スタバも遺伝子組み換え食品を支援!?「オーガニック」「有機」ブランドの現実

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 オーストリアのオーガニックブランド「ヤー!ナチュアリッヒ」が取り扱う七面鳥は、宣伝ビデオでは「放し飼い用のオーガニック七面鳥」として売り出されているが、驚くなかれ、これらの七面鳥は生まれてから死ぬまで戸外に出る事は一切ない。窓のない空間で人工光をコントロールされながら産卵活動を調整される。生育環境に合わない土地では、七面鳥に抗生物質を投与して無理やり環境に慣らせ、「どの七面鳥も胸肉が発達するように改良されている」という。「週に2度、人工受精という名目で“強姦”されている」「暴れる雌の頭を作業員の膝のあいだに挟んで、おとなしくなったのを見計らって性器に精子を注入する」七面鳥も……。

「ヤー!ナチュアリッヒ」が売り出す有機トマトの出どころを調査した著者が行き着いたのは、先のニール・ヤングの一件で出てきたモンサント社に由来する非有機栽培用のハイブリッド種子だった。繰り返しになるが、これらが「有機飼育」「オーガニック」として売り出されていく。「ヤー!ナチュアリッヒ」のウソを自覚しながら垂れ流す広告代理店を問い質すと、「クライアントの店舗に人々の足を向けさせること。(中略)そこさえ成功すれば、仕事はうまくいったも同然です」と開き直る。

 野菜にしても、先進国の多くでは「形が悪い」という理由で大量の野菜を破棄し続けている。味が劣っているわけではなく、単に運搬上の不都合でしかない。大きすぎるジャガイモ、曲がったキュウリ、二股に分かれたニンジンは“形が悪い=運びにくい”という理由で破棄され続ける。それらの破棄の集積が、世界の総人口70億に対して120億人を養える農地を持ちながら、10億人の飢える人々を抱える現状を維持させてしまう。

「オーガニック」というマジックワードが信奉されればされるほど、食の安全や最適配分が失われていくという矛盾。有路昌彦『誤解だらけの「食の安全」』(日本経済新聞出版社)を読むと、「有機栽培で安全です」と繰り返される事で、「安全でないものは農薬を使っている」→「農薬を使う慣行農法は危険」という「優良誤認」ばかりが広がっていく懸念が示されている。人々は分かりやすく打ち出される「危ない!」というメッセージばかりを気にするようになり、逆に「それらの危ない商品とは違ってこちらは安全です」と喧伝されるものに対しては、手放しで食いついてしまう。しかし、『オーガニックラベルの裏側』が明らかにするのは、先進企業は既に、私たちのオーガニックへの「手放しっぷり」をビジネスに取り込んでいるということ。

 カロリーベースの食物自給率がわずか40%しかない日本が、本書の指摘を自分達には関係ないと済ませられるはずもない。相次ぐ異物混入や中国産のあれこれを「危険!」と叫ぶのは賢明な態度だが、もはや「それらに比べてこちらは安全」と伝えてくる食品にまで多分なウソが含まれている。良さげな顔つきで差し出される分、むしろタチが悪いとは言えまいか。
(武田砂鉄)

最終更新:2017.12.09 04:55

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