麻生副総理「武装難民は射殺」発言をネトウヨと産経が擁護!でも紛れもなく難民差別とヘイトクライムの煽動だ

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「射殺」より悪質、麻生の「武装難民」という言葉の危険性

 いや、それ以前に、「武装難民」という発言じたいが、「射殺」という言葉と同様かそれ以上に危険な発言だ。「武装難民」なる言葉は定義が曖昧だが、それを難民の受け入れ拒否を正当化するための詭弁として使っているのは明らかだ(とういうか、発言を字義通り解釈すれば射殺すら肯定するための詭弁である)。

 そもそも、国連は難民をこのように定義している。

〈難民とは、迫害のおそれ、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序を著しく混乱させることによって、国際的な保護の必要性を生じさせる状況を理由に、出身国を逃れた人々を指します。難民の定義は1951年難民条約や地域的難民協定、さらには国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)規程でも定められています〉(国際連合広報センターのホームページより)

 いうまでもなく、紛争などで故郷から逃れなければならなくなった人々を保護・支援するのは、国際社会の一員としても当たり前である。一方で、周知の通り日本政府は難民に対して極めて閉鎖的な態度をとっている。もちろん安倍政権も例外ではなく、日本への難民申請者は2016年に1万人を超えたが、政府が認定したのはわずかに28人しかいない。

 難民問題は国際社会全体の課題であり、その流れに逆行する日本政府が海外から批判されるのは当然だ。しかも、もし“米朝戦争”が起これば、北朝鮮から日本への難民は10万人を超えるともいわれている。現実にまず考えるべきは、こうした難民の人々をどうやって日本国内で守っていくか、ということに尽きる。

 とりわけ懸念されるのが、難民に対するヘイトスピーチやヘイトクライムだ。2015年に漫画家のはすみとしこが外国人写真家の作品を勝手にトレースし、難民の少女を揶揄・差別するイラストを公開、世界中から非難を浴びたことは記憶に新しいが、その根っこにあるのは、外国籍や海外にルーツをもつ人々に対する差別主義にほかならない。

 本来ならこうした難民差別が起きないよう対策を考えるのが政治家の仕事だと思うが、しかし今回の麻生副総理の発言は、難民差別をなくすどころか、難民に対する差別を助長し、ひいてはヘイトクライムまでをも煽動するものだ。現に、今回も麻生発言に呼応したネトウヨたちが、そのグロテスクな本質をむき出しにしている。

〈武装の有無によらず、朝鮮人の難民受け入れは絶対反対。強制連行されたと言い出す前に強制送還してもらいたい。〉
〈仮に非武装としても、難民ボートが押し寄せてきて、住民は水食料を求めてきたら無制限に与え続けられるのか?反日教育受けてるんだろ?略奪や暴動なども有りうる。その時、政府の初動は国民の命を左右する。最悪の状況も含め検討するのが政府だろ!〉
〈麻生さんの「武装難民の射殺」発言は全く問題ないし、我々の安全、日々の平穏な生活を守るためには至極当然の発言だ。全面的に賛同する。そもそも武装してる奴は難民ではない。更に言えば、騒ぎに乗じてくるだろう南朝鮮人をどう始末するかだ。全員追い返さないと我々の生活はままならなくなる〉

 見ての通り、麻生副総理の「武装難民」なる言葉遣いは、「難民」=「武装したテロリスト」と印象操作し、難民に対する憎悪を煽ることで国民を思考停止させ、難民受け入れ拒否を正当化しようとしているだけでなく、こうした差別主義や民族・国籍ヘイトを政治家として扇動すらしているのである。

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