不祥事・トラブルに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
リテラがスクープした自衛隊大物OBのロシアスパイ問題が今頃浮上! 抑え込んでいた官邸が解禁した理由とは
安倍首相は自らの政策のためなら警視庁の捜査もコントロールするのか(YouTube『ANNnewsCH』より)
陸上自衛隊の元幹部が在日ロシア大使館の軍人外交官に防衛省の内部資料を渡したとして、警視庁公安部が自衛隊法違反の疑いで書類送検する方針を固めた。本日、こんなニュースが新聞各紙で一斉に報じられた。
じつはこの事件、本サイトが今年6月6日に「スクープ!自衛隊大物OBにロシアスパイ疑惑!安保法案への影響怖れ官邸がもみ消し」という記事で、元「東部方面総監」がかつて部下だった現職自衛官を通じ、自衛隊の内部書類を入手、軍出身のロシア大使館関係者に提供したと報じていたものだ。
さらに翌7日には本サイトの報道を産経新聞も後追いし(「元陸自幹部 露に情報漏洩か 警視庁公安部が事情聴取」)、「陸上自衛隊の戦術などについて記述された「教範」と呼ばれる冊子を譲渡」などと報じた。
いずれも今回報じられた内容とほとんど一致している。公安は半年も前に情報をつかんでいながら、なぜ今ごろ書類送検なのか。
実はこの事件については、官邸が警視庁に圧力をかけて捜査をストップさせていた。半年前の6月といえば、安保法制審議の真っ最中。防衛省の暴走なども指摘されていたなか、元自衛隊幹部と現職自衛官の絡んだ情報漏えいという不祥事が明るみになれば、安保法制審議への妨げになりかねない。また、官邸はこの時点ではまだ、プーチン大統領の訪日を実現しようとしており、その交渉に影響があることを嫌がったのではないかといわれていた。
しかし、ここにきて安保法制が成立した上、イスラム国への対応をめぐり米露の対立が激化。プーチンの訪日もなくなった。そこで、官邸が捜査を解禁したということらしい。
「官邸は対テロ対策を大義名分に共謀罪や盗聴体制を強めようとしていますから、逆にこの事件の捜査を進めて、その管理強化の世論作りに利用しようとしているのかもしれません」(政治部記者)
自らの政策をゴリ押しするために、警視庁の捜査をコントロールする安倍政権。本サイトが当時、つかんだ情報と官邸の狡猾な実態を以下に再録するので、ご一読いただきたい。
(編集部)
********************
混迷が続く「安保法制」の国会審議。そこへ追い打ちをかけるような、とんでもない防衛スキャンダルがここにきて持ち上がっているという。匿名を条件に、ある防衛省関係者が打ち明ける。
「陸上自衛隊の大物OBが、あろうことか、ロシアの情報将校と接触し、自衛隊内部の文書を渡していたという疑惑が持ち上がっています。しかも、この大物OB、その立場を利用して、かつての部下だった現職自衛官に文書を持ち出させたというおまけ付き。万が一、情報漏えい事件として立件されようものなら、安保法制の審議はストップしてしまいます」
安倍政権はこの疑惑にピリピリしているようだ。国会審議もさることながら、「今年中に実現するかもしれないプーチン大統領の訪日にこだわる安倍晋三首相の意思をおもんばかり、官邸サイドは警察当局に対して、今回の立件に暗に待ったをかけている」(官邸関係者)ともいわれているのだ。
官邸を悩ませている疑惑について、さっそく報告していこう。
陸上自衛隊では、ナンバーワンに当たる陸上幕僚長のもと、全国を5つのブロックにわけて「方面総監部」を置いている。疑惑の人物は、首都を守る方面総監部を率いるトップ「東部方面総監」だったという。「その東部方面総監は陸上自衛隊内で、いわゆる情報担当をつとめたことがあります。陸海空の3つの自衛隊を総括する統合幕僚会議で作戦参謀として活躍したこともあり、まさに主流派として王道を歩いていました」(防衛省担当記者)
数年前退官したこの元総監は、やがて世界的なメーカーの顧問に就任すると、世界中を飛び回っていたらしい。とても社交的な性格で、ロシア人に限らず、外国人との接触も多かったようだ。そんな中、疑惑とされる「接触」が行われたという。前出の防衛省関係者の話。
「日本国内にあるロシア大使館駐在のロシア軍部出身者と接触し、防衛に関する複数の資料を提供してしまったようです。防衛省が困ったのは、ほかでもない、警察当局のいわゆる外事警察がピッタリとマークし、受け渡し現場をつぶさに撮影していたからなんです」
しかし、大物とはいえ、OBであれば、内部文書を持ち出すのも容易ではない。そこに一枚かんだのが、かつて部下だった現職自衛官なのだ。前出の官邸関係者がこぼす。
「その部下とは、女性自衛官で、大物OBとは愛人関係にあったのではないかといわれている。情報漏えいだけでも大事なのに、“愛人疑惑”まで持ち出されたら、もう国会審議なんて持ちこたえられない」
そこで、官邸は総力をあげて事件もみ消しに動いているらしいのだ。
実はこれにかぎらず、最近、官邸を悩ます公安事件が続いている。今年5月には、北朝鮮からマツタケを不正輸入したとして、警察当局は、朝鮮総連トップ・許宗萬議長の次男を逮捕している。拉致事件をめぐる日朝交渉の真っ直中だっただけに、官邸の慌てぶりはただごとではなかったようだ。官邸担当記者が言う。
「2年前にこの次男の関係先は家宅捜索されていたようだ。しかし、立件できるかどうかは微妙な内容で、官邸もまさか立件するとは思っていなかった。ところが、日朝交渉が始まったとたんにそれを妨げるように捜査が始まったのです。官邸の激怒ぶりはすさまじかったようです」
もっとも、警察当局のこうした動きは、安倍政権がつくりだしたものでもある。安倍首相による公安警察の重用、そして右派強行路線で、警察当局はすっかりイケイケドンドンになって、仮想敵国に関係するような団体を片っ端から捜査し始めた。ところが、肝心の官邸はそんなに単純ではなく、とくにロシアと北朝鮮については、外交優先の方針をとった。つまり、警察当局としては梯子を外された結果になってしまったのである。
「はっきりは断定できませんが、見方を変えれば、安倍政権を支えてきたはずの警察当局の一部が、一連の事件を通じ、離反を始めたといえなくもない。いずれにしても、今は、官邸と警察当局のせめぎあいの真っ最中という感じなので、予測がつかない」(前出・官邸担当記者)
安保法案審議の最中に浮上したこの自衛隊スキャンダルがいったいどうなるのか。要注目である。
(田部祥太)
最終更新:2015.11.21 09:45
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