逝去した三笠宮が語っていた歴史修正主義批判! 日本軍の南京での行為を「虐殺以外の何物でもない」と

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

「また、南京の総司令部では、満州にいた日本の部隊の実写映画を見ました。それには、広い野原に中国人の捕虜が、たぶん杭にくくりつけられており、そこに毒ガスが放射されたり、毒ガス弾が発射されたりしていました。ほんとうに目を覆いたくなる場面でした。これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう」

 言うまでもなく、崇仁親王が戦争犯罪を正視し、歴史修正主義をけん制したのは、再びこの国が戦争をすることがないようにという強い思いがあったからだ。1956年の著書『帝王と墓と民衆』(光文社)に付した「わが思い出の記」のなかでも、南京に配属された当時を振り返り、こう記している。

〈わたしの信念が根底から揺りうごかされたのは、じつにこの一年間であった。いわば「聖戦」というものの実態に驚きはてたのである。罪もない中国の人民にたいして犯したいまわしい暴虐の数かずは、いまさらここにあげるまでもない。かかる事変当初の一部の将兵の残虐行為は、中国人の対日敵愾心をいやがうえにもあおりたて、およそ聖戦とはおもいつかない結果を招いてしまった〉
〈わたしがここで言いたいのは、聖戦という大義名分が、事実とはおよそかけはなれたものであったこと、そして内実が正義の戦いでなかったからこそ、いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないかということである〉

 昨年、ユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことに対して、ユネスコへの分担金を留保するという“報復”に出た安倍首相にこそ聞かせたい言葉だ。だが、そうした誠実な態度を貫き通した崇仁親王に対し、これまで右派は「赤い宮様」などと揶揄し、「左翼」と批判してきた。前述した著書の一部が新聞で紹介されたときには、“これは日本軍を傷つけるものだ”という趣旨の脅迫まがいの手紙が当時品川区にあった三笠宮邸に届いたこともあったという。

 しかし、崇仁親王はイデオロギーから発言したわけではない。崇仁親王がオリエント史などの歴史研究を愛し、大学の教壇にも立ったことはよく知られているが、その根本には、たとえそれがどれほど自分にとって正視し難い事実であったとしても、歴史には真摯に向き合わなければならないという覚悟があった。そしてなにより、崇仁親王自身が皇族という極めて特殊な立場にありながら、“権威”が大衆を惑わすこと、そして、自由な言論が封鎖されることこそ、民主主義にとって一番の障壁であると、60年以上前から指摘してきた。

 マスコミはあまり取り上げないが、崇仁親王の思いが、皇室と国民の垣根を越える“民主主義”にあったことは明らかだ。たとえば1952年の「婦人公論」(中央公論社、当時)2月号に掲載された「皇族と自由」と題した聞き書きのなかで、崇仁親王は、昭和天皇の地方巡幸の際に警官が万歳しない人に対して叱りつけたという話を受けて、「これでは少しも人間と人間との感情が流れてきません。こんなとき号令をかけられた人がなぜ抗議しないのでしょう」「同じ人間同しなのですからハダカとハダカでぶつかり合ってほしい」としたうえで、「これが民主主義の基礎であることはいうまでもありません」と語っている。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 官邸の前川証言潰し圧力に負けるな!
2 文春の前次官証言で官邸vsマスコミ攻防
3 NEWS手越と金塊事件容疑者が…
4 “菅官房長官語”の非人間性を証明!
5 官邸が文科省前次官の実名証言ツブし
6 空中分解KAT-TUNの暴露本が出版
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 阿川佐和子結婚手記に不倫略奪婚は?
9 加計に利権独占させた安倍政権の手口
10 報ステ後藤謙次の安倍批判がキレキレ!
11 KAT-TUNの恋愛を側近が暴露
12 松本人志が「冤罪あっても」共謀罪支持
13 嵐の暴露本第二弾に、櫻井、松潤
14 安倍が朝日の加計学園報道をテロ認定!
15 安倍政権御用ジャーナリスト大賞
16 秋篠宮家の料理番がブラック告発
17 共謀罪強行採決もまだ希望はある!
18 HIROレコ大買収隠しで上戸彩を利用
19 恵俊彰が田崎史郎を「政権の代弁者」と
20 国連報告者から安倍に共謀罪批判文書
PR
PR
1報ステ後藤謙次の安倍批判がキレキレ!
2松本人志が「冤罪あっても」共謀罪支持
3『あさイチ』が基地に苦しむ沖縄を特集!
4文春の前次官証言で官邸vsマスコミ攻防
5共謀罪が衆院委員会で強行採決の暴挙
6安倍が朝日の加計学園報道をテロ認定!
7官邸の前川証言潰し圧力に負けるな!
8加計学園「総理の意向」文書は本物!
9佐野元春が共謀罪反対「治安維持法だ」
10加計学園疑惑に決定打、安倍側近が圧力
11 共謀罪に周防監督らも猛反対の声
12文科省前次官の醜聞はやはり官邸の謀略
13室井佑月が共産小池晃と安倍答弁を分析
14官邸が文科省前次官の実名証言ツブし
15加計に利権独占させた安倍政権の手口
16共謀罪強行採決もまだ希望はある!
18室井佑月が共産党に「ネトサポつくれ」
19ガンダム“生みの親”が安倍首相批判!
20国連報告者から安倍に共謀罪批判文書
PR
PR

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」