大坂なおみの母親が日本で受けた結婚めぐる人種差別…NYタイムズが特集で「純血性にこだわる社会」と指摘

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「日本人に見られたい」ハーフに立ちはだかる日本社会の排他性

 アントニーはお笑い芸人だから、こういった悲痛な過去もトークのネタとして昇華しているが、就職や結婚という人生における大きな出来事に立ちはだかる高い障壁は、多くの当事者にとって人生そのものを絶望に追いやる深刻な差別であり、看過されていいものではないことは言うまでもない。

 ここ最近でこそ、陸上のケンブリッジ飛鳥選手(父がジャマイカ人)や、同じく陸上のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(父がガーナ人)や、東北楽天ゴールデンイーグルス所属のオコエ瑠偉選手(父がナイジェリア人)など、大坂なおみ選手同様アフリカ系ハーフのアスリートの活躍が目立つ。

 また、先ほど登場した青山テルマやアントニーの他にも、クリスタル・ケイ、GENERATIONSの関口メンディー(父がナイジェリア人)、三代目J Soul BrothersのELLY(父がアメリカ人)、EXILEのNESMITH(父がアメリカ人)など、アフリカ系ハーフの芸能人も増えてきた。

 しかし、大坂なおみ選手に対して、当初ネットで「日本選手っぽくない」「この人を日本選手と呼ぶことに違和感がある」といった差別的な攻撃が多く見られたことからもわかる通り、偏見や差別は確実に存在する。むしろ、先ほど挙げたようなアスリートや芸能人らの活躍により、陰日向に行われていて見えにくかったアフリカ系ハーフに対する差別がようやく可視化されたということなのかもしれない。

 日本人とドイツ人のハーフである著述家のサンドラ・ヘフェリン氏は、日本に生まれ育ったハーフが直面する困難を記した著書『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)のなかで、「ハーフの問題を考える」ということは「日本人とは何か」が問われていると指摘する。

「片方の親が日本人で、日本語も話せ、和食や浴衣が好きで、国籍が日本、というふうに『血』『日本語能力』『国籍』『心』の面で、『日本人であること』をクリアしていても、顔が欧米人のようだと、『容姿』の壁が立ちはだかり、いつまで経っても『日本人』だと認められない」
「『日本人に見られたい』『自分は日本人』と思っているハーフにとっては、言葉、心や国籍の問題をクリアしていても、『アナタはココが『普通の日本人』とは違う』と指摘されてしまうことはつらい」

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