昔なら有吉の年収もわかったのに…長者番付はなぜ廃止されたか? 背後に格差助長政策

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 さらに、直近のユニクロの14年8月期の年間配当は、1株当たり配当金300円で、親族も含めた柳井ファミリーが受け取った配当金は122億7240万円と計算できると一部メディアが報じている(Business Journal「大富豪ユニクロ柳井家、株主配当100億円以上後継者育成失敗で長男へ世襲か」14年12月26日)。

 ソフトバンクの孫氏が所有している自社株は、2億3120万株に及び、14年度の1株当たり配当金は40円であることから、配当金総額は92億4800万円という計算になる。

 なお、上場株式から得られる配当所得については、現在、20%の税率が適用されるだけだ(分離課税)。一方で、役員報酬などの給与所得は累進課税により、4000万円超部分の最高税率は40%だ。(なお来年(2015年)度分より45%になる)。

 つまり、節税を目論む創業経営者であれば、「報酬額が公開され税金も高い」役員報酬よりも「税金も低く、納税額も公開されない」配当所得(自社の配当金)を増やすことを考えるのだ。

 だが、「長者番付」であれば、役員報酬も配当所得も含めた税額が明らかになり、こうした節税効果へのけん制も可能なのだが、金持ち優遇の自民党政権は前述したように「個人情報の保護」を名目に、見直しを図ろうとしない。

 長者番付の廃止は「納税の監視」という社会のチェック機能を低下させ、「税の不公平」を助長し、格差社会をますます加速させたのだ。所得税の確定申告をするのがバカらしくなる話ではないか!
(小石川シンイチ)

最終更新:2018.10.18 01:43

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