高畑裕太事件でも…性犯罪における警察、検察、裁判所の“男目線”が被害者をさらに傷つけている!

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 社会でも〈被害者の服装が露出的だった〉〈女性が夜一人で歩いていた〉〈一緒にお酒を飲んだ〉〈同じ部屋に入った〉といったような「レイプ神話」が被害者の「落ち度」として語られるが、同書は〈残念ですが、裁判所には、性犯罪にあった女性の「落ち度」を問題視する視線が、いまでも実際に残っているようです〉と述べる。

 たとえば、1994年のある性犯罪の判決では、〈被害者が初対面の被告人と飲食店で夜中の三時すぎまで飲んだこと、その際セックスの話をしたこと、野球拳で負けてストッキングを脱いだこと、そして被告人の車に一人で同乗したことなど〉を「大きな落ち度」とし、被害者の供述の信用性を疑って被告人に無罪判決を出している。

 言うまでもないが、〈悪いのはあくまで、自由なる存在である一人の女性を自らの欲望の満足のために道具視し、その性的自由を踏みにじった加害者〉だ。しかし、裁判所は判決のなかで「(被害者女性には)自らにも落ち度があったことの自覚が全く窺えない」「A子(=被害者)は社会常識に欠けるどころか甚だしい女性とみられてもやむを得ない」と被害者を非難。「一緒に飲酒し、ゲームの中でセックスに関する会話までしていた」点から、被告人が強姦したと見なすことを「余りにも唐突で不自然であるといわざるを得ない」としているのだ。これは酒の席で女性が下ネタ話をしたことを“合意”の理由にあげていると言っていいもので、言葉を失うしかない。

 この裁判における判決文で裁判官が繰り返し使用しているのは、「貞操観念」という言葉だ。合意もなく暴力に出た被告人の「貞操」は問わず、被害者にだけそれを強要する。男女によって非対称的な性道徳を押し付けることは性差別以外の何物でもないが、裁判官はそれを当然のこととして判決に反映させているのである。

 しかも、〈その種の判決は、残念ながらいまでも出されています〉と著者はいう。

 実際、同書はおもに2011年に出されたある性犯罪の判決を疑問視し、問題提起した内容なのだが、それは当時18歳の女性が「ついてこないと殺すぞ」と男に脅迫され、ビルの踊り場で強姦されたという事件だった。

 この裁判では、まず地裁が女性の供述の信用性を認めて被告人に懲役4年の有罪、高裁も一審判決を支持して控訴を棄却したのだが、最高裁は自判し、“女性が助けを求めていないのが不自然”“「無理やり犯された」のに膣などに傷もついていない”“女性は供述を変化させている”などとし、一審判決を「経験則に照らして不合理であり、是認することができない」としたうえで逆転無罪が言い渡されたのだという。

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逃げられない性犯罪被害者―無謀な最高裁判決

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