『報ステ』降板、古舘伊知郎を追い詰めた安倍政権とテレ朝上層部の癒着!「原発のゲの字もいえない」と不満を

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テレビ朝日『報道ステーション』HPより


 ついに、懸念されてきた日がやってきた。古舘伊知郎が『報道ステーション』を降板するというのだ。テレビ朝日の発表によれば、古舘自らが契約終了となる来年3月に降板したいと申し出たといい、本人は「新しいジャンルに挑戦したい」という意志を示しているという。

 しかも、古舘の降板について番組プロデューサーをはじめとする現場スタッフは、昨晩まで一切、伝えられていなかったらしい。

「昨晩は年内放送の最終日で、番組終了後に納会が開かれ、早河洋会長、吉田慎一社長、そして古舘さんも挨拶したのですが、まったくそういうそぶりはなかった。鋭気を養って来年も頑張ろう、みたいな感じで。プロデューサーも知らされていなかったようで、会がお開きになった後、降板が伝えられたそうです」(テレ朝関係者)

 つまり、今回の番組降板は、ごく一部のテレ朝上層部と古舘のあいだで秘密裏に交渉されてきたということになる。

 だが、「古舘自らが降板を申し出た」という発表を、額面通りには受け取ることはできない。本サイトは1年以上前から言及してきたように、古舘はずっと安倍政権からの報道圧力に晒されつづけていたからだ。

 そもそも『報ステ』およびキャスターの古舘は、ことあるごとに自民党から「偏向報道だ!」と抗議を受けてきた。だが、今回の降板にいたる流れがはじまったのは、一昨年のこと。2013年3月22日には、安倍首相は昵懇の仲である幻冬舎の見城徹社長による仕切りで、テレ朝の早河洋会長と会合。それ以降、早河会長は『報ステ』の安倍政権・原発批判路線からの転換を迫ってきたといわれている。

 しかし、こうした早河会長からのプレッシャーに対し、古舘と番組の現場スタッフは抵抗を見せてきた。実際、昨年4月に開かれた「報ステ」10周年パーティーで挨拶に立った古舘は、こんな挨拶をしている。

「早河社長から好きなようにやってくれ。何の制約もないからと言われて始めたんですが、いざスタートしてみると制約だらけ。今では原発の“ゲ”も言えない」

 そんななかで起こったのが、昨年9月の川内原発報道問題だ。BPO案件となったこの問題を盾に安倍政権は『報ステ』への圧力を強める。さらに今年1月には、コメンテーターを務めていた古賀茂明の「I am not ABE」発言が飛び出し、官邸は激怒。番組放送中の段階から官邸は直接、上層部に抗議の電話をかけてきたという。そして、早河会長の主導により、古賀の降板とともに古舘からの信頼もあつかった番組統括の女性チーフプロデューサーも4月に更迭されてしまう。

 それでも、古舘は踏ん張りつづけた。安保法制をめぐる議論では問題点を検証、参院特別委での強行採決前夜に古舘は「平和安全法制というネーミングが正しいのかどうか甚だ疑問ではあります」と述べた。これには番組スポンサーだった高須クリニックがスポンサー撤退を表明するという事件も起こったが、古舘には“言わなければいけないことは言う”という強い意志があったはずだ。

 事実、古舘は昨年開いた自身のトークライブで、このように吠えている。

「あ、そういえば古舘伊知郎が『報道ステーション』降ろされるらしいじゃないか。ずっと噂がつづいているっていうのはどういうことなんだ、アレは」
「このまえも週刊誌をじっくり読んだら、なんか俺の後釜は宮根だっつうんだよ。え? 冗談じゃない。それがダメだったら羽鳥だとか言うんだよ。俺は聞いてないぞそんなこと! え? 誰が辞めるかっつうんだよ、ホントにバカヤロー!」

 そして、「俺は覚悟がないばっかりに、最後の一言が言えずにここまできた。俺はこれからは、そうはいかない覚悟を決めた」「みんないいか、よーく俺を見ててくれ。俺がそのことができるようになるのが先か、俺の賞味期限が切れちゃうのが先か、どっちか、よーくみんな見ててくれ」とさえ言い切っていたのだ。

 抵抗をつづけてきた古舘の心を折ったものは何か──。だが、同じく安倍政権が圧力のターゲットとしてきた『NEWS23』(TBS)のアンカー・岸井成格とキャスター・膳場貴子に降板騒動が巻き起こっているいま、古舘の降板は単なる偶然の重なりとは到底考えられない。

 さらに、古舘の後任については、根強く囁かれてきた「宮根誠司」説と「羽鳥慎一」説に加え、現在、TBSの局アナである「安住紳一郎」説まで飛び交っている。

「安住アナの場合、尊敬する久米宏と同じくTBSを退社後にテレ朝メインキャスターというコースを辿るという話のようです。だが今回、古舘降板の一報を打ったのが幻冬舎御用達のスポーツニッポンだったことを考えると、今回の降板に見城氏が噛んでいる可能性は高い。宮根氏、羽鳥氏と同様、安住氏も独立してバーニング系に所属……という線も考えられます」(前同)

 しかし、結局、誰が後任となっても、『報ステ』の政権批判路線は古舘降板で立ち消えるのは決定的だ。これまで、圧力に晒されながらも一定の存在感を放ってきた『報ステ』と『NEWS23』が政権批判を行わなくなったら、この国のテレビにおけるジャーナリズムはいよいよ機能不全に陥るだろう。
(編集部)

最終更新:2015.12.25 10:01

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