくなかったのだ。

 実際、東国原が持ち出した「ディベートのマナー」とやらが、たんなる言い訳にすぎなかったことは、すぐに判明した。

 というのも、東国原は金教授への“公開ヘイト攻撃”の翌日30日深夜(31日未明)に『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に出演したのだが、「ディベートのマナー」など無きに等しいあの場で、「黙っとけ!」とか「喋りすぎだよ、お前!」などとあんなトーンで激昂するような場面は見られなかったからだ。

 ようするに、東国原は『朝生』の論客たちは「ディベートのマナー違反」を犯していてもスルーし、「マナー違反」などまったくしていない金教授には「黙れ」と常軌を逸した口調で罵倒したのだ。

 一体なぜか。それは「僕が! 日本ですよ」「ビジネス反日」などといったセリフからも明らかなように、金教授が韓国人だからだろう。しかも、あの理由のない突然のキレ方は、最初から金教授を狙い撃ちしたとしか思えない。ようするに、東国原は、韓国人である金教授を怒鳴りつければ視聴者に受けると踏んで、確信犯として金教授を罵倒したのではないか。現に、『ゴゴスマ』放送後のツイートでは、東国原はこうも投稿している。

〈彼女は、流石に、本番で僕が本気でキレるとは思っていなかったみたいで、本番が終わってから、(編集部注:番組共演者の)JOY君が、「金さん、鬼凹んでましたよ」と言っていた。少しは応えたかなとは思うけど。〉

上西小百合とのバトルを彷彿とさせる東国原のキレ方 背景には女性蔑視思想が

 醜い“公開ヘイト攻撃”をしておきながら、勝ち誇ったように“懲らしめてやったのだ”と言わんばかりに悦に入る──。実際、Twitter上では「よく言った!」「僕はスッキリしましたよ」と東国原の言動に賛同を示す意見、「早く韓国に帰れよ」「大嫌いな韓国人である!」など、大量のヘイトを生み出したが、東国原は最初からこういう反響を期待して、狙い撃ちしていたということではないのか。

 まったく下劣というほかはないが、今回、東国原の罵倒がさらに常軌を逸したレベルにまでエスカレートしたのは、もうひとつ理由があるかもしれない。それは、金教授が「女」だという理由だ。

 たとえば、東国原の怒鳴り口調を聞いて“あのこと”を思い出さなかっただろうか。そう、東国原が2016年から上西小百合衆院議員(当時)と繰り広げたバトルだ。

 上西とのバトルのきっかけは、東国原がテレビで、大阪維新の会に所属していた時代に上西の面接をおこなったと言い、「(本性を)見抜けなかった」などとコメントしたこと。これに上西氏が東国原から面接は受けていないとし〈私についてテレビで度々嘘をつく〉と反論、Twitter上でのバトルとなり、『ゴゴスマ』や『バイキング』、特番などで生対決がおこなわれるように。だが、このときも東国原は上西に「答えなさいよ!」だの「じゃあ証明しろよ」だの、まるで子どもの喧嘩のような罵倒を繰り広げ、上西が出席していた国会の委員会を「欠席してた」と言い張り、後で謝罪する羽目にもなっている。

 直接対決以外のTwitterなどではもっとひどく、上西に対して「常識の無いゲス野郎達」「政治家としても人としてもクズ」「政治的にバカ」などと悪罵の限りを尽くしていた。

 もちろん、上西の側も相当な毒舌でかなりひどい東国原攻撃を連発していたが、それにしても、このときの東国原の言動は常軌を逸していた。他の男性コメンテーターや論客たちと意見が対立しても、ここまで感情的になったことは一度もない。

 記者への姿勢でも同様だ。これまで週刊誌にスキャンダルを書き立てられてきた東国原だが、自分を批判する女性記者に対しては攻撃的で、「週刊文春」の女性記者にハニートラップを仕掛けられたと『バイキング』でデマを喧伝し、当の女性記者から「週刊文春」で反論されたこともある。

 もしかしたら、東国原は「自分の言うことを聞かない女」「自分に逆らう女」に対して、何か異常なルサンチマンのようなものがあるのではないのか。

反省していない『ゴゴスマ』の対応 その後も東国原を出演させ続けるテレビ局の責任

 そもそも東国原は、バラエティ番組などでセクハラ発言や女性を性の道具として扱うようなミソジニー発言を連発してきた女性蔑視思想の持ち主だ。

 今年、東京大学の入学式で上野千鶴子がおこなったスピーチにも噛みついていた。政治家の女性比率が低いことについて「面倒くさいことが嫌だとか、子育てできない結婚もできないという理由で諦められるという方がいらっしゃるのも事実」などと無根拠な決めつけで批判。挙げ句、ジェンダー・ギャップ指数が149カ国中で日本が110位となっていることについても、「家庭内を考えたら、圧倒的に女性が権力もってます。女性のほうが、奥さんのほうが権力もってるんですよ。そこは数値化できないんですよ。ジェンダーギャップ指数、そこの数字も入れたら、日本って女性が上になると思いますよ」などと、女性差別主義者がよく口にする“女尊男卑論”を展開していた。

 つまり、東国原が今回、金慶珠教授を異常なトーンで罵倒したのは、「韓国人コメンテーターを叩けばウケる」という計算に加え、その女性蔑視思想が発言をエスカレートさせた側面もあるのではないか。だからこそ、東国原の発言はレイシストやミソジニストの加虐欲、支配欲を満足させ、喝采を浴びたのだ。

 いずれにしても、東国原の発言自体が悪質な韓国ヘイト、女性差別であることは間違いない。しかし、東国原はそれでも説明や謝罪の責任を問われることもなく、その後もテレビに出演しつづけている。むしろ『バイキング』などではお笑いのネタにしている有様だ。

 そして問題の『ゴゴスマ』も前述したように、東国原の発言については不問に付し、今日も出演させることが濃厚だ。この倫理観の欠如は一体なんなのか。

 いや、東国原だけではない。武田発言に対しても、『ゴゴスマ』は「ヘイトスピーチをしてはいけないこと、ましてや犯罪を助長する発言は人として許せないことと考えています」「ヘイトや犯罪の助長を容認することはできません。番組をご覧になって不快な思いをされた方々にお詫びいたします」と述べただけ。発言者や発言内容についてふれることがなかった。何がどのように問題で、さらには生放送中にどうしてすぐに訂正できなかったのか、今後どう再発防止するのかなど具体策はまったくなかった。ようするに、『ゴゴスマ』は反省などまったくしていないのだ。

 玉川徹も指摘していたように、この間、ワイドショーのコメンテーターたちが競うように嫌韓発言、韓国ヘイトを口にしているのは、番組が煽っている部分が相当にある。「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなけりゃいかん」発言の武田教授も、YouTubeで「(番組から)ひとつバトルをしてくれと言うんで」などと話していた。

 おそらくテレビ局、番組がこういう姿勢なのだから、これからも武田教授や東国原と同じような韓国ヘイトが垂れ流され続けるだろう。これを止めるためには、良識ある市民やメディアが一つ一つにしつこく抗議の声をあげ続けるしかない。

最終更新:2019.09.05 10:59

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