百田尚樹『海賊とよばれた男』は愛国ポルノ! 主人公のモデルは皇国史観丸出し、右翼殺人テロまで礼賛していた!

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 もっとも、「出光は明治生まれであるから『万邦無比の国体』という意識を刷り込まれていたがゆえにこう考えるのも仕方があるまい」と思う読者もいるかもしれない。だが、先に示したような佐三の民族主義は、そういう受動的なものではない。むしろ、かなり積極的、能動的な思想であったことを示す証言がある。

 出光佐三の四女で映像作家の出光真子が、自伝『ホワット・ア・うーまんめいど』(岩波書店)で語っている。出光家の強い家父長制のなか、つねに佐三からの叱責に怯え、学生時代の60年安保のときもデモに参加したことを言えなかったという真子は、当時の父の横顏をこう伝える。

「一方、同じ年に起こった社会党委員長の浅沼稲次郎が、論壇で右翼の一少年山口二矢に刺殺された事件について、父は犯人の山口二矢をほめたたえた。そのときも、父と私はふたりきりでダイニング・ルームにいた。テーブルの向こうで、父は、私が女なのが残念でしょうがないといった様子で、男だったら彼を見習え、日本にも未だこういう若者がいたのだと、声を震わせている。父がこれほど激して人をほめるのを見るのは、私には珍しかった。
 どんな理由があっても、人を殺すのはよくないとこころの中で思ったが、私は黙っていた」

 つまり出光佐三は、日本の侵略戦争を否定しているだけでなく、なんと、右翼テロによる殺人すら肯定、大絶賛していたというのだ。さすがにこれはただの右巻き経済人などではなく、完全に……であろう。なお、どうしてだか『海賊〜』の参考文献のなかに同書は挙げられていない。

 繰り返すが、百田尚樹の『海賊〜』は、こうした“侵略戦争の否定”“ド直球の皇国史観”“右翼テロの賞賛”という佐三の素顔をスッパリと除外し、“身を粉にしてお国のために動く熱血経済人”に偽装している。そして、そうすることで、無防備な読者に、作中で何度も繰り返される以下のようなアジテーションを浸透させるのだ。

「日本人がいるかぎり、日本が亡ぶはずはない。この焦土となった国を今一度立て直すのだ」
「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない」
「日本は必ずや立ち上がる。世界は再び驚倒するであろう」
「その(引用者註:特攻の)航空兵の後ろ姿を見ながら、彼らのような若者たちが日本のために戦ってくれているのだと思うと、胸が熱くなった。自分もまた日本のために頑張らねばならない、と心に誓った」
「戦争となれば勝てるかどうかではなくて、勝たねばならない」
「日本人が日本に誇りと自身を持っているかぎり、いま以上に素晴らしい国になっておる」
「日本、万歳!」(『海賊とよばれた男』より)

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