神社本庁「日本人でよかった」ポスターはウソだった! 極右と安倍政権が煽る「日本スゴイ」ブームの危険を再検証

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日本の戦争犯罪を忘却させるための「日本でよかった」論

 しかし、これを単なる笑い話で終わらせてはならないだろう。

 戦前・戦中日本の表象文化に関する著作などで知られる、編集者の早川タダノリ氏は、近著『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』(青弓社)のなかで、〈「日本人に生まれてよかった」論は「日本スゴイ」言説の小さからぬ一角をなしている〉と分析している。

 周知のとおり、この「私 日本人でよかった。」ポスターだけでなく、いま現在、テレビでも書店でも、同種の粗雑なコピーが跋扈していることを踏まえると、むしろ神社本庁の一件は、そうした「日本スゴイ」コンテンツがどんな危険性をはらんでいるか、あらためて解き明かす鍵になるのではないか。

「日本スゴイ」コンテンツの代表例といえば、たとえば、通りすがり風の外国人(いきなり「You」と呼びかける演出などで知られる)の言葉を借りてひたすら絶賛したり、逆に、海外で日本食などがいかに“エセニッポン”にアレンジされているかを紹介する体で、潜入した“本物の日本人”が彼らを「成敗」するというようなテレビ番組が、すぐさま思い当たる。主たる視聴者は「謙虚が美徳」といわれる「日本人」だと考えられるから、「人を騙しておいていったい何様なのだろう?」と軽蔑するのかと思いきや、こういうバラエティの視聴率は良好らしい。

 また、「日本スゴイ」系の書籍もまたこの数年で、新書やムックも中心にあげていけばきりがないほど氾濫している。本サイトでも以前紹介したことがあるが、言ってしまえばそれらは、たとえ何冊売れようが、何かに承認されなければ満たされない小さなプライドをくすぐるための“愛国ポルノ”にすぎない。しかも、そうした文脈で語られる「日本スゴイ」が、中国や韓国、または「非日本人」への憎悪を伴っていることが少なくなく、かなりたちが悪い。

 前述の早川氏は、最近発売された『徹底検証 日本の右傾化』(塚田穂高・編/筑摩書房)によせた論考「「日本スゴイ」という国民の物語」のなかで、具体例をいくつもあげながら、このように記している。

〈これまで見てきた「日本スゴイ」本には、いわゆる「自虐史観」からの脱却というイデオロギーが共通して流れているのを見て取れる。この手の論者たちの中に「大日本帝国の侵略戦争を真摯に反省しなければならない」という人を、私はまだ見たことがない。逆に、「大東亜戦争で日本はアジアを解放した」から「日本スゴイ」という本ならばたやすく揚げられる。〉
〈アジアからの「感謝の声」を押し出して「大東亜戦争はアジア解放戦争だった」と主張するのは、かつて「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」系のびと(のちに日本会議として合流)が開催した「アジア共生の祭典」(一九九五年)でも活用されていた手法で、とにかく海外から日本賞賛の声を集めたいという必死さが目につく。〉

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