室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(前編)

室井佑月と東京新聞・望月衣塑子、闘う2人の女が語った安倍政権の圧力、ネトウヨの攻撃、忖度メディア

2019.08.08 11:31
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ギャラクシー賞を受賞した『報ステ』元CPを報道から追放したテレビ朝日

室井 望月さんの菅さんとのやりとり見ていてもそうだし、望月さんの著書『新聞記者』(角川新書)を読んでも、映画を観てもそうだけど、望月さんって新聞記者であることへのプロ意識がすごく高いんだなと思いました。男の人って、“記者”としてではなく、会社の“役職”がつくことにこだわりがちだけど、望月さんはそうじゃない。私はジャーナリストでも新聞記者でもないから、そんなプロの記事を読んで「私はこの記事を読んでこう思った」ということを、賛否両論になってもいいから広げる。それが役目なのかなと思ってます。

望月 室井さん、新聞から雑誌から書籍まで、ものすごい量を読んでますものね。テレビでの発言や週刊誌コラムなどを拝読していますが、相当読み込んでやってるなって。

室井 私、オタクだから(笑)。

望月 熱量のすごさを感じます。特にテレビは権力批判もできなくなり、危ないと思っているけど、室井さんやジャーナリストの青木理さんが発言しているのを見ると、「でもまだ希望があるな」と思います。ただ、最近でもすごくひどい人事がテレビ朝日であった。それがジャーナリズムの要として『報道ステーション』のチーフ・プロデューサーなどをやっていた松原文枝前経済部長が、報道局から総合ビジネス局のイベント事業戦略担当部長に異動したことです。彼女は現役の記者のなかでも、ずっとブレずに仕事を続けて。それで安倍政権になってから嫌がらせが続いても「それでもやらなきゃいけない」と発信し続けてきた。昨年4月の財務省・福田淳一事務次官(当時)のテレビ朝日社員へのセクハラ問題のとき、告発した社員の上司でもありました。それを逆手に取られ、「飛ばされるのではないか」という空気がありましたが、当時は伊藤詩織さんの#MeTooの流れがあって、この問題を『報ステ』でも小川彩佳アナ(当時)が取り上げ、反響を呼んでいました。女性記者たちが集まってできた団体「メディアで働く女性ネットワーク」(WiMN)でも、「声をあげた人たちを守ろう」と掲げていたんです。そうしたまっとうな方だったからこそ、相当前から政権に目をつけられていた。しかもいま、テレ朝は早河洋会長の体制下で、安倍首相や菅さんの応援団を自認する、幻冬舎社長の見城徹さんが放送番組審議会の委員長に入っている。(松原さんが)番組を外れる可能性は高いんじゃないかと危惧していたのですが、現実になってしまって。

室井 彼女は古賀茂明さんが『報ステ』を降板させられたときも、最後までかばった人でもあるよね。

望月 そうです。予兆もありました。2016年6月、『報ステ』で松原さんが経済部長時代に手がけた特集「独ワイマール憲法の“教訓”」がギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した。「ドイツの民主的なワイマール憲法下でなぜ独裁者ヒットラーが生まれたか」という日本の憲法改正の動きとの比較で深く考察されたものでした。そんな栄誉ある賞なのに、政権に批判的に取れる内容なのでテレ朝内では喜ぶどころか“なかったこと”のようだったと聞きます。しかも「贈賞式に出るな」「コメントするな」って松原さんに対して圧力もあったらしくて。異動との関連ははっきりしませんが、松原さんは、憲法改正の国民投票でのテレビのCM規制についての民放連の動きも問題視していました。これまで民放連は「CM規制をかけることも含めた議論をすべきだ」としていたのに、民放連会長や専務理事が日テレに変わった途端、「表現の自由がある」として、「CM規制をかけない」と一変させた。松原さんはそれに対し、過去の国会の議事録などを調べ上げて分析、民放連の会見でも追及していたと聞きます。誰も聞かないから聞きに行かなければという意識だったそうです。政治部デスクにことわって聞きに行っていたそうですが、これをテレ朝の幹部が、問題視していたと聞きました。

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