高市首相の「休んでない」「寝てない」アピールは本当なのか 徹底検証! 「資料読み込み」「アイロンがけ」も矛盾だらけ…

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首相官邸HPより


 ここにきて各社世論調査で支持率の低下が報じられている高市政権だが、追い打ちをかけるように、高市首相の“寝てない”問題が波紋を広げている。国内のメディア、SNSはもちろん、アメリカ「ニューヨーク・タイムズ」やCNN、イギリス・BBCでも報じられ、世界中からツッコミが殺到しているのだ。

 ニューヨーク・タイムズのコメント欄には〈本当に懸念すべきは、その状態でどうやってまともな判断を下せるのか、ということ〉〈睡眠不足で出勤するのは、酔って出勤するのと同じ〉〈あれだけの睡眠で機能できる人間はいないし、国を率いることなどできない〉〈あれだけの睡眠時間の人には、車の運転を任せる気にもなれない。ましてや国の運営など〉などの声が並んでいるという(クーリエ・ジャポンより)。

 今回の炎上のきっかけは、いうまでもなく、3連休が終わろうという7月20日夜、高市首相自身がXに長文を投稿。そのなかで、こんな「寝てない」「休んでいない」アピールをしたことだった。

〈7月に入ってからの土日は、公邸で『骨太方針』『日本成長戦略』『地域未来戦略』に関する分厚い資料を早朝から深夜まで読み続け〉
〈今日の海の日の午後は、私的に使える貴重な時間になりました。〉
〈今日のお休みは本当に有難く、久々に5時間も睡眠を取れた上(総理就任以来、0時間〜3時間睡眠が常態化)、昼からは、手付かずだった大量の洗濯後のハンカチやインナーのアイロンかけと、お裁縫〉

 一般人ならともかく、総理大臣がこんなアピールをするというのはあまり見たことがないが、高市首相は、国会でもやたら「寝てない」ことを強調してきた。

 以前は、高市首相に対する同情論や「がんばってる」という好意的な反応が大勢を占めていたが、ここにきて、懐疑的な声が広がり始めたのだ。

 それは、「睡眠をとってない」ことの危険性を指摘する声だけではない。そもそも、寝てない、休んでないアピールが本当なのか、との疑いも広がっている。

 実際、高市首相のスケジュールを客観的に検証してみると、休みがない、睡眠も〈0時間〜3時間〉しか取れていないという主張は、とても信じ難いものだった。

土日はほとんど誰とも会わず、終日公邸に。平日も17時台〜19時台には官邸を出て公邸へ

 たとえば、高市首相は「7月20日がお休みが久々だった」としているが、それ以前の7月の週末の首相動静を確認すると、こんな感じだ。

7月4日(土) お昼すぎまで公邸で過ごし、13:57に日本ジュエリーベストドレッサー賞表彰式に向け出発。表彰式で挨拶や記念撮影終えると、15:35には公邸着。
7月5日(日) 終日、公邸で過ごす。
7月11日(土) お昼すぎまで公邸で過ごし、14:50に公邸を出て、公邸の目と鼻の先にある砂防会館で行われた「安倍晋三元総理の志を継承する集い」に出席し挨拶すると、1時間も経たない15:43には公邸に戻っている。
7月12日(日) 終日、公邸で過ごす。

 そして、3連休だった7月18日・19日・20日は、3日とも終日公邸で過ごしている。

 つまり、7月の週末は、ジュエリーベストドレッサー賞の表彰式と、安倍元首相の会に1時間ほど出席しただけで、それ以外は、誰とも会わずずっと公邸で過ごしていたのである。

 高市首相は公邸で資料を読み込んでいたというが、だとしても、このスケジュールで「今日のお休みは本当に有難く、久々に5時間も睡眠を取れた」「今日の海の日の午後は、私的に使える貴重な時間」と、まるで“久々のお休み”だったかのように書くのは、いくらなんでも盛りすぎではないか。

 これは週末だけではない。やはり首相動静から、平日のスケジュールを振り返ってみよう。

7月1日(水)〜3日(金) インド外遊
7月6日(月) 10:54公邸を出発。19:09公邸着。
7月7日(火) 09:11公邸を出発。18:13公邸着。
7月8日(水) 10:42公邸を出発。16:06公邸着。
7月9日(木) 11:06公邸を出発。17:52公邸着。
7月10日(金) 08:02公邸を出発。18:31公邸着。
7月13日(月) 10:34公邸を出発。18:04公邸着。
7月14日(火) 08:10公邸を出発。黄川田仁志沖縄・北方担当相らと会食後、19:42公邸着。
7月15日(水) 10:32公邸を出発。19:04公邸着。
7月16日(木) 09:05公邸を出発。17:18公邸着。
7月17日(金) 08:52公邸を出発。19:04公邸着。

 インドに外遊していた7月1日〜3日をのぞけば、平日も連日18時や19時には公邸に帰っていて、日によっては17時や16時には帰っている日もあることがわかる。

自分が中心になって作り提案済みの『骨太方針』をなぜ「徹夜で読み込む」必要があるのか

 これは、今回のX投稿だけでなく、国会質問で「寝てない」アピールをした時も同様だ。

 たとえば、6月4日の国会で、高市首相は「ほぼ徹夜をいたしました」と発言しているが、その前日3日は、午前国際会議の開会式、午後、衆参本会議に出席するなどしたのち、18:56に公邸に帰っている。

 また、誹謗中傷問題で追及を受けている6月22日にも、「今朝までのあいだ、ほとんど睡眠をとっていません」と発言していたが、前日6月21日は日曜日で特別なスケジュールはなく、終日公邸で過ごしている。

 首相としては異例とも言えるこんなゆるゆるのスケジュールで、なぜ「ほぼ徹夜」「ほとんど睡眠をとってない」ことになるのか。

 高市首相が「休んでない」「寝てない」理由としてやたら強調しているのが前述した“公邸で資料の読み込み”なのだが、これにも相当な違和感が残る。

 その典型が7月20日の投稿における、以下の記述だ。

〈7月に入ってからの土日は、公邸で『骨太方針』『日本成長戦略』『地域未来戦略』に関する分厚い資料を早朝から深夜まで読み続け、2週目は与党審査で加筆修正された部分を熟読検討するなど、高市内閣が初めて骨太方針や概算要求段階から関われる令和9年度予算や本格的に取り組める中長期の成長戦略に向けて、半端ない情熱を注いでいました。〉

 改めて指摘しておくが、高市首相が早朝から深夜まで読み続けた『骨太方針』『日本成長戦略』『地域未来戦略』は首相が第三者から提案を受けるものではなく、首相が中心となって策定作業を進め、内閣が官僚や国会、国民に提示するもの。そして、今回の3文書は6月25日に経済諮問会議に、26日には自民党に提示され、30日からは与党と有識者会議で具体的な議論に入り、7月21日に正式に閣議決定されている。

 つまり、高市首相は自身が策定作業を行い、1週間以上前に提案を済ませた文書とその関連資料を、後追いで「早朝から深夜まで読み続け」たと言っているのだ。

 これから検討する政策のために、課題の原因や最新情勢を分析する資料を読んでいるならわかるが、すでに提案を終えて、関係機関で議論に入っている文書について徹夜で読み込むことになんの意味があるのか。

 このアピールのおかしさは、松本伊代がアイドル時代、テレビで自分の本について「まだ読んでないのですけど」と発言した面白エピソードに匹敵するのではないか。

 しかも、高市首相の問題は、これだけインプットをアピールしておきながら、その成果を、まったくアウトプットしてないことだ。

 周知のとおり、高市首相は、国会への出席時間が歴代総理に比べ、突出して少なく、また記者会見や囲み取材にもほとんど応じていない。多忙をアピーした7月1日から7月20日までに、国会に出席したのは6日(いずれも終日とかではなく、合計10時間程度)、取材対応したのは、7月7日の国会から公邸に帰る前の2分、7月17日官邸から公邸に帰る前の4分、合計わずか6分だ。

 これでなぜ、「0時間〜3時間睡眠が常態化」するほどの資料読み込みが必要になるのか、意味がわからない。

家事忙しいアピールに「なぜハウスキーパーを頼まないのか」のツッコミ、応援団の擁護にも説得力なし

 さらにツッコミが殺到しているのが、「こんなに家事で忙しい」アピールだ。

〈平日は、公邸に戻ってから、風呂掃除、入浴、夕食、夕食後の洗い物、洗濯、簡単な掃除まででプライベートな時間は精一杯で、後の深夜時間帯は明け方まで官邸から持ち帰りの資料読みや国会答弁資料読みに追われます。〉
〈今日のお休みは本当に有難く、久々に5時間も睡眠を取れた上(総理就任以来、0時間〜3時間睡眠が常態化)、昼からは、手付かずだった大量の洗濯後のハンカチやインナーのアイロンかけと、お裁縫(スカートの裾のほつれのまつり縫いやジャケットの緩んだボタンの補強)を一気に処理。〉
〈私は特にアイロンかけが下手で時間がかかるので、つい先延ばしにしていた結果、スーツに合わせるインナーが殆ど無い状況に。これで会期末までのハンカチとインナーを確保でき、明日から又、頑張れます!〉

 これに対して、SNSでは「なぜ一国の首相が家事代行やハウスキーパーを頼まないのか」「サポートスタッフをおけば済むだけの話なのに、何を苦労話のように語っているのか」という批判が多く寄せられているのだ。

 もちろん、女性パートナーに家事労働・ケア労働を丸投げしてきたであろう多くの男性首相に比べて、高市首相の負担が多い可能性はある(ただし、高市首相自身も、そうした男尊女卑やケア労働軽視政策の一端を担ってきた責任はあるが)。しかし、高市氏は首相なのだから、家事のサポート体制を作るのは難しい話ではない。たとえば、安倍晋三元首相の昭恵夫人には「私人」にもかかわらず、一時は「夫人付き」の職員が5名も配置されていた(それはそれで問題だが)。

 また、高市親衛隊の政治家をはじめとする応援団は〈家族が人を入れるのを嫌がる場合もありますし、ついつい「それくらいはやらないと」となりがち〉(国光あやの外務副大臣)、〈最高度の機密区域である首相公邸には、厳格な身元調査(セキュリティクリアランス)のない外部スタッフを簡単に入れることはできません。〉(長尾たかし元衆院議員)などとXで必死に擁護していたが、いったい何をトンチンカンな屁理屈をこねているのか。

 じゃあ聞くが、歴代の総理大臣は全員あの広大な首相公邸を家族だけで掃除していたというのか。絶対にそんなことはない。信頼できる専門業者が行なってきたはずだし、高市首相だってそうしているはずだ。実際、夫の山本拓・元衆院議員は「文藝春秋PLUS」のインタビュー(2026/5/8)で、公邸の出入りの管理が厳しく牢屋みたいとしつつ「週1回、掃除をしてくれる人がきてくれる」と話していたし、配達員の名前を事前に聞く必要があるが、ピザのデリバリーを頼んでいることも明かしていた。同じように、ハウスキーパーなど家事のアウトソーシングを手配すればいいだけの話ではないか。

 しかも、高市首相の「家事に追われて忙しい」という投稿には、ハウスキーパーや家事のアウトソーシングをするかどうか以前に、もっと大きな無理がある。

 それは「ハンカチやインナーのアイロンがけ」に「時間がかかる」ということをやたら強調していることだ。

英インディペンデント紙がサッチャーの「短時間睡眠」「アイロンがけ」伝説の模倣と指摘

 投稿にある「インナー」は下着ではなくジャケットのすぐ下に着ているブラウスやカットソーのことを指していると思われるが、実は、「ハンカチやインナーのアイロンがけ」に「時間がかかる」というこのアピールについて、女性を中心に「アイロンがけ不要なインナーにすればいい」「ニュース映像や国会中継を見ても、高市首相がジャケットの下に着ているインナーは、そもそも自宅でアイロンがけをするタイプのものじゃないのでは」というツッコミが殺到しているのだ。

〈今どきのスーツのインナーはアイロンいらないよね〉
〈夏のスーツのインナーにアイロンが必要なブランドあんまりないでしょう?〉
〈アイロンが必要なインナー、てあまりない〉
〈インナーにアイロン普通はかけないんですよ… アイロンかけなきゃいけないインナーって??〉
〈高市さんてアイロンかけが必要そうなインナー着てるっけ?〉
〈高市のインナーってアイロンかけるようなの着てない気がするんだが?〉
〈早苗を睡眠不足にするインナー。ほぼノーカラー、ポリエステル素材が多そう、レース素材やニット、カットソーもあるだろうけど。 これのどこにアイロンがけが必要なんだ?〉

 多くの人が指摘しているように、実際、アイロンがけの必要のないインナーはいくらでも売っているし、高市首相が愛用しているとされるブランドjun ashidaにも、アイロンがけ不要のシリーズがある。あるいはjun ashidaのような高級ブランドのインナーは、逆に自宅で洗濯・アイロンできず、ドライクリーニングに出すタイプのものが多い。

 アイロンがけが必要なタイプだとしても、睡眠を削られると嘆くくらいなら、クリーニングに出せばいいではないか。男性議員のワイシャツだって多くが自宅でアイロンがけしてるわけじゃなく、クリーニングに出している人がほとんどだろう。衆院・参院それぞれの各議員会館内には、議員や秘書らのためのクリーニング店もある。

 高市応援団には、クリーニングから返ってきた衣類に発信機や盗聴器、毒針などが仕込まれるかもしれないから、セキュリティ上クリーニングを使えないなどという、トンデモ陰謀論で擁護していた人もいたが、当の高市首相もクリーニングを使っている。

 2025年11月21日、高市首相はG20のため南アフリカに向かう飛行機のなかから、Xにこんな投稿をしていた。
〈昨日は、午前中の日程を空けてもらって出張用荷物のパッキングをしましたが、悩みに悩んで凄く時間がかかったのが、洋服選び…。〉
〈クリーニングから戻ってきた服の中から、「安物に見えない服」「なめられない服」を選ぶことに数時間を費やしました。
結局、手持ちが少なく、皆様が見慣れたジャケットとワンピースの組み合わせで荷作りを終えましたが…。
外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ。〉

 セキュリティがどうとかいう話ではなく、ジャケットやワンピースをクリーニングに出すときに、一緒にインナーも出せばいいだけの話ではないか。お金がかかるというかもしれないが、数十万円するスーツを着ているのだから、インナーのクリーニング代が出せないはずはない。スカートの裾のほつれやボタンの補強にしても、お直しの店だって、庶民が使うようなカジュアルなタイプから高級なタイプまでいくらでもある。秘書や事務所スタッフに届けてもらえばいいだけだろう。ハンカチのアイロンがけにいたっては、個人の趣味やこだわりの領域。

 それをここまで「アイロンがけ」を強調するとは、もしかして、日本会議などの右派には、「女性はハンカチやインナーをアイロンがけするのが日本の伝統」という教義でもあるのだろうか。

 一方、イギリスの「インディペンデント」紙は、SNSユーザーのこんな見解を紹介するかたちで、高市首相の投稿がイギリス女性初の女性首相のサッチャー氏の模倣ではないかと指摘していた。

「ちなみに、マーガレット・サッチャーも一晩に4時間しか眠らないことで知られており、彼女の伝記によると、首相在任中も首相官邸でスタッフの食事を料理し、夫の朝食を用意し、アイロンがけまでしていたと記されている。おそらく、問題の投稿はこのことが頭にあって書かれたんじゃないかな」

 いずれにしても、高市首相の「寝てない」「休んでない」アピールに無理があるのは明らかだろう。週末はほとんど誰とも会わず、公邸にこもりきりで、平日も早々に帰宅。徹夜で読み込んでいる資料は、自分が作ったすでに提案済みの文書に関するもので、着用しているインナーはアイロンがけするタイプのものではない……。

 実際、高市首相は、統一教会との関わり、経歴詐称、総務省文書「捏造」発言、裏金、裏帳簿、領収書偽造、そして直近の誹謗中傷動画問題まで、疑惑や不正、スキャンダルを追及されると、信じられないような嘘を平気でついてきた。今回も、誹謗中傷動画問題や皇室典範改正強行への批判が高まり、支持率が低下している高市首相が、「寝てない」アピールで国民の同情を引こうと、話を盛りに盛ったということではないか。

 しかし誤算だったのは、高市首相が嘘つきであるということに多くの国民が気づき始めたことだ。その結果、少し前までは同情を引いていた「寝てない」「休んでない」アピールが逆に、批判を引き寄せる結果となった。

 高市首相もそろそろ、国民を馬鹿にしたような詐術を弄する政治手法を一刻も早くやめて、数々の不正や疑惑についても、説明責任を果たすべきだろう。


最終更新:2026.07.29 08:56

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