「新元号」でマスコミが報道しない元号のイデオロギー的本質! 元号強制は日本会議前身団体の圧力の結果だった

2019.04.01 09:50
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
「新元号」でマスコミが報道しない元号のイデオロギー的本質! 元号強制は日本会議前身団体の圧力の結果だったの画像1
元号を私物化した安倍首相だが…(首相官邸HPより)


 いよいよ本日、新元号が発表される。この間、あらゆるメディアが連日のように元号予想やアンケートを実施。狂騒曲とも言えるような報道を繰り広げてきた。そして、きょうも元号発表に向け、各局が大型特番を組んでいる。NHKは朝ドラ後の8時15分からすでに、3時間に及ぶ大型特番の放送が始まっている。しかも、スタジオ解説に、宮内庁担当だけでなく、なぜか安倍御用記者の岩田明氏子まで起用する始末。この間、本サイトは安倍首相の元号私物化の動きを指摘してきたが、“安倍様のNHK”がそれを証明したと言えるだろう(ちなみに『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、御用ジャーナリスト・田崎史郎氏が解説)。

 しかし、今回の元号については、この安倍首相の私物化以外に、マスコミが一切報じなかった本質的な問題を指摘しておくべきだろう。それは元号が本当に必要なのか、という問題だ。

 現実的に考えて、元号は非常に不合理だ。日本の官公庁や公的機関の書類は、基本的には元号表記であり、公的には元号使用が強制されている。しかし、元号は国際社会にはまったく通用しないうえ、日本国内でも西暦が完全に定着し、国民生活では西暦が中心になっている。そのため、ことあるごとに元号表記を西暦に、あるいは西暦を元号に換算する必要が出てくる。

 しかも、改元にあたっては当然、政府や民間のデータベースやシステムを「平成」から新元号に刷新せねばならず、その対応には膨大な手間と費用を要する。さらに、問題なのは、元号が持つ意味だ。元号とは暦の一種で、歴史学では、支配者や指導者が空間(領土や民衆)のみならず時間をも手中におさめようとしてつくられたものと考えられている。代表的なのが中国であり、周知の通り、日本の元号も大陸から伝播したとされる。語源が『漢書』など中国の史書からとられていることは有名だ。

 右派は「元号は日本の伝統」などとしきりに口にするがようするに中国由来なのである。しかも、現在の一世一元、民間への元号強制は、明治から終戦までの天皇制国体イデオロギー体制の遺物でしかない。

『日本書紀』によると、孝徳天皇の「大化」(646年)が初めての公式な元号だとされる。元号は現在の「平成」まで北朝を入れると約250もつくられた。日本の天皇は明仁天皇で125代に数えられている。つまり、単純換算で元号は天皇の人数の2倍の数ある。

 なぜか。元号は、政治的混乱、飢饉や天災、その他諸々の理由をつけては頻繁に変えられていたからだ。大衆は必ずしも元号を身近に感じておらず、日常的には干支を使っていたといわれている。

 ところが、明治に入ってから、大日本帝国憲法および旧皇室典範(第12条「践祚の後元号を建て、一世の間に再び改めざること、明治元年の定制に従う」)によって一世一元が定められた。天皇を絶対的な権力として、大衆支配のイデオロギーの中心とする「国体思想」。そのなかにおいて改元は、まさに天皇の権勢をアピールするための重要なツールだったのである。

 では、こうした戦前の遺物がなぜ、今も公的な使用を強制されているのか。それこそ、まさに戦前体制を復活させようとする右派の圧力の結果に他ならない。

戦前の天皇制や国体思想の復活を目論んだ元号法制化運動

 そもそも、明治以降、天皇制のイデオローグとして活用された元号は、第二次世界大戦での敗戦で、その法的根拠を失った。日本国憲法下の皇室典範に元号の定めが置かれなかったためだ。当然、こうした法的問題と、戦後の国際化の流れのなかで、「元号を使うのはもうやめて西暦に統一しようではないか」という廃止論も盛り上がった。そして、昭和天皇の高齢化に伴い、「昭和」の元号が終わりを迎える日が刻一刻と近づいていった。

 こうした流れに強い危機感を抱き、元号の法制化に邁進したのが、いまの日本会議に繋がる宗教右派・極右運動家たちだった。いま現在、元号は1979年施行の元号法によって法的な地位を得ているが、これは、彼ら極右運動体の“成果”であり、日本会議前史における大きな“成功体験”として刻まれているとされる。

 改めて説明しておくと、1997年結成の日本会議は、生長の家や神社本庁などの宗教右派が実質的に集結した「日本を守る会」(1974年結成)と「日本を守る国民会議」(1981年結成)が合わさって生まれたものである。後者はもともと、この元号法制化運動のための「元号法制化実現国民会議」が前身だ。そして、これらの団体の実働部隊が、現在でも日本会議の中心にいる右翼団体・日本青年協議会(日青協)だった。

 元号法制化運動が大きく動いた1977年、日青協が中心となって全国各地にキャラバン隊を派遣する。彼らは同年秋に各地の地方議会で元号法制化を求める決議を採択させる運動に熱心に取り組んだ。

 日本会議の機関誌「日本の息吹」2017年8月号で、同政策委員会代表の大原康夫・國學院大學名誉教授が「設立20年」をテーマにふりかえるところによれば、元号法制化地方議会決議運動は翌78年7月までに46都道府県、1632市町村(当時の3300市町村の過半数)で決議がなされた。大原氏はこう述べている。

〈地方議会決議を挙げ、中央・地方に全国的組織をつくるキャラバン隊派遣など啓蒙活動を行い、国会議員の会を組織していく。つまり、現在の日本会議の国民運動の骨格であるこの三本柱は、このときに形作られたのです〉

 実際、当時の日青協の機関紙「祖國と靑年」は、キャラバン隊の運動の詳細や、森喜朗ら政治家を招いた大規模集会の模様を写真付きで大々的に取り上げている。たとえば1979年11月発行の43号では、キャラバン隊の西日本隊長だった宮崎正治氏が憲法改正を見据えて「吾々の運動の大きな前進」「元号法成立による自信の表明」と胸を張っている。

西暦使用論が浮上するたびに、右派勢力が立ちはだかってきた

 しかも彼らは、明らかに元号法の制定の先に、戦前の天皇制や国体思想の復活をみていた。

 生長の家系の出版社である日本教文社から1977年に刊行された『元号 いま問われているもの』という本がある。そのなかに竹内光則氏、佐藤憲三氏という日青協の運動家ふたりの対談(初出の「祖國と靑年」に加筆したもの)が収録されているのだが、そこでは「元号法制化の意味するもの」と題して、あけすけにこう語られている。

「元号法制化運動の一番根源的な問題は、天皇と国民の紐帯をより強化する、天皇の権威をより高からしめるというところに一番の眼目がある」
「われわれの元号法制化運動は、たんに元号を法制化したらそれで良いという単純な運動ではないわけですね。彼(引用者注:右翼思想研究でも知られる橋川文三氏のこと)が言う様に、『天皇制をとりまく付帯的な事実』としての元号とか、たとえば『神器』の問題とか、そういう戦後の象徴天皇制の下で無視もしくは軽視されて来た問題を復活せしめて行くことによって、『国体恢復』への『大きな流れ』をつくる運動なんだということが理解されなければならないと思うんです」

 その後も同様だった。国際化の流れのなかで「行政文書などでは西暦を使用すべき」という論が何度か浮上してきたのだが、そのたびに保守勢力が強く反発し、現在まで温存されてきた。たとえば1992年、政府の臨時行政改革推進審議会(第3次行革審)の「世界の中の日本」部会では、報告原案に盛り込まれていた「行政文書での西暦併記」が最終報告書では消されていた。保守派や官僚の抵抗によって棚上げを余儀なくされたようだ。部会長を務めた稲盛和夫・京セラ会長(当時)は「私も併記に賛成だが、義務づけると国粋主義のような人がものを言い出して、かえって変なことになるかもしれない」と政治的な配慮を認めたという(朝日新聞1992年5月23日付)。

 いずれにしても、わたしたちが、なんとなく受け入れてしまっている元号は、戦前日本の天皇制と国体思想、すなわち民衆を戦争に駆り立てた狂気の思想の復活を目指す勢力の圧力によって維持されてきたのだ。

 ところが、マスコミは今回の改元にあたってもそのイデオロギー的部分にはまるでふれず、冒頭で指摘したような元号予想やアンケートでお祭り騒ぎを繰り広げている。それどころか、元号を推し進めてきた右派勢力の親玉である安倍首相の元号利用を後押しする始末だ。

 この状況をみるかぎり、少なくともこの国は着々と戦前に回帰しつつあるということだろう。

最終更新:2019.04.01 10:00

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

「新元号」でマスコミが報道しない元号のイデオロギー的本質! 元号強制は日本会議前身団体の圧力の結果だったのページです。LITERAは政治・マスコミ・ジャーナリズム・オピニオン・社会問題や芸能(エンタメ)・スキャンダル・カルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。NHK、元号、国体思想、天皇、安倍晋三、宮島みつや、日本会議の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 市川沙耶と熱愛・野島アナに二股の過去
2 統一教会最古参元幹部が安倍晋三と教団の深い関係をテレビで激白!
3 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 高市“飲酒G7ドタキャン”を隠すため茂木外相が嘘答弁!嘘に嘘を重ねる迷走
6 高市政権と日本会議「明治の日」復活の策謀
7 国民民主党・玉木雄一郎「改憲」への危険な野望! 
8 吉高由里子が元カレに言った一言
9 高市早苗“G7ドタキャン”言い訳の嘘と本当の理由を徹底検証!
10 能年玲奈に前事務所が「本名、使うな」
11 「議員定数削減」で自民・維新は議席占有率アップと「企業献金」温存の一挙両得
12 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
13 RADWIMPS野田洋次郎の優生思想丸出し差別発言の背景にあるもの
14 堀江貴文「税金泥棒」発言で晒した年金問題への無知と頭の悪さ
15 テラスハウスの出演者がセクハラ告白
16 「アジア大会」運営を大阪万博の工費未払いトラブル会社が受注
17 キティ、マイメロが戦争反対を訴え!
18 りえママ、娘にたけしとの不倫を強要!?
19 高市早苗が「戦争をしたがっている」ことを証明するトンデモ発言集!
20 三笠宮家に夫妻、母娘の断絶が!

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄