菅政権がGoTo優先で北海道の感染拡大を放置! GoTo北海道ツアーで12人感染も加藤官房長官は「GoTo関連クラスターはない」

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首相官邸HPより


 感染拡大がつづく北海道で本日、新規感染者が過去最高となる200人に達した。ところが、菅政権の対応は信じ難いものだった。

 本日夜におこなわれた会見で、西村康稔コロナ担当相は「現時点で(「GoToトラベル」の)対象から除外することは考えていない。このことは、鈴木知事とも一致した」と述べたのだ。

 いくら感染者が札幌市に集中しているとはいえ北海道は医療提供体制が脆弱な地域も多いというのに、新規感染者数が200人となっても「GoToトラベル」からは外さない。しかも首長たる鈴木直道・北海道知事まで除外要請をしないとは──。鈴木知事といえば、菅氏が2019年の知事選で自民党道連が推した国交省北海道局長を蹴って強引に擁立させた菅首相の「直系」。つまり、この「GoToトラベル」から北海道を除外しないという政府と北海道の方針は、菅首相の決定にほかならない。

 菅首相は昨日8日、「爆発的な感染拡大は絶対に阻止し、国民のみなさんの命と健康をしっかりと守り抜く」などと宣言したばかりだ。しかし、結局「絶対阻止」などと言うのは口だけ、国民の命や健康より「経済優先」ということではないか。

 しかも、北海道を「GoToトラベル」から除外しないという方針は、午前中におこなわれた官房長官会見の段階から決まっていたのだろう。実際、加藤勝信官房長官は、記者から北海道の感染拡大を受けて「GoToトラベル」からの除外について問われると、「病床は直ちに逼迫する状況ではない」とした上で、こう述べた。

「専門家による分科会からは、『国の指標でステージ3相当と判断された場合には感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい』という提言をいただいている。政府として提言に沿って対応したい」

 しかし、感染者の急増を受けて北海道では独自に定めた警戒レベルを7日にステージ2から3へと引き上げている。しかも、6日の時点で7つある指標のうち「療養者数」と「PCR検査陽性率」はステージ4に迫っている。にもかかわらず、国の指標ではステージ2だから「GoToトラベル」見直しをする必要がないと言い張ったのだ。

 あらためて指摘しておくが、北海道の感染拡大はすでに10月中旬から深刻化しており、厚労省に新型コロナ対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」も10月13日に北海道を「拡大傾向」に悪化していると評価。また、9月25日におこなわれた新型コロナウイルス感染症対策分科会では、尾身茂会長が全体的な話として「当該地域の感染がかなり拡大してしまった場合、リスクを高める行動を避けるのみでは手遅れだ。旅行者の総数を強力に抑制する必要が出てくる」と指摘していた。

 しかし、菅政権は何の対応もしようとしないばかりか、北海道での感染拡大と「GoToトラベル」を結び付けられることを嫌がり、客観的事実までなかったことにしようとしていた。

 じつは、北海道の「GoToトラベル」をめぐっては、10月中旬に読売旅行が実施した「GoToトラベル」対象の関西地方から北海道へのツアーで、参加者と添乗員合わせて41人のうち12人の感染者が確認されている。〈感染の判明した参加者1人が体調不良を書面で申告していたのを添乗員が見落としていた〉(北海道新聞10月22日付)というが、ツアー中にクラスターが発生したと見られており、こうした「GoToトラベル」の影響もあるのではないかとされていた。

 ところが、今月5日の会見で北海道新聞の記者が「人の往来が活発化していることが(感染拡大の)原因だとも指摘されていますが、政府の分析をお聞かせください」と質問したところ、加藤官房長官はこう言い放ったのだ。

「厚労省から北海道庁に確認したところ、現在『GoToトラベル』と直接関連したクラスターが発生しているとは聞いていない」

「GoToトラベル」に直接関連したクラスターは発生していない……? 北海道新聞の記者はつづけて「『GoToトラベル』と直接的には関係はないというお話だったんですけど、たとえば間接的には何か原因となって感染者が発生したということはあったんでしょうか」と質問したのだが、加藤官房長官は「いや、確認している範囲では『GoToトラベル』と直接関連したクラスターが発生しているとは聞いていない、ということであります」と同じ返答を繰り返しただけだった。

GoToのせいで沖縄が感染拡大したのに菅は沖縄県に「宿泊施設を確保してない」と責任転嫁

 北海道への「GoToトラベル」の参加者内でクラスターが発生したというのに、「直接関連したクラスターは発生していない」と言い張る……。ようするに、加藤官房長官はここでもお得意の「ご飯論法」を展開し、北海道をめぐる「GoToトラベル」でのクラスター発生を認めようとはしなかったのだ。

 しかし、これこそが菅政権のやり口だ。さんざん指摘してきたことだが、「GoToトラベル」は菅首相の肝いりで、全国の新規感染者数が約2カ月半ぶりに400人を突破した7月10日に、まさかの前倒し実施を発表。この前倒しを決めたのも菅氏だったと言われているが、菅氏は総裁選においても、加藤官房長官と同じように「GoToトラベル」が感染者増加につながっている事実を矮小化させた。

 菅氏は9月12日におこなわれた自民党総裁選の討論会で、「この1カ月半の間に780万人の方がキャンペーンを利用しまして、コロナにかかった方が7人だったんです」と言い出し、「しっかり守るべきことを守ればコロナにはそんなに感染しないということがわかった」と発言。そもそも「GoToトラベル」利用の感染者を把握できる体制になっていないため、「コロナにかかった方が7人」と言い切ること自体に疑問を持たずにいられないのだが、その上、感染者7人というのは「GoToトラベル」利用者の〈事前に割引価格で旅行代金を支払った人〉のみを集計したもので、観光庁が把握していた感染者には〈正規価格で代金を支払い、事後申請で割引相当分の還付を受けられる人〉が13人いた(毎日新聞ウェブ版9月24日付)。つまり、菅首相はこの13人を除外して“7人しかいない”と言い張ったのである。

 いや、菅首相はもっとひどい発言もおこなっている。「GoToトラベル」を前倒しスタートさせて以降、沖縄県では感染者が急増したが、8月3日の官房長官会見で沖縄の軽症者・無症状者用ホテルの確保状況について質問が出ると、「(政府の)基本的対処方針では都道府県が宿泊療養施設の確保に努めることになっている」「沖縄県が宿泊施設の確保が十分ではない、こうしたことについて、政府から沖縄県に何回となく、そうした確保をすべきであるということを促している」と責任転嫁しはじめたのだ。

 しかも、菅氏はまるで政府の言うこともきかずに沖縄県がホテル確保をサボってきたかのように語ったが、実際には国と沖縄県は調整してホテル確保の準備を進めていたことがわかっている。にもかかわらず、「GoToトラベル」が医療体制の脆弱な地方自治体を窮地に追い込んでいることの責任から問題点を自らずらし、一方的に沖縄県を非難したのである。

東アジアで最悪の感染状況 日本の新規感染者は韓国の3倍、中国の496倍

 感染が拡大しても国の指標を満たしていないなどと強弁して「GoToトラベル」をやめず、さらにはクラスター発生をネグり、問題が明るみに出ると自治体に責任転嫁する──。言うまでもなく、“第2波”が到来した夏よりも冬は感染拡大が懸念され、すでにその兆候は出てきているのだ。そんな局面にあっても、菅首相は自身の肝いりであるために、人の移動を制限すべき局面でむしろ移動を促進する「GoToトラベル」をけっして見直そうとはしない。

 そして、多くの人はこの国の状態に慣れさせられてしまっているが、忘れてはならないのは、欧米とは違って感染者が少ない東アジア地域で比較すると、日本の感染状況は最悪レベルだということだ。実際、これまでの人口10万人あたりの感染者数は日本が82人であるのに対し、韓国は53人、中国は6人(11月5日時点/日本経済新聞社)。新規感染者数の過去7日間のデータでも、人口100万人あたりの新規感染者は日本が49.6人であるのに対し、韓国は16人、モンゴルが5.8人、台湾は0.6人、中国は0.1人(11月9日時点/札幌医科大学ウェブサイトで公開されているデータより)。日本は、東アジアでぶっちぎりの感染者を出しているのだ。

 こうした圧倒的な感染者の多さの背景には、「GoToトラベル」の影響、さらに政府が人の移動を促していることが要因となった気の緩みが大きく影響しているはずだ。しかし、東アジアの他の国や地域と比べればわかるように、感染者が増加するなかで「旅行に行け、外食をしろ」と促進する政府は異常というほかない。

 何ひとつ実行性が伴っていない「感染拡大は絶対に阻止」「国民のみなさんの命と健康をしっかりと守り抜く」という菅首相の空々しい台詞。「GoTo」の中止・中断もなくこのまま冬に突入すれば、この国は一体どうなるのだろうか。

最終更新:2020.11.09 10:41

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