さすが同じ差別主義者! 安倍首相がトランプを「類い稀なる能力」と絶賛、側近も「発想が同じだからウマがあう」

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上・ドナルド・トランプTwitterアカウントより/下・安倍晋三公式サイトより


「トランプ次期大統領は、その類い希なる能力により、ビジネスで大きな成功を収められ、米国経済に多大な貢献をされただけでなく、強いリーダーとして米国を導こうとされています」

 一昨日9日、トランプの当選が確定してすぐ、安倍首相はこんな祝辞を送ったという。もちろん、外交上、社交辞令は必要だろうが、あのトランプに対して、まさかここまで歯の浮くようなおべっかを使うとは……。

 実際、ドイツのメルケル首相は「ドイツとアメリカを結びつけているのは、民主主義、自由、そして法と人間の尊厳を遵守する価値観であり、出身地や肌の色、宗教、ジェンダー、性的指向、政治的志向は関係ない」と語り、フランスのオランド大統領も「トランプ氏の勝利によって不確実な時代に入った。これまでの彼の発言はわれわれが共有してきた価値とは相いれない部分もある」と述べ、強い警戒感を示した。

 ところが、安倍首相はトランプの差別主義や排外思想には1ミリもふれず、気持ちが悪いくらいの美辞麗句で称えたのだ。しかも、一部の報道によると、この当選祝辞はどうも、安倍首相本人が自ら文案を考えたという。

 だが、考えてみれば、安倍のこういう姿勢も当然なのかもしれない。本サイトは昨日の記事で「安倍首相はトランプと気が合う」と指摘したが、どうも本当にそうらしいのだ。

“安倍官邸のスポークスマン”とも揶揄される田崎史郎・時事通信特別解説委員は昨日の『ひるおび!』(TBS)で、安倍とトランプについてこんな分析を披露していた。

「昨日の勝利宣言を聞いて、トランプさんは『アメリカにはとてつもない可能性がある』ということを言われているんですね。これは安倍さんと同じ発想で、『日本も可能性があるからいろいろやっていこうよ』という論理で安倍さん言われてるじゃないですか。トランプさんとはその部分で発想が似ているんじゃないかと思うんですね。だから、僕は案外ウマが合うんじゃないかって」
「安倍総理はこういう(トランプみたいな)コワモテの人、首脳との付き合いがうまいんですね。プーチンさんとかトルコのエルドアンとか、フィリピンのドゥテルテさんとか。そういう人を得意にしているので案外やれるんじゃないかと」

 プーチンもエルドアンもドゥテルテも、コワモテというより、反人権丸出しの独裁者。ようするに、トランプと安倍は差別主義や排外思想、反人権、独裁志向という意味で「同じ発想」の持ち主であり、だからウマが合うということらしい。

 あらためて、そんな総理大臣を戴いていることが恥ずかしくなるが、官邸の首相側近も同じ見方をしているようだ。首相補佐官の河井克行は9日、こう語っていた。

「安倍晋三という指導者をドナルド・トランプという人がどう認めていくのか。『こいつのいうことだったら…』『なかなか良いこというよね』と。政策を説明するとか説得するとかじゃないと思うね、僕は」(朝日新聞デジタルより)

 政策なんて関係ないというような物言いもすごいが、トランプも安倍のことを気にいると確信しているらしい。

 実際、安倍とトランプは今月17日にニューヨークでの初会合まで早々に決定してしまった。

 この調子では、在日米軍の問題にしても、安倍は完全にトランプの「全額負担せよ」との要求を丸呑みするのは確実だろう。それどころか、トランプが引き起こす可能性のあるアメリカの戦争に安倍政権が率先して協力し、むしろトランプの後押しによって、9条改憲に突き進む可能性もある。

 考えても見れば、安倍はずっと、トランプのような米大統領を切望していたのかもしれない。オバマが安倍の靖国参拝に嫌悪感を示したのを思い出すまでもなく、歴史修正や反人権的姿勢を打ち出す安倍政治は、そもそもリベラルな民主党的価値観と非常に相性が悪い。ヒラリーが大統領になっていれば、日米安保の面では従来の路線が温存されるが、一方で、こうした反人権、表現の自由を侵害する国内政治や歴史修正主義については、一定のプレッシャーをかけてきたはずだ。

 ところが、バリバリの一国主義者で、基本的に日本の内政にはほとんど関心がないと思われるトランプは、おそらくそういう関与の仕方は一切しないだろう。それどころか、これからも人権を無視する差別発言を連発し、むしろ、反人権的な安倍政治を正当化する役割を演じることになる。そういう意味では、安倍とトランプはまさに最悪の組み合わせなのだ。

「アメリカはいま、大きな岐路に立っている」。テレビや新聞はそう繰り返すが、トランプ大統領の誕生によって岐路に立たされているのは、日本のほうだ。安倍とトランプ、ふたりの“独裁者”の意気投合を放置しておけば、この国はいまにとんでもないことになる。わたしたちはその危険性を、十分に自覚すべきだろう。
(野尻民夫)

最終更新:2016.11.11 11:04

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