いとうせいこう・アジカン後藤が「音楽に政治をもちこむな」炎上に本質的批判!「そんなバカ言ってるのは日本だけ」

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 だが、これらの発言や行動はごくごく「当たり前」のことなので、それらの意見に対する賛否が議論されることはあっても、政治的メッセージを発する行動それ自体が炎上するなどということはありえない。それは、ポップミュージックの根っこには、差別や貧困など、マジョリティの側への怒りがあることを皆がきちんと理解しているからだ。

「ソウルもレゲエもヒップホップも基本的にレベル・ミュージックだから、そういうものが音楽の根本にある事が、基本として叩きこまれてるよね」

 そう話すいとうがミュージシャンたちの政治行動の一つの例としてあげるのが、マーガレット・サッチャーが首相として君臨していた時代のイギリスだ。新自由主義を押し進め、労働者階級の弱い者たちを徹底的にイジメ抜いたその政策に対して、多くのミュージシャンが立ち上がった。

 モリッシーによる「マーガレット・オン・ザ・ギロチン」は有名だが、ポール・ウェラーやビリー・ブラッグは当時、保守党政権打倒のための団体「レッド・ウェッジ」を設立し、音楽だけでなく直接行動でも自らのメッセージを世に広めようとしていた。

 リントン・クウェシ・ジョンソン(LKJ)もそのひとりだ。LKJはレゲエのトラックに乗せてサッチャーの政策への怒りを歌ったのだが、いとうせいこうは小池百合子とサッチャーを重ね合わせながらこう語る。

「今の都知事と同じだから、サッチャーが権力を握るっていうのは。だからLKJの切実な演説に耳を貸さなければなって」

 彼の音楽は一貫して黒人に対する差別や、虐げられている者たちを顧みない社会への怒りで覆い尽くされているのだが、決して説教臭くはなっていない。それはどの曲も、レゲエ・ダブとして現在でも聴き継がれる素晴らしいダンストラックになっているからだが、いとうはそこに「政治と音楽を混ぜるな」言説に対抗する方法論を見出す。

「イギリスでもこれを聴きながら、怒りながら踊ってたと思うんだよね。日本だと真面目な事を言って人の心を変えようとするのに、体に訴えかけないでしょ。それがおかしいと思うんだよね。俺は自分の言葉と音楽で踊らせたいし、踊ってるうちに色んな事を考えて欲しい。だからダンスとポリティカルが一緒になってるっていうのは一つのテーマなんだ」

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