マツコがLGBT発言を封印した真意とは? 過去には商売目的のLGBTフレンドリービジネスを一蹴したことも

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「人間、『男』『女』なんて、単純なものじゃないんだよ」

 そんな加賀美に対し、マツコは「個々の人格や肉体である以上、(何かに)カテゴライズってできないんじゃないかっていう思いがずっとあって」と語ると、こうつづけた。

「『とりあえずどこに所属しているのか言ってください』って言われれば、それは『同性が好きなのでゲイですかね』と答えるし、『そういう格好をしていることは、性同一性障害の方なんですか?』とか、ずけずけ聞いてくるセンスのかけらもない親父とかいるじゃないですか。そういう奴らには『性同一性障害ではないですよ』と」
「『私は女性になりたいわけではないです』と言うと、『だったら何でそんな格好しているんですか?』と始まるから、あいつらを納得させるのは不可能なのよ」

 肌身で感じる世間の無理解。そしてマツコは、このように話すのだ。

「でも、理解できないものって恐怖になるじゃないですか、人間って」
「恐怖になると『悪』になる」「『悪』は攻撃したいと思っちゃうじゃないですか」

 自分が理解できないもの、異質だと思うもの、受け入れられないものに対して、人間は攻撃的になって排除しようとする──たしかに、あらゆる差別やいじめはこうした「理解できないものへの恐怖」から生まれているともいえる。だが、人間は「理解する」ことができる。なぜ反発してしまうのかを考える。なぜ自分とは違うのかを考える。そうして理解を深めることが、同時に人間にはできるのだ。マツコは言う。

「別に理解しようとはしてくれなくていいから。人間、『男』『女』なんて、単純なものじゃないんだよっていうのだけ理解してくれていれば」。

 LGBTと一言で言っても、そこに4種類のジェンダーアイデンティティやセクシュアリティがあるのではない。LGBTにあてはまらない、セクシュアリティを定義できない人(クエスチョニング)や、恋愛感情や性的欲求をもたない人(アセクシュアル)もいる。自分をヘテロセクシュアルだと思っている人でも、そう思い込んでいるだけという場合もいるだろう。簡単な話だ。マツコの言うように、「『男』『女』なんて、単純なものじゃない」。性とは多様である。そう考えれば、いろいろな人がいて当然だということに気付けるのではないか。

 いまは、「私の意見がスタンダードの考え」だと捉えられかねないために、LGBTについて語ることを避けているというマツコ。いつか、多様な性が認められ、「スタンダード」という基準が存在しなくなる、そんな日がくることを願わずにはいられない。

最終更新:2018.08.20 01:34

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