俺の後釜がミヤネ? 冗談じゃない! 古舘伊知郎が鬱憤ぶちまけた

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「古舘伊知郎トーキングブルース TalkingBlues」より


「よーく聞けみんな! 冗談じゃねえぞ、報道! たまにはなあ、俺の言うことを聞けっつうんだよ!」
「どれだけ俺がねえ、神経摩耗してると思ってんだよホントに!」
「報道、ちゃんと聞けよ。思考停止してるんだからな」

 ステージの上でそう吠えまくった、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のキャスター・古舘伊知郎。これは、古舘が今年10月に行ったトークライブ『古舘伊知郎 トーキングブルース』での様子。昨日、『報ステ』のあとにこのステージが特別番組として放送されたのだが、その姿は『報ステ』とは激変、怒りと気迫に満ち満ちたものだった。

 本サイトでも以前、お伝えしたように、古舘はこのトークライブ前に取材を受けた「AERA」(朝日新聞出版)でも、「自分の感ずるところ、思うところをなかなか言えない」「プロレスですよ、世の中」とぶっちゃけ、大きな話題となったが、今回のライブでも初っ端から「どうせやらしてくれんなら思いっきり喋りたいこと喋ってガス抜きさせてもらおうと思ったら、なかなか制約があるらしいなどうも」とヒートアップ。冒頭に紹介したように報道へケンカを売ると会場からは大きな拍手が起こり、さらに、

「あ、そういえば古舘伊知郎が『報道ステーション』降ろされるらしいじゃないか。ずっと噂がつづいているっていうのはどういうことなんだ、アレは」

 と、“降板説”に自ら切り込んだ。

「このまえも週刊誌をじっくり読んだら、なんか俺の後釜は宮根だっつうんだよ。え? 冗談じゃない。それがダメだったら羽鳥だとか言うんだよ。俺は聞いてないぞそんなこと! え? 誰が辞めるかっつうんだよ、ホントにバカヤロー!」

 宮根や羽鳥なんかに『報ステ』を譲るもんか。……そんな強い意思がひしひしと伝わってくるが、もっとも緊張が走ったのは、テレビ朝日会長との“不仲説”に言及したシーンだろう。
 
 こちらも本サイトで過去に取り上げたが、古舘は今年4月に行われた『報ステ』10周年パーティーの挨拶で、「早河社長から好きなようにやってくれ。何の制約もないからと言われて始めたんですが、いざスタートしてみると制約だらけ。今では原発の“ゲ”も言えない」とスタッフの前で猛然と現・テレビ朝日会長の早河洋氏を批判した。もともと、新キャスターに宮根の名前が浮上したのも、早河会長と関係が近い幻冬舎の見城徹社長がバーニング・プロダクションの周防郁雄社長と昵懇の仲であるからなのだが、それだけではなく早河会長は、その見城氏を通して『報ステ』潰しに意欲を燃やしているといわれる安倍晋三首相とも距離を縮めようとしているのだ。当然、古舘にしてみれば、身内であったはずの早河会長こそが、いま自分のハシゴを外そうとしている張本人となる。不仲説が流れるのも無理もない話である。

 しかし、これを古舘はこのように否定する。

「テレビ朝日の会長と俺が仲が悪くなったってんだよ。いや、そんなことないよ、だって、そもそもここで『トーキングブルース』ってのはオシャレだからやったらどう古舘さん、っていうのはテレビ朝日の会長が言ったもん」
「古舘さんも『トーキングブルース』やってガス抜きしたらどう?っつたのは会長なんだから」

 だが、話はこれで終わらない。古舘はつづけて、「ということは、俺に『報道ステーション』辞めさせてそういう方向でがんばったらって引導渡してるってことか?」と皮肉を込めるように話を落とすのだ。

「いいんだ別にそれで。いいんだよそれで。ね? いいときだけのテレビ局ってのはフリーになってから30年だからよーくわかってるから。俺の商品価値が落ちると判断するところまでギリギリがんばるしかないってことなんだよ。こんなかで、月曜から金曜まで、夜10時台の報道番組、責任感あふるるかたちでやってる奴、いる? いたらお目にかかりたい」

 ここまで自負する古舘には、それなりの理由がある。毎日100本以上やってくるという視聴者からの電話・メール。それを翌日必ず目を通すというが、「95%以上が誹謗中傷」。内容は「古舘バカ死ね」。古舘は「そりゃ傷つくよ、メッタ打ちされるからな」と言いつつも、そんな心ない声にも「強烈な俺のファンじゃないか。ありがとうありがとうって無理矢理言い聞かせる」らしいのだ。そして、今年ネット上で炎上した「小保方さんのSTAP細胞のときの、古舘がパワポ知らなかった騒動」にも触れ、「パワポ知らないから何だっつうんだホントに!」と反論。「いちばん頭きたのが、『歳も歳だから仕方なくね?』って。バカヤロー! 上から目線で言いやがって若者よ」と、ここぞとばかりに叫んだ。

『報ステ』のキャスターをはじめて今年で10年。その間、いかに古舘が溜め込んできたかが露わになった、このトークライブ。鬱憤をぶちまけるだけぶちまけた感もあるが、しかし、舞台の最後を、亡くした姉や友人たちの思いとともに、古舘はこのような言葉で締めくくった。

「俺はこうやって喋りを生業にしながら、肝心なときにきちっとした言葉が言えないでいる。(中略)俺は覚悟がないばっかりに、最後の一言が言えずにここまできた。俺はこれからは、そうはいかない覚悟を決めた。俺の毎日やってる報道の仕事のなかで、それをやっていこうと腹決めた。だってそれやんなかったら意味がないんだよ」
「みんないいか、よーく俺を見ててくれ。俺がそのことができるようになるのが先か、俺の賞味期限が切れちゃうのが先か、どっちか、よーくみんな見ててくれ。だから、また、月曜日夜9時54分から、俺を見ててくれ」

 覚悟を決めて『報ステ』をやっていく。──報道番組にときの政権が平気で政治介入してくるこの時代に、古舘は「見ててくれ」と宣言した。この心意気だけでも十分に買いたいではないか。まわりは敵ばかりかもしれないが、どうか腐ることなく古舘にはがんばってほしいと切に願う。
(水井多賀子)

最終更新:2014.12.20 12:35

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