ディズニーが「東京大空襲」をけしかけていた! 戦後は原発の旗振り役に…日本に災厄もたらすディズニーの黒い顔

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ディズニーが日本にもたらしたものは、“夢の国”なんかじゃない(画像は『東京ディズニーリゾートベストガイド 2016-2017』(講談社)より)

 最近はUSJに追い上げられつつあるとはいえ、相変わらず人気の東京ディズニーリゾート。今年のハロウィンもディズニーランドやディズニーシーはディズニーキャラクターになりきった“フル仮装”の入園者らが多数詰めかけ、盛り上がりを見せた。

 そんな日本でも大人気のディズニーだが、実はかつて、日本人の大量殺戮を煽る映画をつくっていたのをご存知だろうか。

 その作品とは第二次大戦中の1943年にアメリカで公開された『空軍力による勝利(原題:Victory Through Air Power)』。日本ではソフト化されておらず、知る人ぞ知るこの作品を、映画評論家の町山智浩氏が新著『最も危険なアメリカ映画』(集英社インターナショナル)で紹介し話題となっている。

 映画は序盤、「飛行機」が発明されてから、それがどのように軍事利用されていったのかの歴史的経緯を描く。当初、飛行機は偵察用ぐらいにしか使われておらず、敵軍の飛行機がすれ違ったとしてもパイロット同士が挨拶するぐらい穏やかなものだった。しかし、マシンガンが搭載されるなど、だんだんと軍事目的として使用されるように変化していく。そんな様子が、いまの目で見ても高いクオリティのアニメで表現されるのだった。

 そして、第二幕に入ると、この映画の原作本『空軍力による勝利』の著者アレクサンダー・P・デ・セヴァルスキー氏が登場。彼は、日本は南太平洋の島々に基地をもっているが、いくらそれらを叩いてもそのたびに自国の兵隊に死傷者が出るばかりでいっこうに本体は叩けないと現在の戦況の問題点を説明する。そして、航空機で日本の本土を攻撃するべきだと、戦略爆撃の必要性を強く主張するのだ。

 そして映画のラストは、アニメーションで日本の都市に大量の爆弾が投下され街が燃え盛る様子が生々しく描かれた後、星条旗がたなびくカットで幕を下ろす。

 米空軍による日本本土への戦略爆撃、空襲が本格化するのは、この映画公開の翌年、1944年からである。この日本本土空襲は200以上の都市で行われ、軍事施設だけでなく、多くの一般市民が被災。東京大空襲では11万人、合計では30万人以上が死亡したといわれている。

 ようするに、ディズニーはこうした一般市民も含む大量殺戮行為を正当化し、推進するためのプロパガンダ映画をつくっていたのだ。

 もちろん、戦時中は、映画でも音楽でも小説でも漫画でも演劇でも、大衆から人気を集めているクリエイターに国が戦意高揚のための作品を無理やりつくらせることは珍しいことではなく、戦時中は日本でもしきりにつくられていた。

 だが、映画『空軍力による勝利』はそういった過程を経て製作された作品ではない。ウォルト・ディズニー自身が、長距離爆撃機による敵国本土への戦略爆撃の必要性を伝えたいと率先して製作した映画なのだ。この映画にかける予算やスタッフの人員を見ると、その力の入れ具合がよく分かる。町山氏は『最も危険なアメリカ映画』のなかでこのように書いている。

〈ディズニーは、まず軍部に資金援助を打診した。しかし、「陸海軍は時代遅れだ」とする本の映画化に軍が協力するはずがない。そこで、ディズニーは自分の懐から製作費七十八万八千ドルを出した。『ダンボ』(41年)が九十五万ドルだから、これは立派な予算だ。スタッフには『白雪姫』(37年)や『ファンタジア』(40年)、『ダンボ』、『バンビ』(42年)のアニメーターを投入した〉

 ディズニーはこのフィルムをチャーチル首相やルーズベルト大統領にも見せるように画策し、特にチャーチル首相はこの映画に感銘を受けていたと伝えられている。

 この映画が封切られた時点で連合国側はドイツや日本に対して小規模な爆撃を行い始めてはいたが、それが本格化し、30万人以上という大量の死者を出した無差別爆撃にエスカレートしていった背景に、ディズニーの存在があったことはまぎれもない事実だろう。

 しかも、ディズニーが日本に大きな災厄を与えたのは、戦争中だけではなかった。東日本壊滅寸前の事態を引き起こした原子力発電所を日本が導入することになった経緯にも、ディズニーは深く関わっている。

 1950年代、米国政府はアメリカ製の原発を同盟国に導入させようと、さまざまなルート、方法を使って各国に売り込みを行っていた。その先兵となっていたのが、ウォルト・ディズニーとディズニー本社だった。ディズニーはプロパガンダのために、実写とアニメを組み合わせた『わが友原子力(原題:Our Friend the Atom)』なる映画を製作しているが、この映画は、アラジンの魔法のランプのアニメーションなどを用いつつ、使い道さえ誤らなければ原子力は、人類にとても大きな力をもたらしてくれる「友」であるとメッセージを送るもので、ウォルト本人もホスト役として出演していた。

 そして、この映画は、原爆投下から十数年しか経っていない日本でも大々的にテレビ放映され、日本の原発導入の世論作りに大きな役割を果たしたのだ。1958年に発行された科学技術庁原子力局の『原子力委員会月報』には原子力教育に役立った映画として『わが友原子力』が挙げられている。

 ちなみに、日本でこの映画の公開に尽力したのが、初代原子力委員長で「原発の父」ともいいわれる正力松太郎率いる読売グループだった。有馬哲夫氏の著書『原発・正力・CIA』(新潮新書)によると、正力は当時、CIA の意向を受けて、原発を日本に建設させるために、さまざまな工作を行っており、そのひとつが、ディズニーの『わが友原子力』の系列の日本テレビでの放映だったという。

 同書によると、ウォルト・ディズニーの実兄であるロイが日本テレビを訪問し、『わが友原子力』を「ぜひNTVで放送し、日本の人々にも原子力の実態を理解して欲しい」と申し入れたという。そして、1958年1月1日の元旦に同作品は日本テレビで放映された。そのプロモーションは読売グループをあげて大々的に展開された。放映の前日の12月31日には高松宮を招いて試写会を開催。この試写会の様子を読売新聞が大きく報道している。

 しかも、この正力とディズニーの関係はのちに東京ディズニーランドを誕生させる結果となった。1960年代、京成電鉄が日本でのディズニーランド建設構想をぶちあげ、アメリカに交渉に出かけるのだが、その際、仲介の労をとったのが正力だったのである。

 また、東京ディズニーランドには「クラブ33」という一般人が入れないVIP専用サロンがあるが、ここでは日本テレビ前会長の故・氏家齊一郎の誕生会が何度か開かれ、そこには原発利権に深くかかわる政治家がズラリ顔を揃えていたという。

 つまり、東京ディズニーランドは、原子力利権の副産物だった可能性があるのだ。そして、この原子力利権に群がった連中によって、福島第一原発事故という重大事故は引き起こされた。

 大空襲に、原発。ディズニーが日本にもたらしたものを考えると、とても「夢の国」などとはしゃぐ気分にはなれなくなる。
(新田 樹)

最終更新:2018.10.18 03:46

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最も危険なアメリカ映画 『國民の創生』から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』まで/町山智浩

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