ベッキーだけが叩かれるのはおかしい! 不倫しても報道されない大手事務所のタレント、芸能マスコミの歪な構造

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ベッキー『ベッキーの心のとびら』(幻冬舎)

 昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした、ベッキーとゲスの極み乙女。ボーカル・川谷絵音の不倫騒動が世間を賑わせている。ネット上でも、「ゲスの極みはベッキーのほう」「不倫とかあり得ないようなキャラで売っていたくせに最低」などと総バッシング状態だ。

 とくに今回の騒動で大盛り上がりなのが、テレビのワイドショーだ。昨日は各局とも6日夜に行ったベッキーの緊急会見の様子を報道。『情報プレゼンター とくダネ!』『直撃LIVE グッディ!』(ともにフジテレビ)や『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)は北朝鮮の水爆実験を押さえトップニュースとして大々的に報じた。

 しかし今回の一件、ここまで大騒ぎを繰り広げ、まるで犯罪者扱いでバッシングするような話なのだろうか。たかだか不倫。しかも、ベッキーは付き合い始めたとき、妻帯者であることを知らず、川谷もそのあとは妻と離婚しようとしているのだ。こんなケースは世間でも山ほどあるではないか。

 LINEのやりとりについても、よく読むと、むしろベッキーのテレビ通りの性格のよさや前向きさが表れているくらいで、目くじらをたてるような会話ではない。ネットやワイドショーは会話を切り取って、無理やり悪者に仕立てているとしか思えない。

 実際、『グッディ!』では、このLINEのやりとりを紹介する際、明らかに恣意的と感じさせる編集がなされていた。

「週刊文春」に掲載されたLINEでは、川谷の〈こんな感じで待たせるのは本当に心苦しいけど、待ってて欲しい〉という言葉に、ベッキーはこう答えていた。

〈けんちゃんおはよう(^-^)大丈夫だよ!待ってる(^-^)だからけんちゃんも待ってあげて。大丈夫だよ!卒論提出できたら、けんちゃんにいっぱいワガママ聞いてもらおうっとー!笑〉

 離婚まで待っていてと繰り返す川谷に対し、ベッキーは川谷を責めることなく、むしろ妻のことを気にかけ〈待ってあげて〉と述べている。いかにも気遣いを忘れないベッキーらしい一文だが、しかし『グッディ!』ではこの〈けんちゃんも待ってあげて〉の部分を「中略」、つまりカットして紹介。あたかもベッキーが脳天気状態で、かつ浮かれた様子で離婚を促しているかのような伝え方をしていた。

 さらに、今回の報道に違和感を感じるのは、芸能マスコミの扱いの不公平さだ。ベッキーはこれだけ袋叩きにあっているが、実は芸能界には、これまで不倫密会現場を撮られながら、バッシングどころか、ワイドショーやスポーツ紙ではまったく報じられなかった芸能人カップルが何人もいるのだ。

 たとえば、ベッキーの大親友だという女優・宮崎あおいと、V6・岡田准一の不倫・略奪を経た熱愛問題。この話題を取り上げているのは週刊誌のみで、ワイドショーはまったく扱っていない。普通に考えればベッキー以上に騒ぎ立てていてもおかしくないビッグカップルだが、テレビは沈黙を貫いている。

 中山美穂と作家・辻仁成の離婚や、それに際した中山の音楽家・渋谷慶一郎との不倫、熱愛、破局騒動も同じだ。既報の通り中山は昨年11月、ツイッターに自ら〈一緒にいるけど浮気はするよ、なら言ってくれ〉と衝撃的なつぶやきを投稿。だが、「女性セブン」(小学館)はこの渋谷の浮気疑惑を無視した上で“離れて暮らす息子を思う母の愛”という美談仕立てで破局記事を掲載。本格的な芸能活動の再開に花を添えるかのような内容だった。ワイドショーは、そもそもまったく、この事実を報道していない。

 また、昨年は小泉今日子と俳優・豊原功輔の熱愛が「FRIDAY」(講談社)と「週刊文春」で報じられたが、後追いするメディアはなし。しかも豊原は離婚前に小泉と付き合いはじめたという情報、さらにじつは妻とはまだ別居中で籍が抜けていないのではという情報すら流れていた。だが、なぜか2誌ともこの件にはふれずに報道していた。

 ベッキーの不倫は大きく扱うのに、宮崎や岡田、中山などのそれはスルーする、あるいは美談に変える……。この不公平は、いわずもがな所属事務所の力関係によって生まれている。

 中山の所属事務所は芸能界のドン・周防郁雄社長率いるバーニングプロダクションの直系であり、宮崎もまたバーニングと個人提携しているといわれている。岡田は天下のジャニーズ事務所だ。つまり、この芸能2大事務所所属のタレントのスキャンダルにふれることは、スポーツ紙、テレビ各局、ほとんどの大手出版社にとってタブー中のタブーであるため、大きく報じられることはない。宮崎と岡田の場合、結婚も噂されているが、もしそのようなことがあっても不倫疑惑を蒸し返されることはないだろう。

 逆に、ベッキーが所属するサンミュージックは老舗の芸能事務所だが、バーニングとは距離を置いた独立系プロダクションだ。芸能マスコミは相手が弱小あるいは、弱腰の事務所だと、普段の憂さを晴らすようにかさにかかって攻め立てるのである。

 だが、こうした芸能マスコミの理不尽な対応にもかかわらず、サンミュージックは、誠実にマスコミに対応してきた。ネットやスポーツ紙は今回の会見で質問時間をとらなかったことを非難しているが、きちんと説明の場を設けたこと自体、芸能事務所としては珍しい。

 サンミュージックは酒井法子の覚醒剤事件の際も失踪発覚時から相澤正久社長が会見を開き、その後何度も記者会見で管理責任を認め謝罪を繰り返し、また情報もつまびらかにしてきた。今回のベッキーの謝罪会見も、サンミュージックが芸能マスコミに律儀に対応しようとした結果のものなのだ。

 一方、昨年コカイン所持で逮捕された高部あいの報道はどうだったか。テレビではほとんどストレートニュースで済ませ、所属事務所名も伏せていたが、それは高部が米倉涼子や上戸彩などと同じ大手のオスカープロモーションの所属タレントだったからだ。しかもテレビ朝日にいたってはオスカーとのつながりが深いためにニュースとしても報じることはなし。そしてコカイン所持で逮捕というれっきとした犯罪事件が起こったにもかかわらず、オスカーは会見のひとつも開くことはなく、それを芸能マスコミ側が糾弾することもなかった。

 不倫が発覚して謝罪会見をわざわざ開いて説明した相手を総バッシングに晒す一方、コカイン所持で所属タレントが捕まったのに管理責任を追及することもない。……事務所との力関係だけでこれだけ対応に差をつけるというのは、あまりにも露骨すぎるだろう。

 たしかにベッキーはスキャンダル処女だったことにくわえ、好感度の高いタレントだったため、不倫スキャンダルはイメージと相反する。その意外性から大きな関心を呼んでいるのだろうが、そもそも不倫は、麻薬事件以上に断罪されるような問題では決してない。そして、もし不倫を報じるにしても、せめてほかのタレントも同じように俎上に載せるべきではないのか。

 誠実に対応したのに事務所の力ゆえ袋叩きに遭うベッキーを、本サイトとしては全面的に応援したい。“卒論”不倫、人生にはそういうことだって起こるものだ。我が恋を貫いてバッシングを乗り越えた女優やタレントだって多くいる。どうか非難の声に惑わされず、ベッキーが信じる道を生きてほしいと祈るばかりだ。
(大方 草)

最終更新:2016.01.09 09:31

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