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安倍首相との焼肉会食を松本人志が被害者ヅラで言い訳! 武田鉄矢も「権力批判はカッコつけ」と松本擁護
安倍首相から挨拶されたのを自慢する松本人志(フジテレビ『ワイドナショー』12月24日放送回より)
「雑談で、他愛もない話して、割り勘で帰っただけなんですけどね。最初で最後でしょうしねえ。なんかそういうふうに(批判的に)言われてしまうんですね」
松本人志御一行と安倍首相との会食が発覚して初めての収録にあたる24日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)。本サイトは松本人志がいつもの開き直りトークを全開するだろうと予測していたが、結果は予想以上のひどい内容となった。
番組ではまず、いっしょに焼肉にいったレギュラー出演者・古市憲寿の〈単純に安倍さん出演回の番組出演者で打ち上げに行きましょうという話が、今月まで延び延びになっていただけ、というだけ〉というツイートが紹介され、これにやはり焼肉に同行した松本の子分でMCの東野幸司が「安倍総理も(番組に)いらっしゃって、食事の約束もしてまあ実現したという形なんですけど」とコメントして、安倍首相との会食は“単なる番組共演の打ち上げだった”と強調する。
すると、これを受けて、松本が冒頭のように「なんかそういうふうに(批判的に)言われてしまうんですね」と被害者ヅラのコメントを発したのだった。いったいこの芸人はなぜ、自分たちが批判されているのかわかっているのだろうか。
そもそも、ジャーナリストや情報番組のMC、コメンテーターが取材でもないのに、政治権力者と仲良く会食するということじたい、倫理的にありえない話だが、さらに問題なのは『ワイドナショー』がこの間、選挙期間中に安倍首相を番組に呼んだり、安倍政権のPRに積極的に協力してきたことだ。松本自身も安保法制に大賛成し、共謀罪に対する批判の声を「冤罪があっても仕方ない」と打ち消したり、閣僚スキャンダルに対して全力で擁護してきた。
安倍首相はこうした報道姿勢への感謝の意味で食事に誘ったのであり、そんな誘いにホイホイ乗っかるというのは、自ら「応援団」であることを宣言するようなものではないか。
いや、連中だってそのことはとっくにわかっているのだ。古市は「打ち上げ」と言い訳していたが、この「打ち上げ」というのは、ひとつのプロジェクトを一緒にやりとげた仲間内の慰労会のことだ。ようするに、あの安倍出演の時点で、『ワイドナショー』と安倍首相はともに安倍PRをやりとげた“仲間”だったのである。
しかし、松本は「政治家転身」というどうでもいい話題をもちだし「全然ない」などと否定するだけで、こうした癒着問題への批判については巧妙にネグって、答えようとしなかった。
安倍首相から「ヨッ!」といわれたことを自慢げに語る松本人志
もっとも、ここまでならまだ予想の範囲内。問題はその後だった。松本はなんと、この日、安倍首相と晴れて“お友だち”になったことを自慢し始めたのだった。
松本「これが偶然に今日、楽屋が隣、安倍首相だったのよ、俺の。ちょうどまた安倍さんと会うって。安倍さんすごい(感じが良くて)『ヨッ!』と(挨拶された)」(右手をあげるジェスチャー)
スタジオ「おー(笑)」
松本「するとまたねえ、『蜜月関係』みたいに言われたら嫌なんですけど。いや、ホントたまたまなんですけど。またここで会うかっていう」
東野「(安倍首相は)『ヨッ』っていう感じですか?」
松本「『ヨッ!』っていう感じですね」(右手をあげるジェスチャー)
東野「(松本さんは)どうしたんですか!?」
松本「『ヨッ!』っていう感じで」(右手をあげるジェスチャー)
スタジオは爆笑だったが、いやはや、微塵も笑える話ではない。実際、『ワイドナショー』の24日放送分を収録した22日、安倍首相はフジに別番組の収録のために訪れていたのだが、ようするに松本は安倍首相から「ヨッ」と挨拶されたのがよほど嬉しかったのだろう。政治権力とベッタリであることを恥じもせず、むしろ“アベ友”になったことを誇る。まったく頭が痛くなってくる。
実際、番組ではその後、先日の『THE MANZAI 2017』で政治を批判する漫才を披露したウーマンラッシュアワーの話題に移ったのだが、やはり松本は安倍政権側丸出しで発言。上から目線で「いや、僕もすごくよかったと思うんですよ、うん、よくできてたし」と一応評価しながらも、続けてこうウーマンに苦言を呈したのだ。
「あればっかりになっちゃうとね、また彼らが狭くなっていくからね。あと、あの後、出てくるコンビがちょっとやりづらいかなーみたいな。調和みたいな部分では、あのー、少しね、どうなんやろ?って部分はあるんですけど」
つまるところ、安倍首相を大好きな松本が言う「調和」とは、政治批判のネタを封印することなのだろう。そのお笑い界での地位を考えれば、ほとんどファシズム的発想としか言いようがない。
だが、最悪なのは、こうした態度の松本を番組が一丸となって擁護していたことだ。なかでも下劣だったのがゲストの武田鉄矢。松本らの安倍首相との会食について「そんなんいいんじゃねえの? それも割り勘なんだから。妙な食事会じゃないわけですから」と徹底的にかばったかと思えば、逆に、世間の批判の声に対してこんなふうに攻撃すらしたのである。
「なんか、みんなやたら反権力とか、政治を批判したり、首相にむかってバカと言ったりなんかすると、ちょっとカッコよがるっていう。なんかそういう風潮ありますよね」
「相手が殴り返してこないことを見てて、『かかってこい』って言う人いますよね。それはズルいと思うんだよね。だから、誰とでも飯を食うっていうのは、とても大事な人間の部分じゃないかなって」
武田鉄矢が松本擁護、権力批判を「カッコよがっているだけ」と
いやはや、最近の武田鉄矢が“頑固オヤジキャラ”を通り越してほとんどネトウヨになっているのは知っていたつもりだが、これはあまりにもトンチンカンすぎるだろう。ようするに武田は「カッコつけて権力批判する人は、相手が殴ってこないとわかって言っているだけの卑怯者」という風に批判したいのだろうが、実際には、安倍政権は批判的言論に対してえげつない報復攻撃をやりまくっている。
とりわけ報道機関に対する圧力は凄まじく、昨年には国谷裕子、岸井成格、古舘伊知郎など気骨のあるニュースキャスターたちが同時に降板に追い込まれた。今年も、加計学園問題をめぐって前川喜平・前文科事務次官が批判的な証言の動きを見せると、御用新聞を使ってスキャンダルを見舞った。他にも森友学園の籠池泰典前理事長の不当長期勾留や、沖縄の米軍基地反対運動に対する不当逮捕、少女像設置に対する政権の対応を批判したといわれる釜山総領事の更迭などなど、枚挙にいとまがない。
圧力だけでない。政権批判をすれば、テレビから干され、仕事がなくなり、安倍応援団やネトウヨだけでなく、“冷笑系”や“中立厨”からの攻撃も飛んでくる。それでも、この民主主義の危機をなんとか食い止めたいと考えている心ある数少ないジャーナリストや官僚、メディアが、自分の中にある恐怖心と戦いながら、安倍政権を批判しているのである。
これのどこが「卑怯者」だというのか。「卑怯者」というのは、自分の既得権益を守ってもらいたいと最高権力者にしっぽをふり、仕事ほしさに政治的主張を右転回させ、ネトウヨからの喝采を浴びたいがためにヘイトを連発している安倍応援団のジャーナリストや評論家のほうだろう。そして、松本や武田はこの「卑怯者」の代表選手ではないか。
しかし、残念ながら、この国のテレビは「卑怯者」が幅をきかす仕組みになっているらしい。おそらく、これから先、松本は何の反省もなく安倍首相と親交を深めながら、『ワイドナショー』で安倍タイコモチをどんどんエスカレートさせていくだろうし、武田鉄矢も今回の擁護発言が松本に評価されて『ワイドナショー』の出演回数を増やしていくだろう。
まったくなんだかな〜、である。
(編集部)
最終更新:2017.12.25 08:15
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