『ヨルタモリ』宮沢りえの眼前で…篠山紀信が『Santa Fe』未発表ヌードをテレビ公開! 児童ポルノ法への挑戦か

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伝説とも言える宮沢りえ17歳時の写真集『Santa Fe』(朝日出版社)

 7月26日放送の『ヨルタモリ』(フジテレビ系)はちょっと衝撃的だった。というのも、ゲスト出演した篠山紀信が、宮沢りえの目の前でいきなり『Santa Fe』(朝日出版社)のときのヌード写真を公開したからだ。

『Santa Fe』といえば、りえが17歳のときに篠山が撮影したヘアヌード写真集で、1991年に発売され、150万部の大ベストセラーになるなど、社会的現象を巻き起こした。

 この日、篠山は登場するや、いきなりカバンの中から、「家を片付けてたらね、昔の写真がたくさん出てきたんですよ」と『Santa Fe』の表紙写真の大判ポラロイドを取り出し、りえに見せる。その後、「『Santa Fe』の写真なんだけど、全然未発表なの」と言いながら、写真集に掲載していない写真を次々取り出したのだが、そこにはヘアこそなかったものの、若き日の宮沢りえの乳房が大写しになっていたのだ。

 といっても、これが衝撃的だったのは、最近、テレビで完全に御法度になっている乳首がテレビに映し出されたからではない(それもなかなか衝撃的ではあったが)。7月15日から始まった、改正児童ポルノ法の単純所持処罰化の問題があったからだ。

 児童ポルノ法は、昨年の改正法施行から罰則適用開始までの1年間の猶予期間が終わり、7月15日からは、児童ポルノにあたる写真や動画などを、ただ持っているだけで1年間の懲役または100万円以下の罰金が科せられるようになった。
 
 そんな状況下、撮影当時17歳だった宮沢りえのヘアヌードが掲載されている『Santa Fe』は、児童ポルノ法をめぐる議論では必ず引き合いに出され、メディア上でたびたび話題となってきた。2009年の法案審議の席では、『Santa Fe』が児童ポルノにあたるのかどうか、国会内で議論が巻きおこったことすらある。

 この作品が児童ポルノにあたるのかどうかは専門家の間でも意見が分かれているが、“限りなく黒に近い灰色”といった扱いが世間一般での捉えられ方で、現在ではAmazonでも取り扱いが打ち切られている。

 篠山はそんな状況をものともせず、乳首丸出しの写真をカメラの前に差し出し、宮沢りえ本人と、「他の写真とテイストが合っていないような気がしたから(写真集から)外れたんだろうけど、すごく良いね」などと、撮影の思い出や写真論とを語ったのだ。一方、りえも恥ずかしがることも嫌がることもまったくなく、服を着ている写真のほうを見て「こっちのほうがエロくないですか」などと写真談義に応じていた。もっともタモリは、いまスタジオで行なわれていることの危険性を感じ取ったのか、「良いですねぇ……」と言葉少なにつぶやくくらいしかしなかったが。

 それにしても、このパフォーマンスはやはり篠山紀信ならでは、と言っていいだろう。篠山は自分の写真表現のためなら、恐れることなく世間のタブーを破り続けてきたカメラマンだ。ヘアヌード解禁への道を切り拓いたのも彼だし、10年には青山霊園など人目につく場所で女性のヌードを撮影したとして、公然わいせつ罪で罰金刑も受けている。

 あえてこの時期に『Santa Fe』の未公開写真をテレビに出したのは、むしろ、児童ポルノ法の単純所持禁止へのアンチテーゼなのかもしれない。

 児童ポルノ法改正案は審議されているときから、その写真がわいせつ目的につくられたのか、アートを目的としてつくられたのか、個々のケースについて一切勘案しない画一的な議論のあり方が問題視されていた。

 番組中でも、「この『Santa Fe』って写真集はエロくないんだよ。エロを目的に撮ってないんだから」と語っていた篠山紀信。今回の未公開写真公開は、芸術を理解しようともせず、お役所仕事で民衆の自由を制限しようとする権力に対しての皮肉をこめたパフォーマンスとも受け止められる。

 しかし、驚かされるのは、『ヨルタモリ』である。繰り返すが、いまのテレビは深夜番組であろうと、バストトップを映すことを一切自粛している。しかも、『Santa Fe』は児童ポルノの対象かどうかが議論になっている作品だ。そんな写真を、常に長いものに巻かれ続けているテレビ局が放映するとは……。

 この『ヨルタモリ』の数時間前まで、フジテレビは『FNS27時間テレビ めちゃ×2ピンチってるッ!~本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!! ~』を放送していたが、もしかしてこれがフジが本気になった証しなのか。

 まあ、実際は大御所・篠山紀信に何も言えなかった制作スタッフが局のコンプライアンスをぶっちぎって放送してしまった、というのがオチかもしれないが、いずれにしても、勇気ある行動に踏み切った篠山紀信と『ヨルタモリ』の制作スタッフに今後、処分がくだることのないよう祈るばかりである。
(田中 教)

最終更新:2015.07.28 11:31

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