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F35“捜索打ち切り”でNHKも「背景に強い政治性」と政権忖度を示唆! トランプのため事故検証をネグる安倍政権の売国
安倍首相が米国から爆買いの戦闘機F35事故で防衛省が…(首相官邸ホームページより)
4月9日に青森県沖に墜落し、航空自衛隊のパイロットが死亡した米国製ステルス戦闘機「F35A」をめぐって、6月3日、防衛省が原因究明のための機体の捜索を打ち切った。安倍首相は先月の日米首脳会談で、一機あたり約100億円以上するF35を105機もアメリカから追加購入すると約束。そのうち63機がF35A、42機は短距離離陸・垂直着陸型のF35Bで、少なくとも1兆2000億円を超える予算を注ぎ込む予定だ。
先日、防衛省が公開した報告では、パイロットが操縦中に平衡感覚を失う「空間識失調」に陥ったことが事故原因と「推定」された。岩屋毅防衛相は「機体に異常が発生した可能性は極めて低い」とし、配備計画を変更せず、近く同型機の飛行を再開するとしている。
つまり、F53Aの墜落事故は人的要因によるもので機体に責任はない、というのだ。
しかし、これは本当だろうか。そもそも、事故機のフライトデータレコーダーに残っているはずのメモリーは回収・確認されないまま捜索を終えている。はっきりとした原因は依然として「不明」だ。そして、機体探索が打ち切られた以上、今後、事故原因を確定させる決定的な「物証」が出てくることはない。つまり、安倍政権がトランプ政権から“爆買い”するF35Aが起こした事故は、このまま闇に葬られようとしているのだ。
だいたい、F35をめぐっては、米政府監査院(GAO)が今年4月に公表した報告書のなかでも“深刻な欠陥を抱えている”と指摘したように、その安全性に疑問符が投げかけられていた。
東京新聞5月23日付記事によると、報告書では「危機的で安全性や重要な性能を危険にさらす」というカテゴリーに分類される欠陥が、昨年版の報告書で指摘された111件のうち13件が未解決だとし、運用試験がはじまった昨年12月以降も新たに4件が判明。〈コックピットの画面がフリーズし、ソフトウエア修正のため運用試験開始が遅れた〉や〈明かりの少ない夜間飛行でヘルメット装着型のディスプレーが不鮮明になる〉などと具体例が報告され、酸素欠乏など身体に問題が起きた事例がじつに35件も発生しているというが、〈政府やメーカー、医師による調査チームが発足したが、原因を特定できていない〉という。
航空専門誌の月刊「航空ファン」(文林堂)7月号で、テクニカルライターの井上孝司氏が解説するところによれば、F35にはOBOGS(機上酸素発生装置)の不具合が疑われた事案がある。OBOGSは大気中に含まれる酸素を抽出して供給するシステムだが、これが問題を起こすと〈パイロットが意識を喪失したり、意識が不明瞭になった状態で、意図していなくても機体を地上や海面に突っ込ませてしまう可能性につながる〉という(ただし、井上氏はOBOGSの問題はF35に限ったものではないとも指摘している)。
そのため、米空軍はAuto-GCAS(自動地面衝突回避システム)を開発し、実際に戦闘機F16などに搭載されている。これは衝突の可能性をコンピュータが解析・判断し、危険を知らせてもなおそのままでいると自動的に回避行動をとる仕組み。パイロットが空間識失調に陥った場合に役立つ可能性があるという。一方、事故を起こしたF35Aに装備されていたのはMGCAS (M=Manual、手動地面衝突回避システム)であり、回避操作はパイロットに依存していた。井上氏は〈航空自衛隊の事故機で空間識失調が発生したかどうかは分からないが、(引用者注:近く予定されているF35Aへの)Auto-GCASの導入が間に合っていれば、あるいは…、と思わずにはいられない〉と指摘している。
安倍首相が正式決定前に、トランプに約束していたF35大量購入
いずれにしても、防衛省はこうしたF35の機体、装置にかかわる論点・問題を説明も検証もせぬまま、人的要因によるものだとして強引に事故の幕引きを図ろうとしているのだ。むしろ、機体のことには一切触れるな、という空気さえ漂っている。
これはもちろん、F35が、安倍首相がトランプ大統領に尻尾を振って約束したモロな“政治案件”だからだ。
実際、F35の大量購入は、2018年12月の日米会談で、トランプ大統領が安倍首相と会談した後、「F35の購入に感謝したい」と漏らしたことで発覚した。この段階では、政府はまだ正式決定していなかったため、安倍首相が勝手に確約したとの批判の声も上がったが、その後、F35の導入は一気に進んでいく。
4月末の訪米でも、安倍首相がトランプ大統領に「105機の購入」を確認。そして、5月末にトランプ大統領が来日した際に購入を正式に発表、トランプ大統領は安倍首相とともに横須賀基地でF35Bを搭載するために空母化される護衛艦「かが」に乗り込み、自衛隊員や米軍兵士に向かってこう訓示した。
「日本は米国の防衛装備の最大の買い手となった。新たなF35ステルス戦闘機を105機購入すると発表した。米国の同盟国のなかで日本がもっともF35を保有することになる。この護衛艦もF35を搭載できるように改修され、様々な脅威を抑止できるようになる」
そういう意味では、F35は安倍首相のトランプ大統領への“忠誠心の証明”なのだ。
しかし、もし今回の事故究明で、機体に問題が見つかれば、その安倍首相がトランプに約束したF35大量購入に批判が集まり、計画が変更に追い込まれかねない。だからこそ、防衛省は事故原因が明らかにならないうちに機体の捜索を打ち切り、「人的要因」の結論ありきで幕を引こうとしたのである。
断っておくが、こうした見方は安倍政権に批判的な本サイトだけが言っているわけではない。
NHKが「日本にF35購入計画を変更する選択肢ない」の政府関係者証言を報道
実は意外なことに、NHKがF35問題について、踏み込んだ報道をしていた。6月7日の『時論公論』で、防衛を専門分野とする増田剛解説委員が、F35墜落事故の調査打ち切りや、岩屋防衛相が事故が起きた後も「計画を変更する考えはない」と強調していることを紹介した上で、こう語ったのだ。
「背景にあるのが、F35が帯びている『強い政治性』です」
また、「今回の事故の原因が、パイロットの体調の異変ではなく、機体そのものの不具合だったという結論になれば、計画に影響することは避けられない」としながら、それとは逆の政府の本音をこう紹介した。
「ある政府関係者は、『対米関係を考えれば、日本に、F35の購入計画を変更する選択肢はない』と話していました」
そのうえで、NHKはF35をめぐる安倍政権とトランプ大統領の交渉について、こう解説していた。
「F35は、『バイ・アメリカン』を提唱するトランプ大統領がトップセールスをかける主力商品です」
「『アメリカ・ファースト』を掲げるトランプ大統領は、米国製品購入拡大と対日貿易赤字削減を強く求めており、日本にとって、F35は、事実上、その要求に応えるメッセージになっています」
NHKなので、安倍政権に対する表立った批判はなかったが、明らかにトランプ大統領との約束であるF35購入を今更変更できないから、原因をパイロットに求め、安倍官邸に配慮して、捜査を打ち切ったことを示唆したのだ。
「もともとF35の大量購入については、政府や防衛省内部でも『アメリカのために買わされただけで、必要性がない』と反発が強い。しかも、事故原因をまともに検証せずに調査を打ち切り、導入計画を変更しなかったことで、制服組からも『自衛隊員の命をなんだと思っているのか』と不満の声が上がっている。今回、政権御用メディアのNHKがここまで踏み込んだのも、そうした不満の表れかもしれません」(全国紙防衛省担当記者)
改めて繰り返しておくが、安倍首相のF35爆買いは、トランプのご機嫌取りのために1兆円以上の国民の血税をつぎ込むというだけではない。墜落事故が起きても、“米国からの大量購入・配備ありき”で安全性を度外視し、フライトレコーダーを探すのをやめて「原因はパイロットの空間識失調」と決めつけるその姿勢は、将来、自衛隊や国民を危険にさらすものなのだ。
ようするに、トランプのご機嫌と国民の命を天秤にかけたうえで前者をとったこの国の宰相は、まさに“売国奴”と言うしかない。
(編集部)
最終更新:2019.06.15 09:39
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