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『zero』で忖度全開、有働由美子が杉田水脈までフォロー!「生産性を撤回」とコメント、訂正する事態に
日本テレビHP『news zero』より
10月1日から『news zero』(日本テレビ)キャスターに就任した有働由美子の評判がよくない。メディアからは連日のように「有働アナが噛みまくり」など、進行のポンコツぶりを揶揄され、視聴率も4,5%台に落ち込む日もあるなど、低迷が伝えられている。
だが、問題はそういうレベルのことではない。そもそもニュースに対する向き合い方がひどいのだ。
沖縄県知事選はじめシビアな政治的対立に関わる話題はことごとくスルー。たまに扱っても、有働自身はほとんどコメントせず、口を開けば、権力をフォローするようなセリフばかり口にしている。今月初めの組閣のときは、記者が「“在庫一掃内閣”といわれている」とレポートすると、「結構な言いようですけど、適材適所は適材適所ってことでいいんですか?」と、文脈を無視して無理やりフォローする始末だった。
リテラは「ニュース感覚がゼロ」と批判したが、こういう姿を見ていると、『あさイチ』(NHK)で見せていた“言うべきことは言う”スタンスは、イノッチやコメンテーターの柳澤秀夫にひっぱられたものにすぎず、有働自身はNHK的な「権力忖度体質」「八方美人体質」の持ち主だったということだろう。
しかしだからといって、まさかあの人のことまでフォローするとは……。あまり報じられていないが、つい最近、有働はあのLGBT差別発言の杉田水脈議員を思わずフォローし、番組中に訂正する事態に追い込まれてしまったのだ。
それは臨時国会が開かれた10月24日のこと。周知のようにこの日、杉田議員が騒動以降はじめて公の場に現れ、国会で記者団の取材に応じ、“LGBTに生産性はないなどとした”「新潮45」の寄稿について釈明を行うも、撤回を拒否したため、テレビや新聞、ネットニュースが一斉に報道。ここまで杉田のことや「新潮45」の小川榮太郎の原稿についてほとんど取り上げていなかった『zero』も、このニュースを報じた。
番組では、問題の「新潮45」寄稿の解説から抗議デモの様子、「新潮45」休刊に到るまで、一連の経緯を振り返ったうえで、杉田議員の囲み取材の様子をVTRで流した。
杉田議員は国会で記者に囲まれながら、「様々な誤解や論争を招き、心苦しく思っている」「不用意に言葉を使ってしまったことで、このような状態を招いていることを大変重く受け止めています」などと神妙なフリをしつつも、撤回と受け止めていいのか? と記者に問われると、「いえ」と否定。「生産性という言葉については本当に不適切だったと感じています」と同じ弁明を繰り返すだけだった。さらに、撤回しない理由を問われても「大変誤解を招いて、あの文章の中にあの言葉は必要なかったと思います」としか答えなかった。
また、そもそもLGBT支援に実際にはそこまで税金が投入されていない、事実を確認していたのかと質され、「はい、そうです。ただこれから先どのような要望書が出てくるのか、私自身、団体が出した要望書なども全部見た上での発言ですから」と、強弁した。
どこからどう見ても、撤回を拒否して、言い訳にならない言い訳を強弁しているだけなのだが、驚いたのは有働の反応だった。
VTRが明けると、有働アナは例によって自らは何も語らず、まずゲストコメンテーターとして出演していた映画監督の安藤桃子氏に丸投げ。安藤は一応、「(杉田水脈の発言は)品性を疑う」と、批判的姿勢をみせたものの、それを受けた有働がこう語って杉田問題を締めくくったのだ。
「“生産性”については、今日まあ、撤回したということなんですけれども、発言自体については撤回しないという。この後、どういう発言をまたされるのか注目したいと思います」
番組のVTRや他のニュースも「撤回なし」と報じていたのに
え? 生産性については撤回した? いったいいつ? どこをどういう解釈をしたらそうなるのか? 有働はVTRをちゃんと見ていたのか?
と、思っていたら、このコメントから20分くらい後、有働は神妙な表情で、カメラに向かって「先ほど、杉田議員の寄稿について、私が「生産性という言葉を撤回した」というふうに言ってしまいましたが、生産性という言葉については不適切だったことは認めて謝罪しましたが、撤回はしていませんでした。大変失礼しました」と訂正およびお詫びを述べたのだった。
どうやら視聴者から抗議電話があって、おわびすることになったらしいが、抗議以前にこんな発言をするほうがどうかしている。
なにしろ、杉田議員の発言を受けて、夕方以降、メディアは一斉に「生産性、撤回せず」とすでに報じていたのだ。いや、他のメディアだけではない。当の『zero』のVTR でも「杉田議員は言葉が不適切であったことは認めたものの、発言を撤回するかどうかについては明言を避けた」というナレーションが入り、「発言撤回か明言せず」というテロップも大きく映し出されていた。
にもかかわらず、有働アナは「生産性を撤回した」と伝えたのだ。これは、おそらく組閣のときの「適材適所」と同じで、「なんとか杉田議員をフォローしなければ」という気持ちが、反射的に「生産性発言については撤回した」というコメントになったとしか思えない。
ただし、これは有働が“安倍応援団”的あるいは“自民党寄り”の政治スタンスをもっているということではない。『zero』のキャスターに就任して以降、どんどん露わになってきている前述した有働の体質が引き起こしているのだろう。賛否の分かれる話題で自分の立場を明確にしたくない、権力の批判をするときは絶対に両論併記をしなければいけない、そういうNHK的な忖度体質がこうした明らかなまちがいまで生み出しているのだ。
しかし、これはNHKの朝の情報番組やバラエティなら許されても、権力をチェックすべき報道番組のキャスターとしては明らかに失格だろう。
有働由美子より民放の女子アナのほうがよほどジャーナリスティック
有働アナはNHKを退職する際に「今後は有働由美子というジャーナリストとして活動したい」と宣言、同じNHK出身の池上彰から「そんな簡単にジャーナリストなんて自称してほしくない」と苦言を呈されたことがある。有働は朝日新聞のインタビューで、その反論と受け取れるようなことを語っていた。
「男性社会のジャーナリストって『シリアに行きましたか?』『警察取材の経験はありますか?』みたいなイメージで問いかけてくる感じがする。でも『こうじゃないとジャーナリストじゃない』というのは違うと思います。自分の中では肩書に対して重さや気負いはありません。不妊治療やセックスレスとかを掘り下げるのだってジャーナリスティックでしょう?」(朝日新聞7月22日)
たしかに、戦争や事件だけじゃなく、女性や家族の問題を掘り下げることもジャーナリスティックだというのは一理ある。トランスジェンダーを公表している日テレ社員・谷生俊美氏や「男性学」を専門とする社会学者・田中俊之氏といったゲストコメンテーターの人選にもそうした問題意識は垣間見える。でも、だったらなぜ杉田水脈の「生産性」発言に何も言えず、あまつさえフォローまでしてしまうのか。
新生『zero』の批判としてワイドショー化というのをよく見かけるが、杉田水脈問題にしても片山さつき口利き問題にしてもワイドショーのほうがよほどど突っ込んだ報道をしているし、有働より経験の少ない民放の女子アナたちだってこんなヘタレじゃない。『直撃 LIVE グッディ!』のミタパンこと三田友梨佳アナや『モーニングショー』(テレビ朝日)宇賀なつみアナのほうが、もっと踏み込んだ発言をしている。
ようは扱うジャンルの問題ではない。有働由美子にはそもそも、ジャーナリストとしての資質が決定的に欠けているのではないか。『zero』はいま、ニュースの数を増やすなど多少改善を試みているようだが、有働アナの姿勢を根本的にあらためない限り、“ニュース番組のふりをしたかわいい有働さんを愛でる番組”から脱却できることはないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.10.29 12:58
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