横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」36

危険だらけのオスプレイ横田基地配備を止めようとしない小池百合子都知事、 やはり“都民ファースト”は大嘘だった!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
koike_01_20180428.png
小池ゆりこオフィシャルサイトより

 横田基地に今夏配備されることになった米空軍輸送機のオスプレイ。抗議行動もおこなわれるなか、しかし首長である小池百合子都知事はその賛否を未だ明確にしてはいない。

 そんな小池百合子都知事が二階俊博幹事長や小泉純一郎元首相ら自民党重鎮と会食をした2日後の4月20日、都庁の記者会見に向かった。

 2017年9月29日、希望の党合流で一部民主党議員に対する「排除」発言を引き出した筆者だが、以降、記者会見で手を上げても一度だけしか当てられず、この日も最初から手を上げ続けたが、指名されなかった。仕方がないので会見終了が宣言された瞬間、「二階幹事長に日米地位協定改定を求めなかったのか。オスプレイから都民を守るには不可欠ではないか」と声を張り上げた。

 しかし小池知事は、一言も発しないまま会見場から立ち去った。この日の知事会見では、幹事社の共同通信も指名された複数の記者も誰もこの会合について質問しなかったので、「政権『人心一新の時』=小泉元首相、小池都知事ら会談」(4月19日の時事ドットコムニュース)などと報じられた会談内容は一切明らかになることはなかった。

 2週間前の6日の都知事会見でも、小池氏は全く同じ対応をした。この日も指されなかった私は、「知事、日米地位協定についてどうお考えですか。オスプレイの危険な飛行は沖縄の現実からすると止まりませんよ」と会見終了直後に聞いたのだが、全くの無回答だった。

 指名なしでも質問を繰り返したのは、事故頻発で「未亡人製造機」の異名がついたオスプレイの横田基地配備への都の対応が不十分と思ったからだ。小池知事は6日の会見で「国に対して十分な説明責任を果たすことと安全対策の徹底や環境への配慮などを要請している」「国に必要なことを申し入れる」と答えた。

 しかし「国への要請・申し入れ」だけではオスプレイの危険飛行から都民を守れないのは、沖縄の現実に目を向ければ、すぐに分かることだ。沖縄の地元紙記者はこう話す。

「オスプレイはプロペラ機とヘリの機能を併せ持ちますが、危険なのはヘリモード。そこで『米軍基地周辺の市街地上空ではプロペラ機モード、基地内に入ってからヘリモードにする。ヘリモードでは市街地上空を飛ばないようにする』という約束を日米で交わしている。しかし実際は市街地上空をヘリモードで飛んでいるのを多数目撃されています。住民が抗議をしても政府は『確認していません。米国はやっていないと言っています』と約束違反を調べようともしない。『違反したら一定期間運行禁止にする』という実効性のある罰則規定を盛り込んだ『日米地位協定改定』にまで踏込まない限り、危険な飛行は止まりません」

 小池知事は「都民ファースト」を掲げて都知事選や都議選で圧勝したが、その言葉通り、都民の安全を第一に考えているのなら、オスプレイは絶対に止める必要がある。そして、そのためには、日米地位協定改定を安倍政権に求めるべきなのだ。

「国際報道番組『ワールドビジネスサテライト』の元キャスターの経歴が泣く。イタリアやドイツの地位協定改正を知らないほど海外事情に疎いのか」という疑問も沸いてきた。先の沖縄の記者はこう続けた。

「ドイツは1959年に北大西洋条約機構(NATO)と結んだ協定をその後に改定し、低空飛行禁止を定める国内の航空法が米軍機にも適用できるようにした。イタリアでも1988年に低空飛行訓練中の米軍機がロープーウェイのケーブルを切断、ゴンドラが墜落して乗客20名が死亡する事故を機にアルプス地方の最低飛行高度を150mから600mに引き上げた。習慣になっている昼寝の時間には、米軍機の飛行が許されないことにもなった。
 また米軍は通常、墜落の危険性や騒音などによる住民への悪影響を考慮、基地周辺の土地利用を禁止する『クリアゾーン』を設けている。ドイツやイタリアの米軍航空基地にも適用されているが、沖縄の普天間基地ではクリアゾーンに約800世帯が暮らす実態がある。諸外国では自国の航空法を米軍にも適用する例が多いのに日本は『日米地位協定』という米国との約束事を何よりも重視、歴然とした差があるのです。先進国の首都上空を、自国の航空法が適用されない外国の軍用機が飛ぶのは国際常識からすると考えられないこと。他国と日本で決定的に違うのは安倍政権が今でも続く占領国状態を黙認していることなのです。
 横田基地の上空はアメリカが管制権を持っています。日本の民間機は飛べないのです。西日本からの飛行機も千葉を経由して飛んでくる。石原慎太郎・元都知事は一時期、横田基地の管制の見直しを求めると言いましたが、途中から言わなくなりました。小池知事も都知事選で同じ主張をしたが、具体的行動を開始したという記事は読んだことはない。横田基地の管制を日本に渡して民間機が飛べるようにしたら、東京と大阪間の航空便が30分早くなるのですが」

「トランプ大統領の忠実な従属的助手(Trump's loyal sidekick)」とワシントンポストに酷評された安倍首相は「戦後レジーム脱却」を掲げたが、日本を未だに占領国扱いする不平等な日米地位協定を見直そうとしていない。そんな米国の言いなりの安倍首相に足並みをそろえているのが小池知事なのだ。

「都民ファースト」は看板倒れで「米国ファースト」の安倍首相に追随しているだけ。そう言われても仕方がないのだ。

最終更新:2018.04.29 08:10

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

危険だらけのオスプレイ横田基地配備を止めようとしない小池百合子都知事、 やはり“都民ファースト”は大嘘だった! のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。オスプレイ安倍政権小池百合子横田 一横田基地の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄