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山本太郎にテレビが触れない理由!『上田晋也のサタデーJ』も終了直前、山本太郎現象の特集がボツに
山本太郎オフィシャルHP
政権を忖度するテレビ番組やコメンテーターばかりになっているなかで、敢然と政権批判をしてきた『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS)が突如、終了した問題。その裏事情については、先日の記事でもお伝えしたが、ここにきて、もうひとつ、同番組をめぐる不可解な動きが明らかになった。
きっかけは、政治学者の中島岳志氏が7月5日、こんなツイートをしたことだった。
〈「ファイヤーラジオ」の中でお話ししましたが、6月22日の「上田晋也のサタデージャーナル」で「山本太郎現象」を特集したいと連絡があり、VTR収録の日程を確保したのですが、その後、特集中止の連絡があり、直後に番組の打ち切りが発表されました。あれは何だったのか?〉
ツイートにもある通り、中島氏は7月4日放送のインターネットラジオ「ファイヤーラジオ」で、すでにもっと詳しい経緯を明かしていた。
「『上田晋也のサタデージャーナル』という番組が突然終わるということになりましたよね。突然終わるという話になる数日前に、僕のとこにスタッフの方から連絡があって、実は次の参議院選挙に向けて、山本太郎さんをめぐる社会現象が起きているということを取り上げようと思っている、と。ついては、先生にVTR出演をしてもらいたいっていうので、日を押さえてほしいって言われたんですね。あれ土曜日の放送なんですけど、僕、手前の水曜日くらいになんとか時間があったのでじゃあここだったら大丈夫ですよっていう連絡をたぶん月曜日くらいにしたんですよ。
そしたら翌日、ちょっと雲行きが怪しい電話がかかってきて、実は取り上げられるかどうかもちょっと微妙な部分もあるんですけど、まず先生がどういうお話をされるか教えてほしいって言われるんですね。僕は、別に応援しているわけでも別にないので、政治運動をやっているわけでもないので、客観的に、政治学者として、山本太郎現象というのはこういう点があるんじゃないかという、だいたいの話をしたんですね。そしたら、夕方にそのコーナーなくなりましたって連絡があったんですよ。で、その直後に、ネット上であの番組が終わるっていう、そういう報道が流れたんですよね。僕それ以上何も知らないんですよ。客観的に言うと、突然終わるという話があって、それの前は山本太郎を大きく取り上げたコーナーをつくろうとしていた、けれども突然なくなった、ということなんですね。何なんだろうなと思うんですよ。僕はそれ以上わからないですよ。だから推測とか邪推するべきではないなと思うんですけれども。しかし取り上げようとするとなかなかそれが難しくなっているというのは、現状ってあるんだろうなって思うんですよね。大手メディアっていうのが、ますます起きている現象を取り上げられなくなっているんだとすれば、しかもテレビにどれだけ出てるかっていうのが左右しているような現代では、ちょっとそれでいいのかなあというふうに思うんですよね」
さらに、中島氏は、テレビが山本氏を取り上げる価値があったことをこう強調していた。
「もっと小さく起きていることであれば、社会現象って言い難いことであれば、それはそれほど大きなスペースを割くっていうことにならないっていうのはわかるんですけれども。たとえば、朝日新聞とかでも、山本太郎現象についてこれまでいろいろ記事は出ているし、どう見ても社会現象として人が集まっていると。ネット上でもものすごい再生されているというのは、まあもうニュースだと思うんですよね」
にもかかわらず、『サタデージャーナル』が山本氏を取りあげることをやめてしまったことに、中島氏は違和感をもったということだろう。しかも、中島氏によれば、『サタデージャーナル』は当初、山本太郎の特集をやろうと取材依頼していたにもかかわらず、数日後、突如、企画を中止。そのすぐあとに、番組終了が発表されたというのだ。
新聞系ネットニュースも一斉に取り上げた山本太郎現象、でもテレビは…
当然、この中島氏の発言は大きな話題に。SNSなどでは『サタデージャーナル』突然の終了は、山本太郎を特集しようとしたことが原因だったのではないかという憶測も流れ始めた。
そこで、本サイトも『サタデージャーナル』番組終了発表の際、その裏事情を提供してくれたTBS関係者に取材してみた。すると、こんな答えが返ってきた。
「山本太郎さんの特集をやろうとしたから、番組が終わったというのはありえません。番組終了が決まったのはもう少し前。ただ、『サタデージャーナル』が当初、山本太郎の特集を組もうと動いていて、途中で企画がボツになったのは事実のようです。参院選前に、山本氏のれいわ新選組だけを取り上げるのは、批判を受けかねないという判断があったんじゃないでしょうか。『サタデージャーナル』は、山本さんの企画をやる予定だった6月22日に、例の自民党が配布した野党攻撃冊子の問題を取り上げていますから、官邸の圧力や忖度ということではないでしょうが」
『サタデージャーナル』の場合は“日和った”わけではないかもしれないが、しかし、テレビで山本太郎を取り上げたくても取り上げられないという状況は確実にある。
中島氏も指摘していたように、山本太郎と「れいわ新選組」には明らかにニュースとして取り上げる価値があった。
4月の結党以来、話題をふりまき続け、参院選公示日直前には、完全に台風の目になっていた。クラウドファンディングで2億を超える資金を集め、街宣にも多くの聴衆がつめかけ、ネット上ではSNSはもちろん、出版社系・新聞社系のニュースサイトまでがこぞって“山本太郎現象”を取り上げる状況になっていた。ざっと振り返っても、以下の通りだ。
・朝日新聞デジタル「山本太郎氏に異例の寄付金 なけなしのお金、託す理由は」
・日刊スポーツ「山本太郎氏の戦略着々「れいわ新選組」は台風の目に」
・スポーツ報知「「れいわ新選組」山本太郎氏、セオリー無視で斬り込むタレント候補いらない」
・東洋経済オンライン「既成政党がおののく「れいわ新撰組」の実力度」
・論座「山本太郎は日本のバーニー・サンダースか」
・日刊スポーツ「山本太郎氏の戦略着々「れいわ新選組」は台風の目に」
・文春オンライン「郵政選挙の小泉ブーム並み!? 山本太郎が枝野幸男の座を脅かす」
・デイリー新潮「れいわ新選組の「山本太郎」 2カ月足らずで1億6000万円の募金を集めたってホント?」
・夕刊フジ「山本太郎氏“仰天”街頭演説ルポ「私を総理大臣にしてください!」 選挙は時に“化け物”を生む…政権批判の左派野党より勢い!?」
しかも、リベラル系メディアだけでなく安倍応援団メディアまでが山本太郎現象を好意的に取り上げていた。
「放送法違反だから」は嘘! 安倍は辛坊治郎の番組に単独出演
ところが、これだけ注目を集めているにもかかわらず、テレビだけはまったく“山本太郎現象”を取り上げていないのだ。民放のワイドショー制作スタッフがその理由をこう語る。
「うちの局やほかの局でも、話題の山本太郎を取り上げようという企画は持ち上がっていた。でも、どこも“公示日前とはいえ、特定の政治家だけクローズアップするのは、放送法違反になる”などという理由で、ことごとくボツになったようです」
しかし、これは明らかにおかしい。たとえば、公示日直前に特定の政党をクローズアップするのが「放送法違反」になるなら、安倍首相を単独出演させた6月22日の辛坊治郎が司会の『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)はなんなのか。言っておくが、このときの番組で安倍首相は「参議院選挙において、憲法改正を審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか」と発言するなど、明らかに総理大臣としてではなく、自民党総裁として事前運動発言を連発していた。
自民党だけではない。野党の場合でも、小池百合子が「希望の党」を立ち上げた際や、「維新」が国政進出した際には、テレビも大きく取り上げて、ブームを盛り上げていた。
にもかかわらず、なぜ、山本太郎だけは取り上げられないのか。党首討論に呼ばないのは、政党要件を満たしていないから当然としても、中島氏の言うように、公示前に現象をニュースとして取り上げることはまったく問題ないし、批判的な見方などもきちんと伝えれば、放送法に抵触する恐れはない。
「上層部が言っている『放送法違反』とか『山本はイロモノだから』などという説明は、タテマエ。本当の理由は、山本太郎氏の主張をそのまま取り上げると、官邸や自民党、安倍応援団の視聴者から一斉に抗議が殺到する可能性があるからです。加えて、山本氏とれいわ新選組の場合は、スポンサーからもクレームが入る可能性がある」(前出・ワイドショー制作スタッフ)
そう、山本太郎とれいわ新選組をテレビが取り上げないのは、そのまま、安倍政権やテレビの既得権益に真っ向対立する存在だからだ。
れいわ新選組は候補者じたいが安倍官邸やスポンサータブーに抵触
実際、れいわの場合は、反貧困、反原発といった政策だけではなく、候補者の人選じたいが、そのまま安倍政権への強烈な批判につながり、テレビのタブーに触れてしまう可能性がある。
たとえば、最初に候補として発表された蓮池透氏は周知のように、北朝鮮拉致被害者・蓮池薫氏の兄で、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)元副代表だが、元東電社員として原発に関わった経歴も持ち、近年安倍首相の拉致問題に対する姿勢や原発行政について厳しく批判してきた。安倍首相が蓮池氏の「拉致問題を利用してきた」発言に激昂したこともあるから、官邸が激怒するうえ、大スポンサーの電力会社からも一斉にクレームは入るだろう。
また、沖縄県知事選で創価学会本部の意向に反旗を翻し、玉城デニー知事を支援した沖縄創価学会壮年部の野原善正氏を擁立したことも、注目を集めたが、野原氏はテレビの創価学会タブーに完全に触れる存在だ。
また、れいわは、貧困問題や労働問題の当事者である元派遣労働者の渡辺照子氏、元セブン・イレブンオーナーの三井義文氏を擁立したが、三井氏を取り上げれば、大スポンサーであるセブン・イレブンを怒らせるのは必至だろう。
さらに、国会内で介助者を認めるなどバリアフリー化が必要となる重度障がい者の木村英子氏、難病ALS当事者での舩後靖彦氏を擁立した。木村氏の擁立を発表した際、山本氏は「生産性ではなく、いかに存在しているだけで人間は価値があるかとそういう社会を実現するために政治はある」と語ったが、2人の存在は、忘れられかけている1年前の自民党・杉田水脈衆院議員の「生産性」発言を争点のひとつとして強烈に思い起こさせる。
ようするに、山本氏の主張、政策から候補者まで、あらゆることが、政権とスポンサーを忖度することしか考えていないテレビ局の上層部にとって、恐怖でしかないのだ。
れいわ新選組が多くの議席を獲得すれば、テレビの政権忖度も変わる?
だが、テレビやマスメディアが無視しても、ネットを中心に、山本氏への支持はどんどん広がっていっている。それは、山本太郎の「反格差」「多様性」への姿勢が本物であることが、国民に伝わり始めているからだろう。
一部の野党支持者の間から、こうした山本太郎現象に対して“野党共闘を撹乱する安倍自民党の補完勢力になってしまっている”などという批判の声もあがっているが、選挙戦略をみると、むしろ山本氏は野党共闘の妨害をしないように配慮をし、安倍政権の力を削ぐことを最大目的にしている。それは、東京選挙区に沖縄創価学会壮年部の野原善正氏を立てたことからも明らかだ。山本氏は、東京なら、野党候補の票を減らすのではなく、公明党・山口那津男代表の票を削れるという戦略で、野原候補を唯一の選挙区候補として送り込んだのだ。
本サイトが以前から山本太郎を評価してきたのは、過激なパフォーマンスの裏に、本質を絶対に見失わない姿勢と周到な戦略があったからだ。その山本が選挙後、リベラル勢力を裏切ることなんてありえない。れいわ新選組が多くの議席を獲得すれば、むしろ、必ず大多数である弱者の大きな力となるはずだ。
しかも、今回の選挙報道でもそうだったように、彼らの存在は安倍政権だけでなく、マスメディアの問題点をもはっきりと浮かび上がらせる。れいわがある程度の影響力を発揮できる議席を獲得すれば、テレビも山本太郎を出さざるを得なくなり、安倍政権への忖度やタブーをぶちこわす突破口となる可能性がある。
その意味でも、「れいわ新選組」には、1議席でも多くの議席を獲得することを期待したい。
(編集部)
最終更新:2019.07.08 08:48
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