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米朝会談で安倍首相がまた醜態! 世界で唯一「会談中止を支持する」と表明した直後にトランプが開催に動き右往左往
首相官邸HPより
アメリカのトランプ大統領が一度は中止にすると表明していた米朝首脳会談だが、再び開催に向けて動き始めた。それ自体は非常に喜ばしいが、このめまぐるしい展開によって、安倍首相はまたぞろ醜態をさらすこととなった。
というのも、安倍首相は世界の首脳でたったひとり、米朝会談の中止を支持すると表明していたからだ。
24日にホワイトハウスが中止を発表した際、各国の首脳はその決定に一斉に「遺憾」の意を示した。ところが、安倍首相ときたら25日、訪問中のロシアで「トランプ米大統領の(中止の)判断を尊重し、支持する」と宣言。その直後の講演でも「米朝首脳会談を今後も追求していく必要がある」と語る一方、各国が示したトランプ政権への「遺憾」は一言も出さず、逆に「北朝鮮の対応にさまざまな問題があったのは事実」と金委員長側を非難してみせたのだ。会談中止に賛意を示したのは、世界中で日本一国だけだった。
しかし、その安倍首相が「中止を支持する」と表明した数時間後、トランプ大統領が北朝鮮の談話に対して「温かくて生産的」とツイートし、再び米朝会談に前向きな姿勢を見せ始める。すると、翌26日、安倍首相も一転して、「米朝会談は不可欠」「実現に向けて国際社会は結束を」などと発言。さらに、6月12日に米朝会談開催されることが具体化してくると、28日の参院予算委員会では、3日前の発言など忘れたように、「実現を強く期待している」と宣ったのである。
ようするにトランプ大統領が「中止」と言えば「支持する」、「再開」の動きを見せれば「期待する」……トランプの“ポチ犬”どころか、ご主人様のセリフを何も考えずに繰り返すただの“オウム”状態であることがバレバレになってしまったのだ。
さらに、情けないのはその情報力のなさだ。トランプ大統領が米朝会談実現をあきらめていないことは、24日の中止発表直後から指摘され、25日の段階ではかなり開催が現実性をもちはじめていた。にもかかわらず、安倍首相はそのタイミングで「中止を支持する」「北朝鮮の対応に問題があった」などとコメントしていたのである。
菅官房長官も「世界でたった1カ国会談中止を支持した」とトンデモ自慢
周知のように、安倍首相のこうした醜態は今回に始まったことではない。年明け、南北首脳会談実現の動きが進み始めた頃からそうだった。実際は米国も南北対話の動きにコミットしていたのに、それにまったく気付かず、2月の五輪開会式での日韓首脳会談では文大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と言い出して融和ムードへ冷や水を浴びせかけ、その後も外務省を通じて韓国に「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」だと、再三にわたって圧力をかけ続けた。そして、五輪開催中、トランプ大統領と電話会談をすると、「北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けていく点で完全に一致した」と発言するなど、ひたすらトランプと歩調を合わせているとアピールしていた。
ところが4月、南北会談が実現して、トランプ大統領が全面支持を表明すると、安倍首相は一転。「北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きと歓迎する」とのコメントを発表したのだ。
安倍応援団は森友加計をはじめとするデタラメ政治を糊塗するために“外交の安倍”などともちあげているが、その外交も実態はたんに一週遅れでトランプ大統領を追いかけ、そのセリフを復唱しているにすぎない。
『報道ステーション』コメンテーターの後藤謙次氏が米朝会談の対応について「日本の外交はアメ車の助手席に乗っているだけ」という意見を紹介していたが、いまの安倍首相は助手席というより、後部座席のさらに後ろのリアに必死でしがみついている、という表現のほうがぴったりだろう。
ただし、そんな安倍首相も一つだけ秀でている点がある。それは、国際政治でどれだけ外交能力のなさを露呈しても、国内向けには平気で自分の手柄にでっちあげてしまう“厚顔”ぶりだ。
たとえば、完全に蚊帳の外に置かれた南北首脳会談の直後、安倍首相は「日米がまさに主導する形で日米韓で協力をしながら、最大限の圧力をかけていったからこそ、こうした大きな変化につながっていく。前向きな動きにつながってきたということだろう」と、なんと南北首脳会談が“トランプ・安倍コンビの手柄”であるかのようなコメントを発していた。
今回の米朝首脳会談中止から再開にいたる動きのなかでも同様だった。菅義偉官房長官は会談中止を評価してしまった安倍首相の失態をフォローするためか、こんな我田引水なコメントを述べたのだ。
「会談を開くことが重要なのではない。核・ミサイル、拉致問題を前に進めていくことが重要だ。だから安倍晋三首相が、トランプ氏の(会談中止という)決断を支持すると言った。たった1カ国です、世界でも。そしたらまた(トランプ氏が米朝会談について)やるかもしれない、良い感じにあるとツイートした」
「私どもが考えていた方向に物事が回り始めてきている。安倍首相の外交努力によって、トランプ氏を引き込んで、圧力をかけ続けてきた。これからが正念場だ」(26日の自民党栃木県連大会での発言、朝日新聞デジタルより引用)
米朝会談中止の決定を世界中で安倍政権だけが支持したことを恥じるどころか、逆に我々が北朝鮮の態度を変えさせたとドヤ顔で誇る。いったいどういう神経をしているのだろうか。
米国の顔色をうかがうだけの安倍政権は「米朝戦争」にも全面協力する
しかし、安倍首相が真に問題なのは、自分の外交能力の欠如を隠そうとするみっともなさやそれを手柄話に仕立てる厚顔無恥な性格ではない。この総理大臣が日本国民の安全や世界の平和、国際情勢の安定など一顧だにせず、ひたすらご主人様である米国の顔色だけをうかがい続けていることだ。
日本が米国の属国であることはいまに始まった話ではないが、安倍政権の対米追従姿勢は歴代政権の中でも突出している。安保法制、米軍基地問題と、米国にしっぽをふるために、日本国憲法や国民の生活を平気でふみにじってきた。その延長線上にあるのが、今回の米朝会談をめぐる言動なのだ。
そう考えると、現状もけっして楽観はできない。いまはたまたまトランプ大統領が対話路線に傾いているからいいが、まったく逆の動きをすれば、それこそ安倍首相も逆の方向に動きかねないからだ。
たとえばホワイトハウスではここにきて北朝鮮への先制攻撃も肯定するウルトラタカ派の存在感が増している。
たとえば、その中心人物が国家安全保障問題担当のボルトン大統領補佐官だ。日本のマスコミはなぜかほとんど危険視していないが、ボルトン補佐官は、2000年代の国務次官時代(ブッシュ政権)からイランや北朝鮮に対する強硬路線の急先鋒。米国内でも〈良い点は、自分の考えを述べることだ。悪い点は、その考えの中身である。ボルトン氏ほどアメリカを戦争に導く人材はいない〉(ニューヨークタイムズ紙)と呼ばれるほどの超タカ派である。実際、米朝会談中止はボルトン氏がトランプ大統領に電話で再考を促したことがきっかけと見られている。
この先、トランプ大統領がボルトン補佐官に引きずられて、再び豹変して北朝鮮との全面戦争をぶちあげる、という可能性だってゼロではない。そして、そうなったら、きっと安倍首相は「トランプ大統領の決断を全面的に支持する」と、諸手を挙げて賛同し、憲法を無視して全面協力をするだろう。
日本にとって、北朝鮮なんかよりもこの総理大臣のほうがはるかに危険であることを我々はもっと強く認識すべきではないか。
(編集部)
最終更新:2018.05.30 06:59
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