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「ニコ超」参加に異例の訪米…“令和おじさん”で調子に乗る菅官房長官の正体と情報操作の手口!
“令和”で調子づく菅官房長官(首相官邸HPより)
菅義偉官房長官が完全に調子に乗っている。4月1日に、官邸での会見で「令和」を発表して以来、「令和おじさん」として一気に人気が高まったといわれる菅氏だが、28日、千葉・幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議2019」に姿を現した。
ネトウヨや安倍応援団が多数詰めかけることで知られるニコ超には、安倍首相が何度も来場しているが、菅官房長官がやってくるのは初めて。菅長官は「外遊中の安倍首相の代理」などといっていたが、「令和おじさん」ブームに乗っかって、やってきたのは間違いない。実際、観客からは「令和おじさんだ」だという声が上がり、菅官房長官は終始ご満悦だった。
さらに、菅官房長官はこの5月9日から12日まで、自らが訪米することも発表している。菅官房長官の外遊は約4年ぶりで2度目。内政の事実上の統括者で危機管理などを担ってきた官房長官が外遊に出るのはきわめて異例だ。これも4月に入って急遽決めたスケジュールらしく、自民党内では「最近の人気で、ポスト安倍を本気で狙い始めた菅氏が、訪米で足場づくりを始めた」という見方が広がっていることを複数の新聞が報道している。
まさに「令和おじさん」人気で調子に乗っているとしか思えない菅官房長官だが、しかし、そもそも菅官房長官はいま、メディアやネットでしきりに語られているような「苦労人で人の話をよく聞く人格者」などではない。これまで様々な局面で、陰湿な謀略と情報操作を駆使し、官僚やメディアを恫喝、支配してきたまさに“安倍政権のゲッベルス”と呼ばれるにふさわしい人物だ。
そして、いま、何も知らないネット民が抱いている「かわいいおじさん」というイメージも、もとは、菅官房長官が仕掛けた情報操作によってつくられたものでしかない。
本サイトは先日、菅官房長官が「令和おじさん」のイメージとは全く逆の素顔をもっていること、そして、いまのブームにつながるようなイメージアップの記事をNHKにつくらせた疑惑があることを指摘した。
広がる「令和おじさん」ブームと調子に乗る菅官房長官の正体とは。記事を再録するので、是非読んでほしい。
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今月1日、新元号発表をおこなったことによって若い世代から「令和おじさん」と呼ばれるようになった菅官房長官。過去にも当時官房長官だった小渕恵三が「平成おじさん」と呼ばれたから今回も不思議はない話だが、SNSでの菅官房長官の人気はすさまじく、〈さぞ激務であろうにそれをおくびにも出さず淡々と職責を果たされる普段の姿とのギャップがまた良い〉〈はにかんだ笑顔が良いです〉などといった投稿が続出。菅官房長官がパンケーキを頬張る画像などを添付した〈やばい菅官房長官知れば知るほど推せる〉という投稿は、なんと32万を超える「いいね」が押され、大拡散されている。
「安倍政権のゲッベルス」として安倍首相の強権的な政治運営を支えてきた菅官房長官が、パンケーキ好きというだけで「推せる」と言われてしまう。──なんとも気持ち悪いこの現象だが、5日の定例記者会見でも「いまネットで『令和おじさん』と呼ばれているという報道があったが」と質問が出て、菅官房長官は「承知はしてますけど、ピンときてないですね」と返答。こういう質問にだけはきちんと答えるのかとウンザリさせられるが、当の菅官房長官はニッコリと笑い、まんざらでもない様子だった。
しかも、この状況に丸乗りしているのが、テレビのワイドショー。きょう(4月9日)放送された『ひるおび!』(TBS)と『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)では、菅官房長官の特集が組まれたのだ。
『ひるおび!』では八代英輝が「笑顔がシャイ」とヨイショ
まず、『ひるおび!』(TBS)では、北海道知事選や大阪ダブル選で上手く立ち回ったのが菅官房長官であり、勝利に導いた立役者として紹介。さらに、塚田一郎・前国交副大臣の「忖度」発言についても辞任を進言したのは菅官房長官だとし、司会の恵俊彰は「非常に早い火消しでしたという評価でした」「菅さんって今週かなり目立っている」と語った。
現役副大臣が「私は総理や副総理を忖度します」と公言するなど前代未聞、言語道断の発言で、むしろ即刻罷免しなかったところに安倍政権の国民をバカにした態度が見てとれる。そもそも焦点にすべきは発言どおり「忖度」があったのかどうかだ。それを検証することもなく、数日経って辞任させたことを「早い火消し」などと評価する時点でどうかしているとしか思えない。
しかし番組は、菅官房長官の“苦労人”話や安倍首相との信頼関係といったエピソード紹介にばかり時間を割き、八代英輝弁護士は「さすが法政大学空手部だけあって笑顔がシャイですね」などとコメント。さらに田崎史郎氏はここぞとばかりに「今年、携帯料金下がりますけど、それも菅長官なんです」とアピールしたのだ。
おいおい、ちょっと待ってくれ。たしかに菅官房長官は携帯電話料金問題を節目節目でぶち上げ、昨年の沖縄県知事選では街頭演説で「携帯料金を4割程度引き下げる方向に向かって実現をしたい」と宣言した。だが、そもそも国には携帯料金値下げの権限はなく、今年の値下げというのも10月の楽天の参入に引きずられたものでしかない。現に、値下げを促す改正案が先月閣議決定されたが、実際に値下げとなるかは不透明だ。にもかかわらず、あたかも菅官房長官が携帯料金を値下げさせるような田崎氏の発言は、ただのフェイクでしかないだろう。
しかし、『ひるおび!』以上に酷かったのが、『大下容子ワイド!スクランブル』だった。
『ワイド!スクランブル』は「ピュア」「人の話を聞く」
こちらも菅官房長官の苦労人エピソードを紹介し、末延吉正・元テレ朝政治部長は「ピュアな感じっていうのが一気に出てきた」「つらいことを経験しているからこその優しさ」などと歯が浮くような言葉を並べ立て、太田昌克・共同通信編集委員までもが「本当に叩き上げで人様の苦労がわかっている人に政治をやってほしいんですね」と言い出す始末。
これにはメインMCの大下容子アナウンサーも「ちょっとここはっていうところはないんでしょうか? いままで全部いい話ばかり」と苦言を呈したが、末延はそんな話は聞いていないかのように「かつてはナンバー2にいる人が力をつけると不協和音が出た。でも、出ないところが安倍、菅2トップのすごいところ」などと“安倍・菅コンビすごい!”に終始したのだった。
だが、もっとも目がテンになったのは、番組が紹介した自民党・平沢勝栄議員の言葉だ。菅氏と平沢氏は初当選同期の関係だが、番組では平沢議員による菅氏の印象をこう紹介したのだ。
「裏方に徹する 絶対に裏切らない 口が堅い ひたすら尽くす いろんな人の意見を聞く 自分ではしゃべらず徹底して聞き役になる 安倍さんは後ろを振り向かずに1人で突進する場面があるが、抑え役としては最高のコンビ」
菅官房長官が「いろんな人の意見を聞く」「徹底して聞き役になる」って、冗談じゃない。ご存じのとおり、菅官房長官は東京新聞の望月衣塑子記者の質問に対して「あなたに答える必要はありません」などと言い放ち、2017年には「ここは質問に答える場所ではない」とも発言した。気にくわない相手の話はハナからシャットアウトするのが菅官房長官ではないか。
しかし、『ワイド!スクランブル』にしても『ひるおび!』にしても、こうした菅官房長官の回答拒絶や官邸の記者排除問題には一切ふれずじまい。加計学園問題で「総理のご意向」文書を「怪文書」呼ばわりをして実在した文書をないもののように語ったことはもちろん、前川喜平・元文科事務次官のことを「前川氏は当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位にレンメン(編集部注・おそらく「恋々」の間違い)としがみついていた」などと虚偽の情報で人格攻撃したことにも言及しなかった。
菅官房長官のメディアに対する圧力と懐柔
つまり、ワイドショーは、これまでさんざん指摘されてきた菅官房長官の問題点は無視して、「ピュア」だの「いろんな人の話を聞く」だのといった現実からかけ離れた礼賛を垂れ流したのである。
反吐が出るような、あからさまなヨイショ報道──。ようするにこれは、ワイドショーはネット人気や二階俊博幹事長の“菅官房長官はポスト安倍”発言に乗じて、ここぞとばかりに菅官房長官に尻尾を振ったのだろう。
というのも、菅官房長官といえば、ニュース番組やワイドショーなどの放送をいちいちチェックしており、気にくわない報道やコメントがあれば、すぐさま上層部にクレームを入れることで圧力を高めてきた張本人だからだ。
有名なのが、『報道ステーション』(テレビ朝日)で古賀茂明氏が「I am not ABE」と発言し、レギュラーコメンテーターを降板させられた事件だろう。このとき官邸は古賀発言に大激怒し、本サイトでも当時伝えたように「菅官房長官の秘書官」が放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というようなもので、恫喝以外の何物でもなかった。
のちに古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)で、恫喝した菅官房長官の秘書官が警察官僚の中村格氏であったことを明かしている。中村氏といえば、官邸に近いジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんへの性暴力疑惑をめぐって、直前で山口氏の逮捕取りやめを指示した人物として知られるが、このようにして菅官房長官はマスコミをコントロールしてきたのだ。
しかも、菅官房長官は恫喝するだけではなく、マスコミ関係者と会食をしては手懐けるという安倍首相と同じ手法もとっている。そして、その会食相手には、きょう、菅官房長官ヨイショを繰り広げた『ひるおび!』の恵俊彰の名が取り沙汰されたこともある。
「パンケーキを頬張る写真」はNHKにやらせた報道
菅官房長官のこうした懐柔工作は、政権に批判的なキャスターにも向けられている。毎日新聞の主筆や『NEWS23』(TBS)アンカーなどを務めた故・岸井成格氏は、佐高信氏との対談本『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社)で菅官房長官の手口を証言している。これによれば、岸井氏は企業の幹部に話をするという勉強会を長く続けていたのだが、その場に菅官房長官が突然、やってきたというのだ。
「(菅官房長官は)黙って来た。誰かから聞いて知ったんだろう。最初から最後までいたよ。終わると『今日はいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました』と言って帰っていった。怖いよな」
「『どこで何を話しているか、全部知っていますよ』ということを見せているわけだ。『人脈も把握しています。岸井さんが動いているところにはいつでも入っていけますよ』というメッセージかもしれない」(『偽りの保守・安倍晋三の正体』より)
それどころか、いま、ネット上で大拡散している「パンケーキを頬張る菅官房長官」の写真にしても、菅官房長官とマスコミの癒着が背景にある。この写真はNHKの『政治マガジン』が昨年7月25日に配信した記事内で掲載されているものなのだが、この記事自体、「菅官房長官がNHKに書かせたもの」と言われているシロモノだからだ。
本サイトの既報に詳しいが(https://lite-ra.com/2018/07/post-4159.html)、自民党総裁選を控えていた当時、安倍3選後の人事について安倍首相を擁する派閥・清和会が菅官房長官のすげ替えを要求しており、一方、菅氏は官房長官留任の流れをつくろうとNHKを使ったと見られている。つまり、猟官運動のために菅官房長官はNHKに提灯記事を書かせたのではないかというのだ。
テレビ局側にしてみれば、今回の菅官房長官人気は、安倍政権による“メディア圧力担当者”に媚びを売る絶好の機会だった。そして実際に、無批判な菅官房長官礼賛が垂れ流された──。このテレビの惨状こそが、「不正問題が問題化しない社会」をつくり、助長していることは間違いないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.04.29 11:39
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